23回司法シンポ

2008年11月9日

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司法改革の激しい動きのなか、毎年恒例の開催となってきていた司法シンポジュームは、今回は23回目であり、東京の日弁連会館を会場として開催された。関わっている委員会の所管となる行事であり、さらにテーマが「裁判員制度」であったので、参加した。

午前中は、「裁判員裁判における弁護人の役割」と題して、松川事件も司法修習生としてみてきたというベテラン、裁判員裁判の弁護技術を高めようと懸命に活動している中堅、刑事事件を使命と考え取り組んで裁判員裁判の模擬裁判にも熱心に参加している若い世代とそれぞれ刑事裁判に積極的に関わってきていた弁護士によるパネルディスカッションであった。裁判員裁判は、99,9パーセントが有罪判決であり、人質司法と言われた代用監獄での長期の身柄拘束による現状の裁判は、弁護人の裁判員裁判のなかでの工夫ある活動によって、やりがいのある法廷に変わっていく刑事弁護としてはとても楽しみな制度であるとの期待感を持った意見がだされた。公判前整理手続きにおいては、被告人の人権を守るという立場から裁判官を説得し、公判審理においては裁判員にわかりやすく語りかけて弁護人の主張を実現するという今までの刑事裁判とは違った醍醐味がきっと味わえるという趣旨だったろうか。私も是非ともやってみたいと思っている。現在受任している刑事事件は、否認事件であり、公判前手続きがなされる。裁判員裁判に向けての練習だと思い、じっくりと取り組んでみたい。

午後は、日弁連が企画・制作したドラマ「裁判員になりました〜ニュースの向こう側」の上映とシンポジュームがあった。上映に先立ち主演の木佐彩子さんが舞台挨拶をし、ドラマ上映後は鳥越俊太郎さんらとパネリストとしてでて、裁判員となった場合の気持ち、不安などの話をされた。そのシンポジュームでは、裁判員裁判の意義について批判的意見を踏まえての意見交換がなされた。大正時代の一時期に陪審制度が日本でも始まっていた。戦争の時代を迎え、この制度は停止された。そして、今また、日本の刑事裁判、いや司法に国民の声を反映させるあたらしい制度が動き始めようとしている。そんな、画期的な節目の時期に弁護士でいるのだから、やはり是非とも一度は、裁判員裁判を担当して、自分の刑事裁判の経験すべてを表現してみたい気持ちにかられた。

ところで、日弁連会館は、大岡越前守の屋敷跡に建築されているらしい。きょう、会館前にその史跡を明示する写真のような碑の除幕式がなされた。まさか、裁判員制度が大岡裁き方式で、裁く意味ではないだろう。きょうのシンポでも、「疑わしきは被告人の利益」にの原則がしっかりと守られなければならないことは繰り返し述べられていた。

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