平和的生存権の確認宣言〜人権大会

2008年10月4日

昨日の,シンポジュームは,悲惨な非正規雇用労働者の置かれている非人間的な状況と日本の社会構造がつくりだす悲観的な近未来を考えさせられた。大卒の正社員がリストラにあい,非正規雇用者に,遠く離れた工場に偽装請負と思われる派遣社員に,そこでの仕事になじみきれないうちに解雇となり,ホームレスにという生活を経験した人の証言もあった。社会を根底から腐敗させている雇用システムである。初めて職に就く人の40パーセント以上が非正規雇用というのだから異常である。拡大する格差社会の原因はここにある。そして,今日の大会において「貧困の連鎖をたちきり,すべての人が人間らしく働き,生活する権利の確立を求める決議」が採択された。

昨日の,このシンポ会場の受付に,もう20年以上も会っていなかった人が,待っていてくれた。20年以上前に岡山で記者として活躍していた人である。そして,いまは富山支局長をしている。その人の顔を見たとたん,あの20年前のころの感覚が一挙によみがえった。ジャーナリストとしてのまっすぐな気持ちで,熱意のみえる取材をしていた。当時,国家機密法(スパイ防止法)の立法の動きがあり,ジャーナリストの人たちとも勉強会をしたり,新聞に全面広告をだしたりする活動をしていた。豊田商事事件の処理があった。カルト被害救済活動・報道に対して激しい攻撃がなされたりしていた。当時はそういった出来事に対してジャーナリストの方と一緒に闘ってきたという感覚を持っている。その感覚がよみがえったのである。なつかしかった。当時の記者の人たちは,地方局のキャスターとなって活躍している人,大学でマスコミ学を教える立場になった人,ワシントン支局長としてしばしばテレビに出ている人,そしてまた今回知ったが,某有名作家との不倫事件の当事者となって話題となった人などいろいろである。そんななつかしい話をしながら昨日の夜と今日の昼の食事を共にしながら話し込んだ。

今日の大会では「平和的生存権および日本国憲法9条の今日的意義を確認する宣言」
も採択された。実は,これは激論がなされたのち,圧倒的な多数で可決された。今日の参加者のなかでは,改憲論者まずはいない。そしてみなさん9条は変えるべきでないという人がほとんであった。にも関わらず,「9条の今日的意義を確認する」にとどまり,改正反対が明確に宣言されていないというのが反対者の反対理由であった。しかし,強制加入団体である日弁連が真正面から憲法9条問題が取り上げられるようになったのは最近のことである。数年前の鳥取人権大会で初めて取り上げられた。沖縄の会員からは長年平和の問題で闘いながらも日弁連での討論の場がもてなかったのがもてるようになったこと,そして,今回はさらにそれを発展させていること,さらにこれからの取り組み強化を図って,日弁連全体で平和を守り抜くという戦いにしていかなければならないという意見がだされるなどして,宣言案が採決された。

わたしは,もうひとつの決議案に,議事が紛糾した場合の議事進行の動議をだすことを依頼されていたが,平和的生存権に関する議題に質疑が集中して,1時間50分もの時間を要し,みなさんお疲れになって,おそらくその後の議題はスムースであることを確信して,早めに会場を後にした。いつも弁護士の魂を呼び起こしてくれる人権大会であり,これだけはこれからも出続けたい大会である。

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