福岡高裁危険運転致死罪の適用

2009年5月16日

今日の夕刊トップは2006年に飲酒運転で追突して3人の幼児を死に至らせた事件で1審の業務上過失致死罪を適用し,懲役7年の刑の言い渡しを破棄し,危険運転致死罪を適用して懲役20年を言い渡した記事であった。

マスコミ各社とも大きくこのことを報道している。テレビでは布でくるまれた遺影を持って法廷にはいる被害者の両親の映像,その判決後の感想を述べていることなどが詳しく報道されていた。やはりむごい結果が生じているのだから,懲役20年ぐらいになるのは当然だといった雰囲気の報道である。しかし,報道の内容は果たしてそれでいいのだろうか。1審の事実認定がいかなる過程をえて2審において覆されたのか,懲役7年が20年になったことではなく,その罪が適用されるに至った過程についてきちんと検証されるべきであった。その観点にたった報道がないことが裁判を単なる報復の場としかねない危険性もっているといわざるをえない。

裁判員裁判を控え,司法記者の方々も事件報道が被害者側からばかりとならないように気をつけていると言っていた。今回の事件で言えば,1審判決の事実認定に至った経過が否定されたわけなので,丁寧にどこが違ったのか,その判断は常識的に見て正しいのか市民の目線で検証できる報道であって欲しいと思う。

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