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三谷と花粉症

まじめくさった小島よしおと若く爽やかな三谷幸喜が梱包を解く。真新しいPCが黒光りしている。小島と三谷の仕事は事務所内のPCを新旧入れ替えることで、業者さんなので本当の名前はよくわからない、IDカードを読めばいいのだけれど首から掛けたそれは作業に支障をきたさないためにポケットに入れてある、そこに手を突っ込んでまで名前を知ることは社会人として好ましくない、でもどうせ手を突っ込むなら若く爽やかな三谷幸喜にしたい、眼鏡男子ならなんでもいいのかとよく言われる。お互いに好意を持ち合ったことのある、そしてそれをはっきりと確認済みの相手を順に思い出していく、全員眼鏡を掛けているし、全員男子だ、私は女子にもてない。まあそれは置いといて。太眉と眼鏡の組み合わせは最高なので、FujitsuからDELLに私のデータが移されていく間、ずっと三谷幸喜を観察して過ごそうと思い、三谷の斜め後方に折り畳み椅子を構え、来年度から私が任される予定の仕事についての資料を開く、三谷は私にリングメモを差し出して、IDを書けと言う。三谷の目は駱駝に似ている。まつ毛がびっしりと密集している。IDぐらい当ててみせてよ、三谷。私はわざと間違えたい、わざと間違えて三谷を困らせたい、三谷が私にばれないようにこっそり舌打ちするところを見たい、衝動にかられながら、正しいIDを書く。言われてもいないのにパスワードも書き添える。三谷はありがとうございますと息だけで早口に言って作業に戻る。三谷の靴はあちこちすれていてすれたところが白っぽい。立ったりしゃがんだり机の下に潜ったり忙しいしごとだから年配の男性が履くような柔らかい靴なのだろう。三谷、三谷はきっと飴色の革靴が似合うよ。三谷の天然パーマらしき固そうな髪は吹き込む風にびくともしない、机の上に置いてあった指示書が吹かれてたとうとするのを押さえて三谷は、私のお気に入りの穴開けパンチを勝手におもしにする。すっごい赤でしょ。およそ事務用品的でないグラムな赤でしょ。三谷、私は今日初めて花粉症になったよ。背中を向けている三谷は気付かないだろう、私の鼻の周りはメイクが剥げている、剥げている範囲が丁度同じぐらいだ、私の鼻の周りと三谷の靴と。三谷、泣くよ。うまれて初めての花粉症の涙を、君のために流すよ、三谷。

韓国海苔その名もユー人スクろクフーロ

青鮫る、ということばを流行らせたいのですが、なかなか浸透しません。
句会に金子兜太っぽい句が出された場合などに「これはまた青鮫た句ですなあ!」などと罵倒していただきたい。
花鳥諷詠な句会に暑苦しい句が混じっていたときには是非使ってください。
 
 
さて。
私このたび、花粉症デビューした模様です。
 
 
I鍋さんに風邪をうつされたのかと思いましたが、間違いだったようです。
I鍋さん、疑ってごめんなさい。
 
 
花粉と言えば。
 
スギです!
スギのせいです!
全部スギが悪いんです!
とスギアキオさんを前に絶叫してからもう五年以上になります。
成長しないもんですね。
成長する気がないからですね。
成長する気がある人はなんぞかんぞ結果出してますもんね。
最近の石原は振り向きマンです。
 
 
今日ふと思いついたんですけど、
憂打(ゆううつ)という名前のタイピングゲームはいかがですか。
 
 
「poti ga sinda」
「tansu no kado ni koyubi butuketa」
「papa risutora」
「8 gatu 31 niti」
「shukudai massiro」
「oba-chan soko ha toire ja nai yo」
 
 
打てば打つほど鬱になることうけあいです。

正直でありなさいとサーシャは言った

地面に埋めた種が細く頼りない芽で空を指しやがて太い幹と立派な葉を持ち小さな実を結ぶ一本の木となる時間を逆回しにする手法で一枚の女をハンガーから外してください
 
  ◆
 
彼女は正確な英語で答えた。
「わたしは尼僧になりたいのです」
机の中で震える塊があった。
サーシャではない教師が掃除用具入れの前から歩いてきてそれを取り出した。
「ミズ・フリーゲル、これがわたしの濁世です」
 
