「心神喪失の状態で重大な,,,,,,,,法律」

2009年2月14日

事務所にでて,一息ついているとし,弁護士会からFAXが届いた。医療観察法による鑑定留置されている人の付添人の受諾依頼である。これを見ただけでは,はてなんのことだかすぐにはわからなかったが,この法律が施行された当時に依頼があれば受任してもいいとの返事をしていたようなことがあったことが思い浮かべられた。刑法改正問題が具体化していた今から30年も前のころ,精神障害者に対して保安処分の導入が検討されていた。もちろん,日弁連は保安処分導入には人権侵害の恐れがあるとして強く反対していた。心神喪失者に刑事罰を課すことはできず,保安処分で隔離処置をすることにも問題があり,もっぱら本人のために何よりも治療が優先されるべきだというのが基本的な立場であった。しかし,心神喪失者で重大犯罪を犯した人が刑事罰を問われないで,治療も受けられることなく社会に放置されることは社会的にも好ましいことではない。そんな背景があって,2005年7月から「医療観察法」が施行され,一定の要件を満たす人に対して強制的な治療によって社会復帰を促す制度ができたのである。

この法律の名称は「心神喪失状態で重大な他害行為を行った者の医療および観察等に関する法律」という長い名称の法律である。この名称が長くなったのは,その範囲目的をめぐる激しい議論が制定の経過にあったことを意味する。今回の付添人の役割は,審理の結果なされる入院や通院を強制する強制治療が,治療に必要な観点に貫かれていて,不当にその人の自由を不当に拘束する結果になっていないかどうかを見極める役割である。新しい制度で私としては初めての任務であるが,この制度はかつて日弁連の刑法改正阻止実行委員会に関わっていた当時からの議論の流れを思い出させ,しっかりと今回は役割を果たそうと考えている。

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