第2次未定87号の感想 <1>

◆ 未定の二の首の歌/泉 史

晴れたデパートの屋上から天へ引き上げるクローン人間の静かな目尻

デパートの屋上に立っている無表情なひと(ヒト?)。
目尻が糸で引き上げられるように釣り上がって、切れ長の目がますます鋭くなる。
私は向かい側のビルの少し下の階からそれを見上げている。
「デパートの屋上」からの連想かもしれないが、研究所で作られたヒーローの孤独、みたいなものを感じてしまう。

◆ 対応宇宙/海と暗黒物質編/伊東 聖子

タイトルは「対応宇宙/海と暗黒物質編」と書いて「パラレルユニバース/海とダークマター編」と読みます。「対応宇宙」と「暗黒物質」のところにルビが振ってあるの。

落下傘部隊地面に吸われたる

落下傘部隊がヘリコプターから飛び出して、滑空して、落下傘が開いて、地面に着地……すると思いきや地面を突き抜けて消えてしまう。
着地した落下傘部隊が着地して敵にやられて流れた血と腐った肉が地面に吸い込まれていく超早回し、だとか、落下傘部隊が着地して任務を終えて後の人生を送って死ぬまでの超超早回しだとか、そういうのも考えれるかも。
いずれにしても吸われたるっていう五文字は超早い。すっごいスピードで吸われてるのが見える。

びよううんびよおん眼球は街を散策し

びよううんびよおんっていう音はメカっぽい。
これはきっと自走式監視カメラ、むしろ浮いてる。

◆ 四獣門/高原 耕治

掌に
ふりふる蓮華
掌を
とびとぶ金粉

平和な極楽浄土の風景だろうか。
いや、絢爛たる滅びの詩と考えたい。
崩壊した天上から落ちてくる蓮華。
掌にぶつかるや、金粉を吹き散らして消滅する。
いつまでもいつまでも蓮華が降りしきる。

二首
刎ねられて
生首に
吸ひつく生首

二人の人間が首を刎ねられ、片方の首がもう一方へ飛んでいった。
唇を尖らせて生首に吸い付く生首。
生前は恋人同士だったのか。
落武者ヘアがなびく。
死者の怨念で吸い付いたというより、首を刎ねられてもまだ意識が残っていて吸い付いてる感じがして、そこが余計に怖い。夢に出そうで嫌だ。

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