インターネット消費者被害

2008年10月27日

岡山弁護士会では、例年、秋の今頃、県民法律講座を開催している。昨日は、紀藤正樹弁護士に「IT社会における新たな消費者被害・人権侵害の脅威とその対処」と題しての講演であった。市民向けの開催であったが、紀藤氏とはカルト問題などを通じて一緒に弁護団活動をしていること、テーマについての興味も会ったことなどからこの講演を聴いた。彼の年代は、学生時代の頃からインターネットが本格的に普及しだし、仕事の当初からインターネットに自然になじんでいたことになる。しかし、今の若者は、小さいころから携帯電話、パソコンとインターネットに深くつながりをもって育ってきている。広範囲・無差別で匿名性のあるこの情報伝達手段がさまざまな人権侵害、消費者被害をもたらしてきている実態は良く理解できたが、どうしたらそれを防ぎ、救済が可能かという点については明確な回答はなかったように思う。おそらく、これはこれからも、試行錯誤しながら、加害者と知恵比べをしながら戦い続けることが必要とされているのだろうと思われた。

講演が終わって、会場から最近話題となっているマルチ商法の問題点について質問がなされた。彼は、この点についてわかりやすい見解を明確に述べた。マルチ商法を取り締まる連鎖販売取引の規制は、2000年に法規制が変更となった。それまでは、この取引に加入するための負担金(入会金あるいは商品の購入など)が2万円以内であれば規制がかからなかったが、この改正ですべてのマルチ商法に規制がかかるようになった。つまり彼の説明によれば、この改正前までは良いマルチと悪いマルチとに分けられていたが、以後はすべて悪いマルチとなったのであって、一定の要件をクリアしてはじめて例外的に認められるようになったというのである。わかりやすい説明である。野田議員はまだ良いマルチのある頃の良いマルチとの問題であったが、マルチ議連の活動した人たちはすべて悪いマルチとなってからの活動であり、確信犯であるとの見解である。しかも野田議員も含め、献金を返還するのなら、被害者に返還することをかんがえるべきでなかったかというのである。そのとおりであろう。被害を出して倒産したマルチ業者にどうやって返還したのかよくわからないが、こうした利益を悪い業者に返す必要はなく、マルチ商法で被害に会った人にかえされるべきであった。

私のスケジュールはウエブにあり、いつでもどこからでも確認できるようにしている。出張の航空券はインターネットでとり、チケットレスである。電子マネーはインターネットでチャージして使っている。最近は、インターネットを通じて海外とさえもテレビ電話ができる。不特定・無差別の匿名性の大量の情報があふれ、情報に惑わされ、人権侵害の発生の危険性のあるインターネットである。これらの情報に発達の段階にそった適切な接触と、そして必要に応じた利用が確保できるよう常に制度の検証・構築が必要である。

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