攻守ところをかえて

2010年1月29日

岡山簡易裁判所の法廷にでかけた。入り口の事件の表示をみるとその法廷で30件は優に越える件数が一日で審理されることになっていた。消費者金融会社を相手とする過払い金返還請求事件である。

私の前に審理されていた事件では,原告側に50歳ぐらいの女性本人が座っていて,被告側には消費者金融会社の社員が座っている。裁判官はその社員に会社の代理人許可を与えていた。どうもきょうは何回目かの期日のようであり,過払い額の返還金額総額を120万円とすることは既に合意があるようであった。これをどのように支払っていくのか,その方法を裁判官の前で交渉していたのである。最初は,毎月1万円づつの分割であるとか,だんだん増えていき,5万円づつの提示があり,ついに10万円づつの提示となった。それでも原告側は納得できないようであったが,半年後と1年後の2回に分割して支払うことで合意ができ和解が成立した。おそらく,この女性が借りて返済をしていたとき,その支払いが滞ったら,直ちに高圧的な支払い請求がなされてきていたと思われる。「目玉をだせ!腎臓を売れ」などという激しい催促があったかもしれない。今日の法廷の光景は,ひたすら消費者金融会社が長期の分割を法廷の場でお願いするというものであった。その様子をみながら攻守ところを変えての攻防で,妙な感覚にとらわれて時代の動きの大きさを感じさせられた。

私の事件も過払い請求事件で初回期日であった。過払い額の請求は20万円程度の額ではあったが,11万円でしかも8ヶ月後の一括支払いの和解が提示された。直ちにその提案を拒否したが,16万円の5ヶ月後一括支払いで和解を受け入れた。早期の一定金額が確実に返還されるメリットを考えたからであった。こうした裁判所の光景は徐々に減少していくはずである。この6月からは,貸金業法改正が完全実施され,取引において過払い金額が生じることがなくなるはずであるからである。しかし,そうはさせないとの業界の動きも活発にある。サラ金地獄の消費者金融が街にあふれたあの光景をまたまた到来させようというのだろうか。

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