 
  ◆
 
 
自分をいためつけることで男を傷つけるのが何よりの快感です
恋愛初期の醍醐味はここにあります
殴られてくれと言えば殴られてくれる男を殴ることなど楽しくもなんともありません
あなたを幸せにしたい
へらへらと踏み台をのぼる
夏の天井は蚊取り線香のにおいがする
へいきで脇腹を肘掛けにするくせに
そこにジッパーが付いていたら文句を言う 男たち
 
 
  ◆
 
 
「ヴィータ」
「たぬき村通信」
「なでしこ学園ルーズソックス闘争」
「pppp」
「五月の忙しい蝙蝠」
「あわだて忌」
「革命戦士と女流画家その夫と愛人」
「脱毛ブルース」
「ウロボロス高校第三演劇部」
 
 
  ◆
 
 
サーシャの赤い髪。赤い髪の女は頑固かもしれない、私がそうであるように。サーシャは言う。あなたたちには絶望が足りない。経験を通して見極めなさい。排除に次ぐ排除に次ぐ排除。いつも教壇にペットボトルを置いている。アルプスの水。冷水機の水。あなたたちの校長先生は私個人を必要としているのではない、赤い髪に緑色の目、私の言語、ここに存在する完璧な。おや、もう時間だ。石原さん、あなたの質問への回答はワークブックの33ページと34ページの間に挟んでおきました。また来週。
 
 
  ◆
 
 
霊長類専門食肉加工業者
 
 
  ◆
 
 
初代学長のまるい額に
百合の蕊で描く聖痕
 
 
  ◆
 
 
現実覗くにも手鏡の要る身の上を十重に二十重に折り畳んだ
赤の緑の黄色の青の紫のセロファンで包んだ
窓という窓
窓とよばれない窓
女優のサングラスが途中で引き裂かれている映画のチラシ
喜劇に倦んで
揺れる画を抄訳する
 
 
  ◆
 
 
さっさと帰ってください
 
未完です

カウントダウンする滅亡の日のごとく

人類滅亡の夢をときどき見ます。
今朝は、2058年頃、戦争で人類のほとんどが死に絶えたあとにたった一つの地方都市が残る、という夢でした。
その都市は「じゅごん」といいます。
別名「ひもの」とも呼ばれています。
戦争はとっくに終わっているのですが、兵器とそれを制御するコンピュータプログラムは残っており、「じゅごん」は定期的な攻撃を受けます。
牧場、白い建物、樹々、のどかな田園風景にレーザービームが撃ち込まれる様子を俯瞰で描いたデジタルアニメーション調の映像。
じゅごんの人々がどうなるのか気になります。
続きが見たい。

着信は十件白玉をゆでる

 四年だか五年だかもうわからない。出会ってから数えると六年かもしれない。長く付き合ってると恋愛らしいときめきなんて消えてしまうくせに、会えないとやっぱり淋しいし苦しいし腹立ってくる。

 アドレス帳から彼の名前を消すだけで、携帯の番号も宅電のも携帯アドもPCアドも全部一気に消えた。彼から来たメールをハートマーク付きのフォルダごとバッサリ捨てる。こっちから送信したメールもソーティングかけて彼宛のだけまとめて削除。別れたいからこんなことするんじゃない。別れたくないから消すんだ。携帯にアドが入ってたら、「会いたい」ってメールを送ってしまう。間違いなく、返信があるまで送り続けてしまう。相手の身になって考えるって大事だ。こっちが会いたくないときに「会いたい」「会いたい」「会いたい」ってビョーキじみたメール大量に送ってくる女なんて余計会いたくない、てかうざい、てかきもい。電話番号だって携帯に入ってたら絶対かけてしまう。相手の携帯に呪いのような量の着信履歴を残してしまうに決まってる。嫌われる。今度こそ捨てられる。そうだ、着信履歴も送信履歴も全部消しとこう。彼の番号を残してはいけない。嫌われたくない。彼に嫌われたら生きていけない。あたしみたいなブスで頭でっかちで仕事のできないしかも片付けられない女とつきあってくれるそこそこ収入のあってそこそこ顔も良くてちょっとファッションセンスなくて死ぬほど優しい人なんて彼しかいない。淋しすぎて涙をこらえたら鼻水が止まらない。ティッシュ、ティッシュ……Tシャツで拭いちゃえ。ああ、こんなとこから腐ってくんだ、あたしは。いや、もうとっく。とっくに腐ってる。彼の声が聞きたい。

