新司法試験合格発表

2009年9月12日

厳しい合格者のその後の就職状況が話題となっているなか,新司法試験の合格者の発表があった。70%の合格率を制度設計としながら,現実は30%程度である。合格の確率が低く,高い授業料を2〜3年間支払って,合格してもその後の司法修習があり,そこでも不合格となる人がいる。その司法修習生の給与が来年の合格者から貸与制となることが予定されている。大学を卒業しても,合格の保証のないなかさらに高い授業料を支払い続けることができ,さらに合格しても1年間の司法修習時代の生活を自前で確保することのできる人のみが,賭けをしないで法曹になることができる。そんな制度になってしまいかねない問題を抱えている。

昨年,私の講義を聴いていた学生も5月の試験を突破していて,この合格発表の日を待っていた。挨拶に事務所によって,将来の夢を語っていた。しかし,不合格であった。来年も挑戦するとのことである。大変な経済的負担となるであろう。そのような状況で,いつまで理想に燃えてこの世界に飛び込んでこられるだろうか。今の制度にはいろいろと問題がありそうだ。司法を担う法曹育成のシステムとして,人権と平和の砦となりうる優秀な人材が育っていける制度はどうあるべきなのか,法科大学院のあり方と共に根本的な検討が必要とされているように思える。

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