自信をなくした検察庁?

2010年11月22日

尖閣問題のビデオ流出事件は,身柄拘束がないまま捜査が続いている。常識的に考えれば,今までの検察庁の対応であれば,当然に逮捕事案である。えん罪事件が続き,それが検察官の証拠の偽造までなされていたことから,検察庁のありかたそのものが問われることになった。その問題点の洗い出し作業も著についたばかりだ。そんななか,それらのことが微妙に影響しながら法務大臣の問責決議がだされようとしている。大臣の失言もひどく,とうてい適材適所という配置とは思えない。こうした人事がなされるのも党内人事のバランス故か。しかし,こうした混乱が,真に法務省,検察庁の改革のためになされているというよりも,単に政局目当てでなされているところが哀しい。

ビデオ流出問題では,本来は,国家公務員が職務上知り得た情報を,外部に正規の手続きによらないで流出させたのだから,これほど明確な背信行為はない。公権力の行使に携わる者に,このようなことが許されていいとは思えない。検察庁はその国家的利益を守るために毅然とした行動を取るべきあったと思う。そして,その結果,捜査を遂げたが起訴するに至る証拠が得られない結論にいたればそれは仕方がない。起訴したが,たとえば「秘密」概念をめぐって無罪となることがあってもそれも仕方がない。しかし,必要な手続きは尽くすべきであると思う。それを躊躇させている自信喪失の検察庁がいまの姿である。

個別事件について,捜査の状況を国会で話せないのは当然であるが,いつもこうした答弁をしておけば足りるなどという軽薄な発言もこれまた間違いである。こうした大臣の動きに惑わされないで,はたまた検察の改革が進むなかにおいても,毅然とした法執行の自信をもった対応の決断をしてもらいたいものだ。今の検察の対応が司法全体への信頼をも揺るがしかねない。

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