弁護士任官適格者選考委員会

2009年3月30日

数日前の朝日新聞の特派員メモの欄にミュンヘンの裁判所での法廷の様子に日本の裁判官とずいぶん違うことが記載されていた。日本の裁判官は,裁判所のなかで一般の人と気軽に冗談を言ったりはしない。食堂でであう弁護士らと歓談しながら食べたりはしない。この記事は,法廷でくしゃみをした裁判官にすかさず「お大事に」という声がかかったり,その法廷でやりあっていた弁護士,検察官,被害者らといっしょに食事をしていたというのである。制度としてドイツの裁判官は,市民的自由が保障されていて,市民運動に参加したり,地元で演劇サークルを市民とともにしたり,ストライキもしたりと自由な市民生活を送っている。このことが先ほどの法廷の雰囲気を醸し出しているのだと思う。

一方,日本の裁判官の生活は,そうとう特殊であるといわなければならない。先ほどの司法改革のなかで,裁判所の運営には地裁委員会,家裁委員会という市民が参加する制度が生まれた。しかし,なかなか,それらの委員会が機能するところまでにはいたっていないし,裁判所はこの制度を形骸化しようとする動きさえみられる。裁判官の再任,任官についても基本的に最高裁の独善は通じない制度となったが,人事の特殊性からこの運用にもなかなか問題が多いように思われる。日弁連も相当大きなエネルギーをつかって,市民的自由が保障された中で法曹として仕事をしてきた弁護士を裁判官にという趣旨で生まれた弁護士任官制度も,十分な裁判官の供給源とはなりえていない現状である。このことは,最高裁側の問題と弁護士側の問題と双方に問題があるように思える。

きょうは,中国ブロックの弁護士任官適格者選考委員会が開催された。民間の方もはいった委員会である。民間の方から的確な質問がだされていた。裁判官になろうという人に対して,市民的自由が保障されたなかで形成された現場の体験に基づく意見をどのように実現していくのかという観点からの期待をこめた質問がいくつかあった。ドイツの雰囲気まではただちにいかなくても,この弁護士任官はそうした雰囲気に一歩でも近づく,原動力になっていくものと思っている。

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