脱ぎ捨てたかったもの

2009年4月26日

スマップの人気タレント草薙剛君が深夜,公園で裸になって騒いでいたとして公然わいせつ罪で逮捕され,処分保留のまま釈放された。逮捕も当然であれば,この釈放も当然である。本人は,酩酊していて何も覚えていないということであり,かなりの泥酔状態であったことは間違いないようである。そうであれば,衣服を脱ぎ捨て裸になった時は,心神喪失状態であったといえる。心神喪失であれば,刑事罰を問うことはできない。これが殺人罪などのように重大犯罪であれば,医療観察法の対象となるがそれもない。単にみっともない行動をしてしまったということだ。彼は,そのイメージどおりきまじめなタイプであり,そのキャラクターが定着している。しかし,そのイメージどおりであろうとする緊張感は四六時中,彼を縛り付けていたのではなかったのだろうか。脱ぎ捨てたかったのはまさにその呪縛そのものではなかったのかと思われる。

弁護士はその職務を行うときは弁護士バッジを着けておかなければならない義務がある。なかにはこれを着けないことを主義としているような人もいるが,これは職務規程に反する。私は,これを着けるようにしていて,これを着けていないと何か落ち着かない。しかし,出張の場合は行きは着けるが帰りは裏返すことが多い。一仕事終えて,弁護士の「肩書き」から解放されたいと思うからだ。逆に着けていると,何らかの緊張感を持って行動していることになる。こんな小さなことでも緊張感を持たされているのであるが,全人格的に大きな仮面をかぶりつつ,その仮面通りに行動して行こうとするそのプレッシャーはあの若者にとって相当のものだったに違いない。単純に「最低の人間だ」などと言い切れる政治家とはセンスが異なる。しかし,決していいことではない。酒におぼれる前兆であったとも言える。スターであるが故に,責任を問われ,影響力は大きい。しかし,刑事的には責任を問えない場合であると思う。騒ぎすぎである。

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