国選弁護事件

2009年9月10日

高裁に継続中の国選弁護事件。先日,第1回の公判期日があり,被告人質問が採用されて,結審となって次回判決である。それまでに示談が成立すれば弁論を再開した後に判決とするとのことである。この国選事件は,多くの人が事前に就任を断っていた。この被告人は多くの弁護士を訴えてきていたようだ。そうした行動を知っていて敬遠されたようである。しかし,配点担当者から,できれば受けて欲しいと頼まれ受任して処理している。

何度も刑事事件の経験はある人である。結構無理難題な相談や要求があったりするが,きちんと説明してできることとできないこと,有利になるかならないかの見通しを伝えると一般的な常識に従って納得はしてくれる。今日も否認事件でありながら示談の交渉して欲しいとの要請があって,それなりに努力したが無理であったことを伝えにでかけ,次回期日は単純に判決がなされるだけとなることを話した。被告人はさばさばとして今後言い渡されるであろう判決をいろいろと検討していた。気が重く接見にでかけたのであるが,本人はここでまでやっていただいて感謝しますとのこと,妻に元気でいることを伝えて欲しいと深々と頭をさげるのである。次回期日に言い渡される判決にはどんな気持ちで受け入れるのであろうか。もっとも国選事件の救われるところは,選任されたこの控訴審だけの責任で終わることだ。上告審まで責任を負うわけではなく,これで職務を完了することになる。

午後からの弁論準備手続きも難件がひとつあった。調停事件と訴訟事件と並行して起こされていて,調停事件で調停成立し,すべて解決したとおもっていたら,知らされていなかった訴訟事件が動き出し,さらに莫大な請求を受けるに至った事件である。その訴えを起こしているのが弁護士が関与してでのことであるのでなんともイヤな事件である。しかも,通常であればこの種の事件に関して決して私は受任しないであろうという被告事件である。あまりに不適切な手続きにさらされている被告を放置しておくのは司法への信頼を損なうと考えて受任した。今日の訴訟指揮は,こうした実態を見据えての判断が示されていて,いくぶん解決にむけて明るい見通しができるようになった。なんとなく気の重い民事,刑事の事件を今日は処理することになったが,どちらも少し気の楽になる方向にすすんだことが成果であった。

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