支払い能力がなければ,,,,

2009年2月24日

離婚,養育料,不貞の慰謝料請求などが複雑に交錯してどんな対応ができるだろうかという悩みの相談を受けることがよくある。今日も,そうしたなかでの離婚調停をしている人からの相談があった。離婚だけが解決しても,何も解決したことにはならない。養育料の支払い約束,離婚の慰謝料,不倫の相手方に対する損害賠償請求など気持ちの治まらないことは後に残ってしまう。しかし,それを相手方に現実に請求して,最終的にも法的に責任を認めさせることができてもそれを支払う能力がない場合,あるいは強制執行することが不可能な状況にある場合などはそれは絵に描いた餅になる。そんな客観的な状況をみて請求をあきらめることも合理的な選択の一つではあるが,それでは「逃げ得ですか」「法を守らなくて刑務所に行かなくていいのですか」などと不満が残る。支払い能力がないのは仕方がない。ない袖は振れないし,ない者からは取る術はないのである。

同様の問題を抱えた裁判の和解期日があった。当方は,慰謝料の法的な意味での支払い義務のあることを争ってはいない。金額的にも相手方の請求はそんなに過大なものとも思えない。しかし,この不況である。従前の収入は極端に落ち込んでいる。雇用が確保されているだけでもいいとされなくてはならない自動車産業に勤務している。支払えない約束はできない。ぎりぎりの提案をしたが,とうてい受け入れがたいという対応である。こうした事態を踏まえて,裁判官から次回までに和解案を出してもらって双方が検討することになった。双方が冷静に考えて客観的に履行可能な範囲で和解をしてみようという双方(代理人?)の考えによるものである。

医療観察法による付添人としての記録閲覧などを行った。国選弁護士の場合と異なり,一件記録のコピーを裁判所が提供してくれるとのことであった。せめて,医学鑑定書だけでも謄写をして,綿密に検討が必要だと手配したところであるが,当然ではあるとは思うが,記録の手配をして頂いたのは,他の事件ではみられない裁判所のサービスである。国選事件などでは何もかも自己負担で処理していくことが当たり前となっているのと比べ,意外なところで,感心してしまった。

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