免責審尋

2009年8月28日

免責審尋手続きに付き添った。破産宣告をしただけでは,負債は0にはならない。宣告の後に免責の決定があってはじめて0からの再出発となるのである。浪費やギャンブルなどで借金をふやしたのではないことなどの事情がなければ,免責される。このような事情がある場合にも事情によっては免責される。いや,破産宣告を受けた人のほとんどが免責されているといってよい。現実の問題として破産宣告をしても負債がそのまま残ってしまえば,その人の生活は決して再建することは困難とみられることから,裁量的に免責決定がなされるのである。

協付き添った人は,会社員であり,結婚していて子どももいる。今日の免責審尋は集団的に行う方法によってなされた。ごく普通の人であり,いままで社会で普通に生活をしてきていた。しかし,ちょっとしたことでサラ金から借りたのが始まりであったが,やがて返済金を確保するためにブランド商品をクレジットで購入し,これを売却して借金の返済資金に充てていた。明らかに犯罪行為を犯している。しかし,本人は説明するとなるほどなどといって深刻に受け止めていない。自分で買ったものを販売して何が悪いという感覚だ。分割代金が完済されていない段階では,まだ完全な所有権を取得していない。他人のものを勝手に売り払ったのと同じである。このような簡単なことが理解できていないのである。この人は弟さんが付き添って最初に相談にきた。自分が悪いことをしたとの認識はなかった。心配した裁判官から反省文の提出を求められた。生きていくためのスキルの教育不足を感じた。もう40歳にもなる人である。もっと社会常識を持っていていいのではないか。裁判官から審尋を受けている依頼者の後ろで,その人の背中を見ながらこんどこそ,道を誤らないで欲しいと願っていた。

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