扶助審査

2008年11月5日

経済的理由で弁護士に依頼できず,法的解決ができないということがあってはならない。そんな人のために日本司法支援センター,愛称「法テラス」が法務省の管轄のもとに独立行政法人として設置されている。以前は,財団法人法律扶助協会が行っていた業務である。岡山の事務所は,私の事務所と同じビルにある。そんなことで,「法テラス」を断られた人が私の事務所に相談に来られることもある。たいてい,できれば受けたくないような相談であることが多いが,窓口ですぐに断ってしまわないようにはしている。司法への救済を求めている人が何らかの合理的な紛争解決手段にたどり着けなくては,司法への信頼は失われると思うからだ。

この「法テラス」では,援助できる要件があるか否かを審査して,基準に合致すれば,一定の基準に従って費用を立て替える。援助の要件は,まずは経済的に援助すべき要件があるかということと,その事件が勝訴の見込みがあるかどうかを判断することになる。今,この審査委員を担当している。申し込みのあった案件について援助の要件を審査するのである。きょうは4件の審査を担当した。私は,法律扶助協会時代を含めて,この審査委員を担当することになったのは初めてである。じつは,この委員をするととても勉強になる。申し込み書には,紛争の実情,勝訴の見込みなどが検討されていて,今後の方針等について記載されている。つまり,客観的に他の人の事件に対する判断の仕方を見ることができるのである。別の方法があるのではないかと考えられたり,また新たに教えられることもある。きょうは,すべて自己破産宣告の申立に関する事案であったが,やはり,他の弁護士の考え方を知ることができて,それはずいぶんと勉強になる。所長から依頼を受けて,半年間担当することになった。同じビルの中を移動するだけであり,自分のためにもなると思いながら,あまり人気のないこの職務を楽しみたいと思っている。

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