岡山簡易裁判所の事件,墓石に誤って俗名と異なる字を彫ってしまった責任を問う事件であった。6回目の期日のきょう,和解が成立した。弁護士費用より,得られる金額が少ないような事件である。それでも裁判によって解決する意味があると相談者は判断して,法的手続きによって解決をはかることにした。その和解の手続きにおいて,相手方と参与委員との話が行われている間,待合室で待機することになった。待合室のドアを開けると二人の男性が座っていた。二人とも同じような格好をして,携帯電話の画面を見つめながら黙ってメールを打っていた。まるで本物と影とが動いているようようであった。シーンとしている待合室で,二つの影が同じような格好でおなじことをしているのである。おかしくも,異様な光景であった。しばらくするとその二人の間で会話がはじまった。同じ事件の調停で出てきているようであった。やっと普通の光景となった。しかし,世間は,この異様な光景が当たりまえで,普通に直接会話で話をする方が珍しいのである。
夕方からは,来週の尋問の打ち合わせを行った。離婚事件で,離婚は納得できるが,二人いる子どもの親権は是非ともとりたいと言っている。何が幸せか,どうなるのが子どものためか,相手方とは大きく意見を異にする。裁判では,とりあえず,当方の依頼者の主張が最大限生かせるように頑張らなくてはならない。最終結末がどの場合がいいのか決断のつかない内に。