弁護士密告制度をつくらせないために

2009年2月13日

昨日は,事務所に出かけなかった。仕事にも全く手をつけることはなかった。しかし,薬を飲みながらの1日であり,日常生活と全く異なった生活であった。そのためか,今日の事務所へでかけた時の感覚は,数日間事務所を空けていたしまったような感覚に襲われ,16日の月曜日になっているとの錯覚に陥っていた。周囲にその感覚のずれを感じさせてしまうこともあった。

午前中は,日弁連のライブ研修を受けた(実はライブではなく,弁護士会の都合のために録画放映)。私が日弁連の理事だったころの2004年ごろ,FATFの勧告を受けて弁護士がマネーロンダリングの疑わしい資金の動きの報告制度が立法化されようとしていた。依頼者の弁護士の守秘義務を信頼してなんでも相談できるという信頼を根幹として弁護士の仕事は成り立つものであって,その義務を否定する立法はどうしても受け入れることはできない。そんななかで,日弁連への報告義務を認めて,その日弁連が報告すべき事案だと認めたものに限って政府へ報告することで密告制度をつくらせまいとしようとしていた。理事会で私はそうした運動のなかで,世界の情勢はどうなっているか,世界の弁護士会との連携をもう少し強く持つことで,とっぱすることはできないのかと執行部に質問をしたことがある。この問題は,その後,報告すべき職種から弁護士だけがはずれて立法化され,運動は当面成功した。しかし,FATFの調査があり,勧告の履行ができていないとの指摘があり,弁護士の密告制度制度の立法化がなされる危険性は消えていない。こうした批判を受けないためにマネーロンダリングに手を貸す結果とならないために弁護士会のルールに基づいて帳簿の管理,依頼者の身元確認などをきちんとするための研修であった。弁護士会の自治を守り,職務の独立性と信頼を守り抜くために自らの姿勢を正すことにその目的があった。研修のなかで,世界の弁護士会がやはり同じような戦いを現にしていることがわかり,弁護士の仕事の核をなす問題であることを再認識させられた。この話題に触れたのは、2004年の理事会で執行部の対応がどうしても理解できず、質問をし、その答弁にも納得ができなかったが、他の理事からは何らの意見がでなかったので意見としては執行部方針を了承した。その後の展開で、弁護士が報告義務者から外れ、事なきを得たのであるが、私の感覚は間違っていなかったと思ったことと、やはり疑問点はしっかりと質しておくべきであったという反省からであった。麻生さんではないが「あのときは訳のわからないまま賛成した」などと無責任なことを言わないですんだ結果であったことは良かった。

夜は消費者ネット岡山の理事会であったが,適格消費者団体となるまでにはまだまだ越えなければならないハードルの高さをこれまた再認識させられる状況であった。

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