新型インフルエンザに今回も

2009年5月2日

新型インフルエンザがレベル5にまで瞬く間に引き上げられて,世界的流行の危険が高まっている。大騒ぎする割に,症状の深刻さはメキシコを除いてはさほどではないと思われる。メキシコの被害が深刻なのは,人種的な特徴があるのかあるいは環境要因なのか。日本国内において「貧困」による格差が問題とされるようになったが,グローバルな格差問題がこの被害の違いを見せつけているのかもしれない。解決すべきは,この格差問題なのかもしれないことを考えさせられる。

この騒ぎで,2003年の香港でのSARS騒ぎが思い出される。そのころ特典航空券を使って香港での休暇を企画した。ところが,SARS騒ぎがだんだん大きくなってきたが,せっかく取った航空券を無駄にするのはもったいない気持ちで旅行はマスクをして強行した。行きの飛行機はキャンセルがあいついでいて,空席が目立っていた。香港についてからは観光客はほとんどいない状態であった。夜景を楽しむ夜の2階建てバスによる観光は数名しか乗っていなかった。旅行ガイドで,展望の良いレストランと紹介され,その中でも良い席と紹介されていたところには誰もいない状況であった。なんとのんびりと観光できるものだとその快適さを堪能していた。しかし,その翌日の新聞には,マンション1棟の住民が全員隔離されたと大きく報道されていた。事態は日々深刻になっていったのである。帰りの飛行機は,我々が搭乗する前に消毒がなされたとのことであった。係の人々は全員がマスクをしていた。飛行機のなかには緊張感が漂っていた。行きの雰囲気とかなり違っていた。日本に着くと,入国に際してサーモグラフで体温のチェックがなされているようであり,報道陣が何人かを取り囲み,香港の街の様子を聞いていた。それだけではない。帰国後は周囲の人々からは白い目で見られ,できれば会議などで一緒したくないと遠回しに出席を遠慮するようにとの扱いであった。その扱いは仕方がなかったのかもしれないが,不当な扱いではないかととても不愉快な気分になったものだ。

実は,この騒ぎのなか,ロサンゼルスに行こうとしていた。レベル3の発表があったころ,ロスにいる長男から5月15日に挙式される大学院の卒業式の招待状が届いた。来て欲しいとというのではなく,招待状を州知事も出席する式の記念にとの趣旨である。カリフォルニア州の州知事といえばシュワルツネッガーである。それではと今回も特典航空券を使ってロサンゼルスに行こうと企画した。日本には被害はなく,アメリカも深刻な被害はないということであったからだ。早速,チケットの手配をしたところ,WHOの判断はレベル4となり,さらにレベル5となった。これではもはや出かけるべきではない。SARSのときよりもっと深刻である。自ら患者となることはなくても,行くこと自体に批判を受けそうだし,何か起きたときの身柄の拘束は自由な行動に大きな制限を加えられることになることが予測されたからだ。今回は,SARSの不愉快な気持ちを思い起こされ,あきらめは早くついた。

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