裁判官の同期生

2010年3月31日

昨日は日弁連での会議のため上京していた。岡山空港で管さんにであった。さすがに厳しい警戒であったが、搭乗前の食事中に少しだけ話をさせてもらった。個人的にもお世話になっていたことがあり,お礼の一言でもと思ったからであった。前日,放映されていた「サンデープロジェクト」の話の流れから,日弁連新会長の宇都宮さんの話題に移って,司法改革のことに話題が移って行った。宇都宮さんには非常に親しみのある感覚をもっていただいているようであった。しかし,今の司法の抱える課題は多種多様に多くの問題を抱えていて,この新執行部と今の政権とが問題意識を共通しあえることになるかどうか,そこは未だ未知数であると言わなければならない。菅さんとのわずかの会話のなかでもそのことを意識せざるをえなかった。この日の日弁連の会議はまさに代わろうとしている日弁連執行部のなかで,この司法改革がどの方向を向いて進んでいくのかそのことを危惧しながら,そして新しい運動の方向性を模索していくような会議となった。

そして,ここのところ,同期の裁判官の動向を知るいくつかのニュース,情報にであった。昨日の赤旗配布の東京高裁無罪判決を書いたのは同期同クラスの裁判官であった。長い間,最高裁の事務総局にいて,裁判員裁判制度の創設に意欲をもって取り組んできていたいわばエリート裁判官といっていいだろう。修習時代からなんとなくなんでも如才なくこなしてきていた男である。その彼が,今回のような判決を書くのだから,流れは大きく変わっていると考えるべきだろうと思う。結論は,ごく当たり前のことを当たり前のように判断しただけであるとは思うが。2つめは,やはり同クラスであった裁判官の退官の辞令記事である。高裁の部総括を担当していたのだから,ほぼ頂点まで達したといっていいのだろう。でもこの人の感覚と私の感覚とはかなり違うとは前から感じていた。もう一人は,福岡での研究会の際に紹介されていた2件の判例を書いたこれも高裁の部総括裁判官の情報である。この紹介された判決はいずれも消費者の本質をしっかりと捉えた判断がなされていた。かつて,岡山地裁にも勤務していたことのある裁判官であるが,そのときの印象では決して考えられない判断であった。いくつかの事件が彼のスタンスに影響を与えたのだろうかと思った。我々世代は法曹として働く最後の時代を迎えている。その最後がどのような仕事をしてきたかによって人は評価する。その意味では,一日,一日を大切に,慎重に自分の表現となる事件処理をしていかなければならないことを感じさせられた。

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