釈放,再逮捕

2008年10月15日

現在担当している刑事事件。全面的に否認している事件である。否認の趣旨は逮捕前から,公の場で説明してきている。捜査側は,被疑者の弁明の内容を熟知しているうえで逮捕をした。その時の新聞報道は「逮捕し,さらに余罪を追及している」と報道がなされていた。あたかも逮捕によって,その被疑事実は有罪が確定し,その余の犯罪について捜査がなされているかのような報道である。被疑者の取り調べの状況は,逮捕前と変わらなかった。全面否認のままである。つまり,余罪の追及どころか,逮捕事実である「本罪」の根拠さえ危ぶまれているのである。にも関わらず,この逮捕によって,そのことは一件落着かのごとき内容の報道は,誤りであり,被疑者の人権を侵すものである。

既にこのブログでも触れたが,この被疑者は勾留期限満了とともに釈放となった。ところが,その場で別件で再逮捕で新たな勾留が今も続いている。「本罪」について確証が得られなかったから,釈放せざるをえなかったのである。そのことに関してもある新聞は「再逮捕して余罪を追及」との記事が書かれていた。被疑者は,身の潔白を主張し続けて,既にいったん釈放されているにもかかわらずである。「本罪」の起訴ができないのであるから,「余罪」などあるはずはない。逮捕事実を小出しにして,いつまでも「自白」がないかぎり釈放,逮捕を繰り返そうとしている捜査機関のやり口をどうして批判しないのだろうか。警察べったりの考えしかできないマスコミの人権感覚のなさが哀しい。釈放されてほっとしたところで,すぐさまの再逮捕は被疑者を絶望の中に陥れる。こんな時に「自白調書」がとられる。

先日,新しい「被疑者ノート」の差し入れをした。今日現在,新たな被疑事実に関する取り調べはなされていない。

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