広告塔

2008年8月13日

 野口みずきが北京行きを断念した。4年間を北京に行くためにすべてを集中して,やっと手にした切符であったはずである。しかも最後の調整のためのトレーニング中の故障である。実力があり,努力があり,実績が生まれ,輝かしい頂点を目指す最後の場面で諦めざるをえなかった彼女の胸中は単なる無念というだけではないであろう。しかし,なんとなく今回の代表選考にスター選手を選考の優先順位にあげていたのではないかと思わされていた。もっと勢いがある若手が、選考されてもよかったのではないかと思ったりしていた。

 野口に、心から応援したいという気持ちが湧かなかったのは,かつて彼女が所属していた企業のことがあったからだ。前回、輝かしい金メダルをとって,所属をグローバリーとした。この会社は,名古屋に本社のあった悪質な商品先物取引の会社であった。お年寄りをターゲットに次々と老後の資金をださせ,一任状態で手数料稼ぎの取引を繰り返し,ついには顧客を経済的に破綻させてしまうという事件が全国的に多発した。私も所属している全国商品取引被害研究会では,特別にグローバリ対策弁護団のチームをたちあげたほどであった。そんなとき,金メダリストとしてこの会社の広告塔になったのだ。彼女の海外遠征などに必要な豊富な練習資金は,こうしてお年寄りから巻き上げたお金が使われていたことになる。すぐに,研究会からも彼女に対して,この会社の広告塔となることは止めて欲しいとの申し入れを当時したはずである。私も,数件グローバリーの被害者の方の事件を担当して,被害回復を実現した。しかし,その後この会社は,行政からも営業停止処分となり,倒産した。

こんなことがあったので,野口をみるといつもあの事件のことを被害者の顔とともに思い出すのである。スターが,企業の広告塔の役割を担っている場合,その企業が違法なことをして,第三者に損害を与えた場合,広告塔としての責任を問われた判例もあり,有名人の方は,企業と関わる場合はそれなりに覚悟が必要である。

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