 あ、もう駄目。

 四年だか五年だかもうわかんないくらい付き合ってると、携帯番も宅電のもメアドも全部覚えてるんだ。いくらハムスター並の私の記憶力をもってしても、そう簡単に大好きな人のデータを忘れられるわけない。明日も明後日も彼が私のこと好きでいてくれるなら思い出なんて一つもいらないのに、現実はそうじゃなくて真逆なのだ。彼のデータも四年だか五年だかの楽しかった思い出もぎゅうぎゅう詰めに詰まったまま、いきなりポイって捨てられるんだ。捨てられるんだ、あたし。ああ。

 そんなの嫌だ。

 冷蔵庫から低脂肪じゃない牛乳出して電子レンジで温めて一気飲みした。携帯を冷凍庫にぶち込んだ。ベッドに潜りこんで毛布に丸まった。コールドスリープ作戦だ。次に目が覚めたら私が彼を愛する以上に彼が私を愛してくれる時代でありますように。

雪だるまみたいに痩せてゆく予定

切実に痩せたいです。
と言いつつどか食いしてしまいます。
 
 
ジェシカ・アルバのようなボディになりたいんですけど。

そして春が来たらネコ科なせいにして男子に襲いかかったりしたいんですけど。
(『ダークエンジェル』参照のこと。って古いな…)
 
 
とりあえず風呂ではリンパマッサージを頑張る。
頑張るんだ、もん。

桜桃忌知らない人と手をつなぐ

自作を語るなんてことは、老大家になってからする事だ。
っておっしゃいましたかね。
 

私の誕生日は太宰治と一緒。
卒論のテーマも太宰だった。
本当は大学時代に一番ハマっていた荻原裕幸さんで書きたかったのだけど、卒論として研究することで嫌いになってしまいたくなかったので太宰を選んだ。
誕生日が同じってだけで嫌いになっても痛くも痒くもない人だったもの。
 

それが気に入らなかったんかしら。
太宰は大いに私を苛んだ。
読めば鬱。読まねば鬱。
太宰のダの字で気が沈む。
卒論は遅々として進まなかった。
太宰を連想させるものは天神様でも見たくない。
シュウジが出てくるなら「最終兵器彼女」だって読みたくない。(いや、あれはもともと苦手だから読みたくないのだけれど)
一時は「スナック津軽」の看板さえ目を伏せて通った。
 

一週間弱で卒業論文を書き上げて提出したのは、奇跡としか言いようがない。
あるいは、芸は身を助く。
太宰の文体模写で書いたあとがきが教授にウケたのだった。
 

  桜桃忌知らない人と手をつなぐ
 
 
心中ごっこみたいな、援交の思い出みたいな句。

シロップ

さっむいですね。
岡山市中心部ではお昼すぎに雪みたいなあられみたいなのが降りました。

「かき氷降りょうる」とメールしたら、
「シロップが仕上げにかかるから気をつけて!」と返ってきた。

詩を書かない人のほうがよっぽど詩人だと思った瞬間。
 
 
NHKの鞍馬天狗を観ました。
最近のNHKは、3Dのゲームみたいな時代劇ばっかり作りますね。
風林火山は顔も衣装もゲームっぽかったし、鞍馬天狗は刀の残像がゲームっぽい。
良純さんのお天気予報はちょっとウケました。
 
 
ところでまったくもって唐突すぎますが橘上氏がめっちゃくちゃ気になる今日この頃です。

誕生日

祖父の85歳の誕生日なので母がケーキを買ってきて「お」「め」「で」「と」「う」のろうそくを立てて家族で祝いました。
祖母(尿がパイナップルジュースのミヨシさんとしてお馴染み)は祖父と冷戦中なので不参加です。

祖父(半世紀前、職場句会に参加してた)に私の俳句を見せたところ、
「軽ーう作っとるとこがええ。
あんまり練らんのがええ。
練るばあしょったら粘り気が出るからなー」
と言われました。