見えない敵

2009年5月20日

まだ,人に抗体ができていない新型インフルエンザウィルス。感染力は強そうだ。しかし,健康への被害は季節性のインフルエンザと似たようなものだ。治療にはタミフルが効果があるとのことだ。そんな条件のウイルス対策に防護服でかためた人たちが検疫検査をする。病院では徹底した隔離診療が行われる。感染者がでた地域での学校では休校措置がとられ,外出の自粛が要請される。多くの人の集まるイベントが次々と中止となる。まるでバイオハザードの映画を見ているような状況が繰り広げられている。敵の正体が見極められない間のやむをえない状況とみるべきなのだろうか。WHOの方針も明確に伝わってこない。

修学旅行が次々と中止となっている。なかには新幹線に乗り込む直前に中止となった例もある。彼らは楽しみにしていた,貴重な体験を得られないままこの時代を通り過ぎなければならない。もし,旅行を強行して,そのうちの誰かが感染したとしたら,旅行の実施を担当した関係者は激しい非難にさらされるであろう。指導,監督の立場にある教育委員会も非難の集中砲火をあびることだろう。そんなことを考えると安全な方に判断はシフトせざるをえない。責任を問う裁判でも提起されればまずは敗訴するだろう。しかし,ほんとうにこの処置は正しいのだろうかと疑問がわく。

国民の健康を守るのは,政府の責任である。その健康が危機にさらされていれば,その危険から防護しなければならない。しかし,今回はその危機の程度が明確に判断できないことが問題であるようだ。季節性のインフルエンザと変わらない健康被害しかないのであれば,それと同等の対策をとればいいのではないか。ある程度の感染の危険はやむをえないとも思えたりする。見えない敵であるからこそ,なにが適切な対策なのか,不安ばからりが募ってくる。この不安を一日も早く取り除くのも政府の責任である。何よりも大切な人の健康に関することだけに難しい判断であるには違いない。私にも何がベストなのか判断がつきかねる。人の自由の制限を伴うことが必然であるが故に,適切に情報が公開されて国民的な納得が得られる中で決せられるべきことである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Links

Calendar

  • 2024年4月
    « 5月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930