このテーミス像は?

2008年11月10日

福岡の友人弁護士から「弁護士を活きる〜新人弁護士へのメッセージ」(福岡県弁護士会編,民事法研究会発行)送られてきた。言われなくても彼が編集しとのだとすぐわかる。かれは1日に1冊以上の本を読み,その本の評論を書く。自らもたくさんの本を出版している同期の名物弁護士である。今,このような本の必要性を私も強く感じていた。急激に弁護士が増加し,その弁護士も様々な活動スタイルを持っている。弁護士に共通する理念は「人権を擁護し,社会正義を実現する」ことにあることは争いないはずである。この基本理念は,日常の弁護活動,先輩弁護士の活動などを見ながら磨かれていくものである。しかし,今ではそうした人間関係が希薄になり,その弁護士としての連帯感,伝統の継承がうまくなされにくくなっている。福岡県弁護士会だけの問題ではなく,今の弁護士全体の問題でもある。こんな観点からも,ロースクール・司法試験などの法曹養成課程のありかたそのものも問われている。この本は,先輩弁護士たちの弁護士のコアとして持ってきたものを語り継ぐべく編集された本である。生意気のようであるが,わたしが「マチベンのリーガルアイ」を出版したのも一つには同じ意味を込めていた。若き弁護士に是非一読していただきたい本である。

この本の表紙には,テーミスの像のスケッチが描かれている。このスケッチの対象となった像は,今年9月にウィーンの蚤の市で購入したブロンズ像に間違いないと思われる。足の下までは描かれていないが左足は本の上にいる蛇の頭を踏みつけ,右手の剣の先はその蛇のしっぽに突き刺さっているはずである。顔立ち,衣服の右肩からのずれや左ももが裾の乱れによって露出している様子,そのほかの部分の衣服の皺などがまったくいっしょなのである。年代は分からないが左の足の下になっている本の部分にパリの鋳造所の刻印がある。この本の装丁をした人に是非とも確かめてみたいと思っている。

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