移送決定

2008年10月22日

きょう,離婚訴訟において当方の依頼者の被告の住所地である岡山家庭裁判所に移送するとの広島高等裁判所の決定をもらった。少し前には当方が提起している民事事件において,被告から同人の住所地である東京に移送申立事件に関し,却下の裁判があった。いずれも当方のホームグランドで闘うことができる決定で,ひとまずほっとしている。

普通の民事事件は,被告の住所地がまずは基本の管轄地である。あとは義務履行地などが管轄地を決める要素となる。今回は,貸し金の返済を求めるのであるから,義務履行地としての原告の住所地で裁判を起こしたのである。一方,離婚訴訟のような人事訴訟においては原告,被告のどちらの住所地においても管轄があることになっている。そんなことから,被告が岡山にいるにも関わらず,原告の県外の住所地で訴訟が起こされた。しかし,原告,被告のどちらの住所地でも離婚訴訟の場合は提起できるとしたのはそれなりに意味があったのである。例えば,夫婦の共同生活の実態が常に当事者の一方であるとは限らないし,別居後の生活実態の中心はどちらかなどそれぞれに違いがあるからだ。その実態に対応した管轄地で審理ができるようにしたのである。しかし,本件の場合,その生活実態を無視し,単に原告住所地でも裁判か可能だという規定を利用しておこしてきたのである。1審は移送を認めなかった。2審では当方が移送が認められるべきだという解釈論とは異なるところから理由を指摘して,岡山への移送を認めた。依頼者はきっと相手方に一矢報いたと喜んでいるだろう。

ところが,きょうは長崎地裁の事件を受任することとなった。これは,岡山への移送は無理な事件である。電話会議などによる弁論準備手続きを活用して出かける時間的,費用的負担をできうる限り軽減する必要がある。管轄問題は,費用負担との関わりが大きい。訴訟はホームグランドでじっくりと取り組めることが望ましい。

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