久しぶりの速記つき

2009年12月26日

午後から姫路支部での尋問。法廷には書記官の両側に速記用タイプが置かれていた。岡山地裁では,最近速記つきにであっていない。たいてい録音反訳で,尋問が録音され,外部の業者に反訳の外注がなされる。その外注の反訳を書記官,裁判官がチェックして尋問調書となる。きょうのこの法廷の光景は久しぶりに見た光景である。しかも速記タイプはパソコンとつなげられている。昔の数少ないキーとは少し違ったかたちのキーとなっているようであった。

実は,この速記官は絶滅危惧種いや化石となりつつある職種なのだ。最高裁は新たな速記官の養成を行っていない。速記タイプの製造は既に中止されている。多くいた速記官は,書記官となったり事務職に変わってきている。速記は,外部の業者とはことなり,事件を理解して事件にでてくる特殊用語などもチェックしたうえ,目の前で証言されている人の言葉と表情を確認しながら速記する。外部の人に秘密が漏れることもない。司法の合理化のなかで,録音反訳という便宜な方法がとられてきている。

裁判員裁判となってあらためてこの速記の必要性がクローズアップされている。その場で証言を確認する必要があったり,評議の場で証言内容を改めて確認する必要性が生じた場合,速記録でただちに正確に確認できるからだ。さらに,聴覚障害者の方には速記の内容をスクリーンに同時性をもって映されれば,健常者の方と同じレベルで裁判を理解することができる。こうしたことを可能にする「速人くん」という速記システムを速記官の人たちが開発している。しかし,頑なに最高裁はこれを採用しようとしない。まさに速記官は化石になろうとしているのである。

さて,今日,私のみた速記官の光景は,朱鷺のように再び甦るものなのかそれともまさに化石になるものをみてきたことになるのか。最高裁の壁はかなり厚い。

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