無知,プロ

2008年12月9日

6,7年前に相談にきたことがあるという。顔をみても全く思い出せなかったが,岡山の刑務所を出所してまもなく,消費者金融からの請求を受けて相談にきたと聞いて,はきっりと前の相談のことを思い出した。岡山の刑務所を出所したというのだから重罪であったはずである。実質10年間の刑期を岡山刑務所で過ごしたのであるから,当時も詳しくは聞かなかったが,同情の余地のない殺人罪であってもおかしくはない。当時の話からは妻殺しかと想像したことを憶えている。気の弱そうで丁寧に話す人であった。とても重罪を犯してしまった人にはみえなかった。10年間を岡山刑務所で過ごして,仮釈放ででたところ,すかさず大手消費者金融から元金の何倍もの利息を付しての請求であった。支払えるわけもない。本人は途方に暮れて私のところに相談にきたのである。既に時効にかかっていて支払う必要がない旨の厳しい文書を作成してあげた記憶がある。この1件はこれで落着である。

ところが,それから6,7年経過して,また別のところからの借金を返せと請求がきたと相談にきたのである。その後の生活も平穏であったようだ。落ち着いた様子できちんと対応された。しかし,今回の請求にも驚いたようである。借りてから既に30年近くを経過している。何らかの支払い義務が残っていたとしても既に時効である。法律的には支払うことになることはありえない。そのことを話すととても安心した表情を浮かべていた。当たり前のことで悩むことなど全くなかったのだ。相談料はいいよというと,そうはいかない是非ともとっておいて欲しいというので3000円を受領した。ごく簡単な相談であり,受刑者のきびしい生活を社会で強いられてきたことは容易に想像できる。そんな人からは相談料はもらえないと思ったのであるが,頂くことが彼の社会生活の証しかも知れないと受領した。無知が人をとても不安にさせてきたと言える。

一方,京都家庭裁判所の書記官が,巧妙な手口で,振り込め詐欺で凍結されていた口座からお金を取得していた。これは,法律を知り尽くして,違法であることをわかったうえで,判決書まで偽造して実行した犯罪である。正義を実現する裁判所を舞台での犯罪である。人はどこまで悪くなりうるなのだろうか。その詳しい法律知識は,もっと社会に役立てることに使えるはずである。

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