受ける立場で扶助審査

2008年11月7日

先日は,扶助の審査を担当した。担当した案件4件のうち3件は扶助決定,1件は再調査となった。申請のあった案件はすべて自己破産宣告申立事件であった。1年間に24万件ほどまでに達していた自己破産宣告申立事件は,今は14万件ぐらいまでに減少した。平成元年がほぼ1万件ぐらいだったのでその水準はまだまだ極めて高いといいうるであろう。経済的理由を原因とする自殺者の数がやはり年間3万人という高水準にあるので,この数はすぐには減っていかないように思われる。しかし,事務所での自己破産取り扱い事件はここ2年ぐらいでかなり減ってきたように思われる。

今日は,扶助の申し込みの立場で審査を受けた。事案は,自己破産宣告の扶助申し込みである。もちろん私が審査するわけでなく,別の審査委員が担当する。扶助の申し込みも結構面倒である。収入を証明する資料が同居の家族分まで要求されることがあったり,資産の状況が複雑であれば,その資産価値について判断できる資料等を揃えておかなければならない。こんなに面倒ならば,扶助の申し込みなどしないで,私の事務所で扶助と同じ条件で受任して処理してしまうこともある。しかし,いちど扶助の審査委員を担当するとその審査の公正を確保するためにその手続きは厳正に行われなければならないことが強く意識させられる。また審査をとおして,担当弁護士のその仕事の緻密さをみることができる。自分自身が扶助決定がだされて当然という思いで,かなり雑に扶助の申し込みをしてきていたのではないのかと反省させられる。そんな目で改めて今回の申請をみると審査委員にはわかりにくかったかと思い,反省している。もちろん扶助決定はなされたが,審査員がすぐに理解しやすい工夫はきちんとしておくべきであった。

弁護士任官制度があり、弁護士が裁判官となって、在野の感覚を裁判所に反映させることができることになっている。なかなかその志望者がなく、この制度が十分に生かされていない。まだ中国地方からも2名の任官者しかでていない。岡山からはまだ実績がない。判断をする側とされる側が適宜入れ替わるというのも単に法曹一元の理念からだけでなくても、上記の観点から必要で、有用であるとも考えさせられた。

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