裁判員裁判始まる

2009年8月5日

東京地裁で裁判員裁判が始まり,その報道の扱いは各社とも大きな取り扱いとなっている。昨日に続いて,ドキュメント風に詳細に裁判の進行状況が報道されている。当たり前である。長い間,裁判官だけによってなされていた裁判に民間人の裁判員が加わるという全く新しい制度の運用が始まったのだからこの程度の報道があっておかしくはない。やがて日常化してくれば,当たり前となって注目される事件についてのみの今までの報道と同じようになってくるだろう。大きな改革だけに,我々にとってもこの運用の状況をみることはずいぶんと勉強になる。

おそらく東京地裁で担当する裁判官は,あらかじめ注目を浴びることを予想し,最高の人事配置がなされているはずだ。検察官,弁護人についてもそのような配置が工夫されているはずだ。外部からみても最高の人の配置のなかで審理が理想的な形をとってなされていると考えて良い。模擬裁判を経験しての感想をいえば,裁判長の裁判員制度に対する理解度によって大きく審理の形が変わってくる。裁判官は,裁判員制度のなかでどのような役割を果たすべきなのか,その制度趣旨を十分に理解して裁判にあたらなければならない。

弁護士にとってみれば,裁判が始まるまでに既に大きな手続きの変化が現れている。事前の公判前整理の段階で,検察官手持ち証拠の開示手続きがなされている。いままではありえなかった光景である。調書を中心とした立証から,直接法廷での証言が大きな意味をもつようになった。これから,捜査段階での取り調べの完全録音,録画などが現実の問題となってくるだろう。これらのことは今までは考えられなかった変化である。こうした変化が,裁判員制度が誤判を防ぐ大きな力となると私は確信している。

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