「悪質な代理人」

2009年3月19日

準備書面のなかで相手方弁護士のことを「悪質な代理人」と明確に非難することを書いた。35年の弁護士経験のなかで初めて代理人の訴訟行為を名指しで批判した。訴訟は互いの当事者の見解が異なるから起こるのであって,当方の主張とことなることは当然である。そのこと自体はなんら批判することはない。正確に批判が丁寧に組み立てられていれば,それは尊敬に値する。そんなことで,互いの代理人同志が当事者の異なった主張をだしあっても決して気まずくなることはない。しかし,今回のやり方は,とうてい許せない対応であった。その書面をだして,弁論準備期日に顔をあわせたが,何も感じていないような対応であり,どんな神経をしているのかと思われた。

この事件の私の依頼者はかつて貸金業者を営んでいた者であった。消費者の権利を守ることを信条としている私は,普通であれば受けることをしない職種の人である。この人ともかつては激しく対立したことのある人である。相手方は,まずは裁判をおこしてしばらく訴状の補正などがあったようであり,この訴状を被告である当方に送達しないで期日を経過していた。こちらはこの裁判がおきていることを知らされていない。その後に当方に調停を起こして,この裁判と同じ請求を含む申立をしてきた。本人は,その調停でのことについては問題が一切解決するのであれば特に争う意思はなく,その旨をあらかじめ書面で意思を伝えた。第1回期日でその代理人は訴訟の提起の事実を裁判所にも伝えないで,調停が成立した。相手方はその日のうちに調停と同じ請求部分について訴えの取り下げの手続きをして,訴状の送達をしてきた。当方の依頼者は,すべてを解決するからというのでそのことを確認して調停を成立させたのに,このやり方は許せないと怒っていたのである。調停の段階で相談は受けていたが,一切を解決するということを確認して,調停に応じればいいのではないかとアドバイスをしていた。依頼者は裁判所にも騙されたと主張している。こんなやり方を弁護士がしてはならない。この弁護士とは昨日も他の事件で法廷で対峙した。記録も持たずに代理人席に着き,裁判官からの質問にも答えられず,裁判官がさらにその代理人に説明をしているにも拘わらず,途中で携帯電話で話だすという法廷での礼儀をわきまえない態度であった。準備書面に「悪質な代理人」と指摘して,後悔しない相手方弁護士の態度である。

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