今、箱根にいる。司法研修所卒業35周年を記念して、全クラス500名のうち、有志200数十名が集まった。岡山修習であった仲間、クラスの仲間らが、久ぶりに会うことができた。クラス50名のうち、すでに10名が亡くなっていた。話し出すと、まずは共通のゴルフ自慢であったりするが、やがて話の中心は修習生時代の話で盛り上がる。講義をさぼったり、数十万円の飲み代をつけにしたまま、実務に散ってしまい、その後、支払にでかけた話など今の修習では考えられない武勇伝があった。そして、一様に、いまだに司法試験に落ちた夢、弁護士のライセンスがなくなった夢をみるとのことであった。司法試験の受験が,いかにきびしく、精神的に深い影響を与えてきていたかということであろう。私も,合格者が座るべき椅子が,私には用意されていなかったような夢を十年ぐらい前までよく見ていた。
今朝は、朝一番の飛行機便で東京へ出発した。東京都美術館で開催されているフェルメール展を観るためだ。フェルメールの絵は,オランダが勢いをもって大きくなっていったころの時代を超えて人々の暮らしている生活空気と人の息が伝わってくる不思議な絵である。「マルタとマリヤの家のキリスト」の絵は思いのほか大きく、色が鮮やかであった。「小路」も音のない沈黙のようであり、それでいて実は人の動きがあり、奥行きのある内側の活気を感じた。画集などでは、なんの変哲もなくみていたこの絵であったが、実物は色合いなどもひかれてこの絵の印刷されているクリヤファイルを買ってしまった。