慌ててのまずは電話での相談であった。10年以上前に相談にきたことがあるとのことであった。記録でしらべるともう16年前の事件であった。電話をしてきたのは,相談にきた人の奥さんで,当時一緒に事務所にきたことがあるとのことであった。珍しい姓であったのでよく覚えていた。事件の依頼を受けて中華そばのチェーン店をやっていたその店舗にもでかけたことがあった。15日に玉島簡易裁判所に出かけたが,その途中の国道沿いにその店はあった。その時,ここ付近に事件の処理で来たことがあると思い出しながら通過した。当時の店はもうない。電話では,なかなか要領をえない。きちんと話した方がいいと思われたので事務所にきていただいた。
前の相談のときは,高利貸しから公正証書に基づいて強制執行を受けた件について異議の申し立て手続きをしながら争った記憶である。今回も自分で切り回していて,高利金融からの借金の支払いに行き詰まったようである。なにやら遺書めいたものを残して突然にいなくなったとのことである。奥さんは,何をどう話していいのかわからないのか,混乱して,順序だてて聞き出す作業からしなければならなかった。
妻とはいえ,夫の財産を勝手に処分したり,夫になりすまして債務の処理をするわけにはいかない。冷静にまずは夫からの連絡を待つこと,捜索願いを出しておくこと,負債の状況をこれから送られてくる郵便物やかかってくる電話で確認することなどを指示した。もし連絡がつけば,借金の整理などなんとかなることを告げてまずは今後のことについて弁護士のところに相談にくるように言うよう伝えた。借金のことは本人にとっては死とも引き替えにさえなる重大なことと思っているに違いない。経済的に失敗することは誰にでもあることである。人の命は,そんなことに比べるべくもない。相談にきた妻にも冷静になるように,そして最終的にはきちんと解決の道は見つかることを話して今日のところは帰ってもらった。10日ほど前にふと思い出した10数年前の事件に関して,すぐにこんな形で相談になろうとは,,,,,。