憲法記念日

2009年5月4日

きょうは憲法記念日であった。国の基本法ができたことを祝う日であるから建国記念日に匹敵する国を挙げての祝日であるはずだ。しかし,国権の3権の誰からも憲法の大切さ,憲法の基本理念である国際平和主義,基本的人権の擁護,国民主権の普遍的価値の尊重について話す人はいない。その建国記念日は,一部国家主義者のみにしか意味のない日に設定された日であり,これまた盛り上がりにかける。政権与党がこの憲法の改正を公約しているのだからいわずもがなである。

かつて,「革新」勢力が憲法を「守れ」と言い,「保守」勢力が憲法「改正」と対立してきた。おかしなことである。今は,双方から「改正」という言葉がでている。憲法の理念についていけなかった保守勢力は,もとの憲法に戻したくておきた憲法の先進性によるねじれ現象だったのだ。一方は自主憲法,憲法9条改正をテーマとし,他方は憲法の理念をより前進させるためであるという。あたかも改正についてこぞって賛成という方向のようだ。そんな政治的な目論見とは別に確実に憲法は国民の間に根付いてきている。憲法改正の論議が起これば起こるほど我々の生活に憲法がしみこんでいることを理解することができる。

憲法はいささかも改正する必要はない。民主党は,今の憲法理念をより先進させる意味での改正をするといっているが,憲法はどこも改正する必要はない。例えば環境権が憲法に定められていないから改正の必要があるなどとの意見があるが,今の憲法でも環境権は憲法上の権利であると解釈することも可能である。憲法の人権規定は,複雑多様化している社会において新たな人権の内容を盛り込むことが必要となってもそれを包含することのできる憲法上の仕組みを持っている。いわば「開かれた」人権規定なのである。社会がそれを人権の内容と認めることができるようになれば,憲法上も保障されるべき人権の内容となっていく仕組みがあるのである。今は,しっかりと今の憲法を守り,世界に平和の実現をしっかりと発信していく時である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Links

Calendar

  • 2024年7月
    « 5月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031