犬も食わぬけんかだった?

2008年12月6日

前に夫婦での相談にこられたことのある妻の方が娘を伴って相談にきた。緊急の相談であるとのことで,電話での連絡があった翌日の相談であった。もう既に30数年間の婚姻関係が続いているが,昨夜はじめて夫が暴力を振るって離婚だと言って,家から出て行けと言われたとのことである。かなりの興奮状態であった。話すことは夫に対する不満ばかりであった。娘もそれに同調していた。そんなに不満があるのであれば,もっと早くに別れていれば良かったのにと思うほどの話であった。落ち着いてゆっくりと考えていけるように,離婚の問題点,その方法などについてひととおり説明した。一時的な感情のように思えたが,本人の状況は決してそうは思っていない。少しばかりの冷却期間でなんとか納まることも期待した。ところが,きょうはその夫婦二人から連絡があった。どうやら二人で「離婚と言った,言わない」程度の争いだったみたいだ。お騒がせしてすみませんとの電話であった。本当に犬も食わないといわれた夫婦けんかのとばっちりをうけただけのようであった。

破産事件の債権者集会があった。会社,代表者,その妻と破産宣告を受けていて,その第1回の債権者集会であった。必死で倒産をしないですむように,最後まで夫婦で懸命に頑張っていた。債権者集会の冒頭で債務者からの債権者に対する挨拶の機会をもらって,一言,迷惑をかけたことを謝罪する挨拶をした。債権者集会が進んでいくうちに,個人の債権者が出席していて,現在の生活の窮状を切せつと訴えていた。父子家庭であること,債務者を信頼して貸したものであること,この貸し金が返済されなければ自殺も考えざるをえないと言わぬばかりの話であった。破産宣告の手続きが開始となって,債務者らは幾分気持ちが落ちついてきていた。しかし,債権者に取り返しのつかない迷惑をかけている事実をこのようなことで思い知らされることは債務者にとってもとても苦しいことである。債権者のそのような話を債権者集会で聞いていた申立人の妻の表情がひきつるように見る見る険しくなっていった。債権者集会の期日が終わってもその表情には変化がなかった。とうてい,癒されることのない重荷を背負ったという気持ちだったのだろうか。

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