投資詐欺

2009年4月8日

提出期限の迫っている準備書面を検討する時間に午後から予定していた。急に入った打ち合わせ,当面の処理事案に追われてなかなか時間がとれない。やっと目的の書面を広げたところ,同僚弁護士からの電話であった。弁護士会館で法律相談中とのことで,投資したがその預けたお金が返ってこないという相談にどう対応したらいいかという相談であった。多くの弁護士は鼻から「証券取引や先物取引被害など投資被害の相談はわかりにくく,相談にはのれない」と決めつけて,先物や証券取引被害事件をたくさんやっていると思われている私のところに事件をふってきたりする。今回も,内容もあまり確認しないでこちらに回そうとしていたようであったので,単純な詐欺事案と考えても良い事例はたくさんあり,まずは処理してあげたらどうだろうかと答えた。いったんは,電話が切れたが,また電話がありこちらに相談者をこさせるとのことであった。ちょうど記録検討の時間にあてていたところなので,他に用件はなくすぐに私の事務所によってもらって話をきいた。

案の定,典型的な投資詐欺であった。貸金業の届け出さえしていないで「二八商法」の証券取引まがいの取引を装っているだけの単純なものであった。東京からの電話による勧誘だけで約1000万円もの被害にあっている。私から間違いなくこれは詐欺ですと伝えたとき,その人はどう思っただろうか。私といくつも年の差の無い方であった。2度目のお勤めである。老後の資金そのものであった。その老後の資金を増やす良い方法があると誘われている。その一言が,電話でしか話したことのなかった人をいともたやすく信頼させてしまっているのである。そして私がはっきりと詐欺であるというまでは,その取引が間違いでなかったと思いこもうとしていた。いろいろと話している中で,動揺を隠そうとする表情の中の目にうっすらと涙を浮かべていた。強い怒りを覚え,なんとか取り戻してあげなければと思う。しかし,加害者にすぐに逃げられて,連絡がつかなくなってしまうケースが多く救済につながらいことも多々ある事案ではある。

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