妊娠とか堕胎とかっぽい、内臓の奥の方が痛い気分になりそうなことが書いてあるっぽかったのでおそるおそる読んでいた「グッドモーニング」(最果タヒ氏)。中原中也賞を受賞なされたっぽい。
おそるおそる続きを読もう……。
すっぴん
玄関でピザ屋を待っている湯冷め
ベッドから手が出てサンタ捕まえる
すっぴんの美輪明宏がいる炬燵
小春日や観音さまの二重あご
筮竹を分けて易者の白い息
ゴミの日を真っ赤で囲む初暦
傀儡師と傀儡の口の半開き
黒鳥 冬季号(平成20年1月1日発行)掲載
第2次未定87号の感想 <2>
◆ 経絡/玉川 満
1ページに、たった4句。
何かの絵札が並べて置いてあるみたい。
4句しかないと、自然と同じ句を何度も繰り返し読んでしまう。
この間の取り方は結構目立つ。
mixiのプロフ写真のようにキャラが立っている。
経絡や
昼の進軍
夜の交配
経絡って、人体図にツボを描き込んだものが思い出されて、一行あきのあと、「昼の進軍」「夜の交配」という対句。
経絡という言葉も、対句という技法も中国をイメージさせる。
何が進軍し、交配してるんだろう。
とりあえず小さい玉川さんの群を想像してみる。
頭蓋の恍惚
滝の上に滝
滝の上に滝
オーガズムトロンが欲しい。
◆ 不死の扉/富永 隆一
アヌスからサドルへ、コミュニケーション不全症候群
サドルからアヌスへ振動が伝わることはある。
アヌスからサドルへ何かが伝わるものなのだろうか。
サドルはアヌスから何かを感じ取ってくれるのだろうか。
アヌスとサドルはコミュニケーション不全で全然かまわないと思う。
以前、ヴァギナと激しくコミュニケートしているサドルの動画を見た。
女優さんは笑っていたが、ものすっごく恐ろしかった。
◆ 遠近法/服部 智恵子
万有引力手首はかたいのです
朝顔はかゆいところに増やしました
火曜日は漢字をつかいすぎます
放物線を通るときの花子
傷口は走りたいこともある
ポケットという美しい前夜
やわっこくてシュルレアリスティックでちょいポップでかわいい。
好きです。
岡山人はよく「傷がはしる」と言う。
汗が目に入ってしみるとき、傷口に消毒薬がしみるとき。
そういうのが、「はしる」。
蚊に刺されたところにヨードチンキを塗ってもらった。
ちょっと掻いた後だったので、たいそうはしった。
いてもたってもいられなくなって走り回った3歳の私。
第2次未定87号の感想 <1>
◆ 未定の二の首の歌/泉 史
晴れたデパートの屋上から天へ引き上げるクローン人間の静かな目尻
デパートの屋上に立っている無表情なひと(ヒト?)。
目尻が糸で引き上げられるように釣り上がって、切れ長の目がますます鋭くなる。
私は向かい側のビルの少し下の階からそれを見上げている。
「デパートの屋上」からの連想かもしれないが、研究所で作られたヒーローの孤独、みたいなものを感じてしまう。
◆ 対応宇宙/海と暗黒物質編/伊東 聖子
タイトルは「対応宇宙/海と暗黒物質編」と書いて「パラレルユニバース/海とダークマター編」と読みます。「対応宇宙」と「暗黒物質」のところにルビが振ってあるの。
落下傘部隊地面に吸われたる
落下傘部隊がヘリコプターから飛び出して、滑空して、落下傘が開いて、地面に着地……すると思いきや地面を突き抜けて消えてしまう。
着地した落下傘部隊が着地して敵にやられて流れた血と腐った肉が地面に吸い込まれていく超早回し、だとか、落下傘部隊が着地して任務を終えて後の人生を送って死ぬまでの超超早回しだとか、そういうのも考えれるかも。
いずれにしても吸われたるっていう五文字は超早い。すっごいスピードで吸われてるのが見える。
びよううんびよおん眼球は街を散策し
びよううんびよおんっていう音はメカっぽい。
これはきっと自走式監視カメラ、むしろ浮いてる。
◆ 四獣門/高原 耕治
掌に
ふりふる蓮華
掌を
とびとぶ金粉
平和な極楽浄土の風景だろうか。
いや、絢爛たる滅びの詩と考えたい。
崩壊した天上から落ちてくる蓮華。
掌にぶつかるや、金粉を吹き散らして消滅する。
いつまでもいつまでも蓮華が降りしきる。
二首
刎ねられて
生首に
吸ひつく生首
二人の人間が首を刎ねられ、片方の首がもう一方へ飛んでいった。
唇を尖らせて生首に吸い付く生首。
生前は恋人同士だったのか。
落武者ヘアがなびく。
死者の怨念で吸い付いたというより、首を刎ねられてもまだ意識が残っていて吸い付いてる感じがして、そこが余計に怖い。夢に出そうで嫌だ。
ありがとうたままんさん★
俳人の玉川満様より季刊同人誌第2次未定第87号いただきましたー!!
誌面から火柱が噴き上がる勢いです。
関西弁で書かれた俳句評論を初めて見たかもしれない……。
週刊俳句2月3日号
週刊俳句、また書かせていただいてます!!
【週俳1月の俳句を読む】っていうところです!
