【岡山市北区後楽園】桜の季節に賑わう大名庭園/俳枕DIY(第2回)

耳石たゆたう回転性の桜かな  石原ユキオ

花・新婦・レフ板・新郎・カメラマン 石原ユキオ

当時三十代だったわたしは、ある日突然それまでの人生で体験したことのないグルングルンの眩暈におそわれた。こういうときインターネットの情報に頼るのはよくない、とは思ったものの、検索してみると「耳石剥離」というのが近いように思えた。もし正解ならば三日ほどで治るらしいので、吐き気に耐えながら仕事に行き、週末は育児中の友達とゼロ歳児ちゃんと三人で花見にも行った。肌寒いが天気はいい。結婚式の前撮りのひとたちが和装でポーズを取っている。
見上げると桜の花が回っていた。
楽しくて、気分は悪くて、景色が美しかった。