自作を語るなんてことは、老大家になってからする事だ。
っておっしゃいましたかね。
私の誕生日は太宰治と一緒。
卒論のテーマも太宰だった。
本当は大学時代に一番ハマっていた荻原裕幸さんで書きたかったのだけど、卒論として研究することで嫌いになってしまいたくなかったので太宰を選んだ。
誕生日が同じってだけで嫌いになっても痛くも痒くもない人だったもの。
それが気に入らなかったんかしら。
太宰は大いに私を苛んだ。
読めば鬱。読まねば鬱。
太宰のダの字で気が沈む。
卒論は遅々として進まなかった。
太宰を連想させるものは天神様でも見たくない。
シュウジが出てくるなら「最終兵器彼女」だって読みたくない。(いや、あれはもともと苦手だから読みたくないのだけれど)
一時は「スナック津軽」の看板さえ目を伏せて通った。
一週間弱で卒業論文を書き上げて提出したのは、奇跡としか言いようがない。
あるいは、芸は身を助く。
太宰の文体模写で書いたあとがきが教授にウケたのだった。
桜桃忌知らない人と手をつなぐ
心中ごっこみたいな、援交の思い出みたいな句。