ちなみにこの「雪倒れ」、久しぶりにやってみたところあんまり面白くありませんでした。
(2回ぐらい倒れたところで飽きました。)
布団の大きさに対して私の身体が少し大きくなりすぎたのだと思います。
着信は十件白玉をゆでる
四年だか五年だかもうわからない。出会ってから数えると六年かもしれない。長く付き合ってると恋愛らしいときめきなんて消えてしまうくせに、会えないとやっぱり淋しいし苦しいし腹立ってくる。
アドレス帳から彼の名前を消すだけで、携帯の番号も宅電のも携帯アドもPCアドも全部一気に消えた。彼から来たメールをハートマーク付きのフォルダごとバッサリ捨てる。こっちから送信したメールもソーティングかけて彼宛のだけまとめて削除。別れたいからこんなことするんじゃない。別れたくないから消すんだ。携帯にアドが入ってたら、「会いたい」ってメールを送ってしまう。間違いなく、返信があるまで送り続けてしまう。相手の身になって考えるって大事だ。こっちが会いたくないときに「会いたい」「会いたい」「会いたい」ってビョーキじみたメール大量に送ってくる女なんて余計会いたくない、てかうざい、てかきもい。電話番号だって携帯に入ってたら絶対かけてしまう。相手の携帯に呪いのような量の着信履歴を残してしまうに決まってる。嫌われる。今度こそ捨てられる。そうだ、着信履歴も送信履歴も全部消しとこう。彼の番号を残してはいけない。嫌われたくない。彼に嫌われたら生きていけない。あたしみたいなブスで頭でっかちで仕事のできないしかも片付けられない女とつきあってくれるそこそこ収入のあってそこそこ顔も良くてちょっとファッションセンスなくて死ぬほど優しい人なんて彼しかいない。淋しすぎて涙をこらえたら鼻水が止まらない。ティッシュ、ティッシュ……Tシャツで拭いちゃえ。ああ、こんなとこから腐ってくんだ、あたしは。いや、もうとっく。とっくに腐ってる。彼の声が聞きたい。
あ、もう駄目。
四年だか五年だかもうわかんないくらい付き合ってると、携帯番も宅電のもメアドも全部覚えてるんだ。いくらハムスター並の私の記憶力をもってしても、そう簡単に大好きな人のデータを忘れられるわけない。明日も明後日も彼が私のこと好きでいてくれるなら思い出なんて一つもいらないのに、現実はそうじゃなくて真逆なのだ。彼のデータも四年だか五年だかの楽しかった思い出もぎゅうぎゅう詰めに詰まったまま、いきなりポイって捨てられるんだ。捨てられるんだ、あたし。ああ。
そんなの嫌だ。
冷蔵庫から低脂肪じゃない牛乳出して電子レンジで温めて一気飲みした。携帯を冷凍庫にぶち込んだ。ベッドに潜りこんで毛布に丸まった。コールドスリープ作戦だ。次に目が覚めたら私が彼を愛する以上に彼が私を愛してくれる時代でありますように。
雪だるまみたいに痩せてゆく予定
切実に痩せたいです。
と言いつつどか食いしてしまいます。
ジェシカ・アルバのようなボディになりたいんですけど。
そして春が来たらネコ科なせいにして男子に襲いかかったりしたいんですけど。
(『ダークエンジェル』参照のこと。って古いな…)
とりあえず風呂ではリンパマッサージを頑張る。
頑張るんだ、もん。
あきさ句会1月
日曜日にあった倉敷あきさ亭のあきさ句会、高校生と大学生の姉妹が参加してくれました。
最近若い子に会うと、「こんな大人になっちゃあいけねえよ」って言ってしまう。
だってすっごいリアルにやばいよ、こんな大人になったら。
大人げなくて頭悪くて見た目ももっさくておまけに穀潰しです★
稼ぐ気がないならせめておしゃれして肌磨いてさっさと嫁に行けっちゅう話ですよまったく。
でもユキオはずっと乙女として生きて乙女として死ぬ予定なので嫁には行けません。
ごめんね、王子様たち!!(←妄想)
句会には、大阪に行ったときの吟行句を中心に出し、点はまあぼちぼち。
吟行句でも新年の句でもない句の方が好評でした。
例によってブログに載せるのは何ヶ月か先です。
お楽しみに。
来週日曜日(27日)はらんまん句会、兼題は「車」です。
桜桃忌知らない人と手をつなぐ
自作を語るなんてことは、老大家になってからする事だ。
っておっしゃいましたかね。
私の誕生日は太宰治と一緒。
卒論のテーマも太宰だった。
本当は大学時代に一番ハマっていた荻原裕幸さんで書きたかったのだけど、卒論として研究することで嫌いになってしまいたくなかったので太宰を選んだ。
誕生日が同じってだけで嫌いになっても痛くも痒くもない人だったもの。
それが気に入らなかったんかしら。
太宰は大いに私を苛んだ。
読めば鬱。読まねば鬱。
太宰のダの字で気が沈む。
卒論は遅々として進まなかった。
太宰を連想させるものは天神様でも見たくない。
シュウジが出てくるなら「最終兵器彼女」だって読みたくない。(いや、あれはもともと苦手だから読みたくないのだけれど)
一時は「スナック津軽」の看板さえ目を伏せて通った。
一週間弱で卒業論文を書き上げて提出したのは、奇跡としか言いようがない。
あるいは、芸は身を助く。
太宰の文体模写で書いたあとがきが教授にウケたのだった。
桜桃忌知らない人と手をつなぐ
心中ごっこみたいな、援交の思い出みたいな句。