ついったー短歌」カテゴリーアーカイブ

髭と退廃(decadence)

 
幾頭の虎をバターにしただろうきみの料理はときどき噛むね

恋以上生活未満フライパンにぱふんと帰還するパンケーキ

母たちが孫と名付けた苦瓜がぐんぐんのびた夏、でしたね

きみがいた八年分の夜いつも未遂に終わったアナルセックス

図書館の地方新聞コーナーであなたが死んでいないか探す

切り抜きが見あたらなくてもう一度潜ったホーム炬燵の真っ赤

三分以上働きたくない胸元で点滅してるスワロフスキー

列島に揺れる数多の雨傘の愛人二十七号泣きます

剥製を作る手順を言いながら鋭利な指が鳩尾をさす

キスマークつけるんですかまた会ってくれるんですか独身ですか

そのひとの死人のような胸板で眠り落ちるまでの海嘯

月曜日に会うのはだるい土曜日に会うのはきみの家族に悪い

こんなにもすてきなパパになったんだ あのとき刺しておけばよかった

焼肉屋に煙がない日三叉路を曲がりそこねて社に戻れない

会社員やめたらきっとホステスになるからちゃんと新聞を読む

窓口の山本さんが西さんにかわってもまだ待ち続けてる

「月が綺麗ですね」真顔で言ってみて吹き出してくれたなら合格

ただでさえくすぐったいし口髭の試着みたいで笑える、ゴメン

あまり良いセフレではないせいちゃんはいつか彼氏に降格します

動物は死んだら重いテーブルに出しっぱなしの雪見だいふく

あたしいんわんだーらんど

 
お姫様もうお目覚めの時間です断頭台が待っていますよ

ポストからあふれるピザの広告とピンクチラシとすこしの賀状

なぜかきゅうに飯田有子に師事したい「まずは歯ぶらしの持ち方からよ」

ガス点検(それは本当?)肩越しにのぞきこんだら真っ赤な軍手

ふとっちょのヴァンパイアくんを撫で回し唇に押し込むにんにく卵黄

生きながらウールのタグをつけられたあわれなメリノ種の羊です

洗い物している母の意外にも小さな尻は薔薇柄である

うめあわせするよときみはいうのですほらまたもぐらがほりすすんだよ

人波に流されながら半額の手帳を買った二月一日

あたしいんわんだーらんど出廷の朝はドレスを着ているつもり
 
 

VJ President feat. BYTE-kun @Club Bebop

 
胃薬をペプシコーラで飲み下すVJブースに差し込む朝日

星形の光が壁を駆け巡り眠るあなたの右手に落ちる

鮮血の色のソファから起き上がりまた踊り出す少年少女

午前六時のフロアに揺れるぼくたちのためにいまこそ回せスリラー

日常が無限にループしてたころと同じ顔してるよ社長、いま

オールの朝の奇跡のひとつまりちゃんの少しも崩れてないその美貌

ひとりずつフロアのひとがへっていく土曜の朝がねむりはじめる

おそろいの眼鏡のぼくらをくもらせてぬくもらせてよスターバックス

マスターがついに全裸になりましたBebopから七時をお知らせします

マスターにパンツをはかせるバイト君パーティはまだまだ終わらない
 
 

コンプライアンス

 
コンプライアンスの面で問題があります部長とえっちするのは

費用対効果についてご納得いただけましたら抱いてください

祟ります七代後の石原もきっとあなたのことがすきです

なぜ彼氏ごときに嫉妬しているのあなたにはおくさんがいるのに

まっとうなOLだからCFP目指しててAFはNG

転ぶ前の伴天連みたいな顔をして改札口でキスしてくれた

くちあけてきみを待ってるときのかおで星降るはずの空を見上げる

十字架がついてる系のしまむらの服はやめろよ三十だろう

餅は好きだけどぎゅうひは嫌いって言い出せなくて笑顔で食べた

渋滞にかかったバスで聞いている女子中学生たちの恋バナ

岡山の中学生のスカートはくるぶし丈がいまでも普通

ストローを噛んで四角くしてるのに誰も叱ってくれない夜だ

「交通費だよ」ってにまんごせんえんおなかのうえに出されてしまう

この道を歩いていけば元彼の家だけどもうバスが来ちゃった

「逝きたい」を相殺できる「イきたい」でどうにかこうにか生きていきます

晩秋のバスは峠でため息をついて三人程度吐き出す

奥様と同じ名前のみゆきです切羽詰まれば呼んでください

鞄もろうて喜ぶような女には見えんじゃろ残るもんはいらんよ

名刺入れは避妊具ケースに丁度いい「どうぞよろしくお願いします」

着信の夢に飛び起き二度寝したせいで眠いし声が聞きたい

網タイツの脚が六本交差する最終電車のボックス席に

帰したくないはしたいの意味だってわかってるからしてから帰る

見た目より軽い女性は体脂肪率が極めて高いものです

口紅が落ちた真っ赤な唇で水をいっぱい飲んで終電

明け方の夢は別れた男たち総出演のクリスマス会

きっとこの雨で滲んで届くだろうみかんの国に宛てた手紙は

いつの日かころりと落ちる赤玉よ妻ではなくてわたしに当たれ

NORADの皆さんこれが日本のサンタガールのお尻です 見て

北風が目にしみたんじゃ泣いとらんほらもう早うズボン上げねえ

いろいろとごめんねいつかかねもちになってあなたをかいしゃごとかう

ドゾクデマラ三世のおはなし

中東にかつて君臨したというドゾクデマラ三世のおはなし

後宮に世界中から集めたる出っ歯味噌っ歯入れ歯の美人

家臣らは喜捨と呼ぶらし端女の睫毛の上に王がすること

一世は偉大二世は人気者三世は爽やか笑顔でドS

金色の三瘤駱駝に今日はどの妻を乗せるかドゾクデマラ三世

家臣たち髭付き合わせ議論する「スルタンは萌えキャラか否か」

ドゾクデマラ三世がふとつぶやきし「にゃぶい」の声は神託に似て

黄金の三瘤駱駝よりもなおまばゆき第一夫人の前歯

先王のマントをこっそり羽織ってみて余った裾が治世の長さ

血まみれの写メなど送りつけてくる大工の息子は王の親友

後々まで語り伝えよドゾクデマラ三世は小岩井よつばを愛す
 
 

 
「ドゾクデマラ三世のおはなし」は2009年8月〜9月にかけてtwitter上でつぶやいた短歌です。