
夏蝶を留める休講掲示板 石原ユキオ
冬晴や尼僧両手でマイク持つ
寮監と神父ぶつかる冬の虹
キリスト教モチーフの俳句はだいたい大学での体験が元になっている。学祭での展示や出し物に自己検閲をするようなサークルがほとんどだったし、キャンパスの隅々にまで上品かつ冷淡な雰囲気が充満していてわたし向きの環境ではなかった。地元にいて大学の評判は聞こえているはずなのになぜそんなところを選んだのかというと、家から通える大学の中でいちばん授業料が安かったからだ。
『置かれた場所で咲きなさい』というタイトルの本があるが、砂漠の植物を湿地に置いたら咲くどころではない。腐る。