発表☆第1回ビバ!ユキオ俳句賞(2/7)

前回は「VR部門」受賞者を発表しました。
今回は「どうぶつ部門」。
動物と人外の句をどうぶつ部門としてまとめました。

【どうぶつ部門】

★金熊賞
熊穴を出づマカロンの踏んだやつ   尼崎武

この句を含めて入賞した熊が4頭いるのですが、その中でマイベスト熊だったので金熊賞です。
「熊穴を出づ」で春の句。冬眠から覚めた熊がマカロンを踏んだとは読みたくない。穴からのっそりと出てきた熊と踏まれて粉々ベトベトになったマカロンは飽くまでも別のショット。「踏み砕かれしマカロンあり」みたいな文語ではなく見た瞬間つぶやいてしまったような「マカロンの踏んだやつ」というフレーズの唐突感がいい。
マカロンの小ささ脆さに対するとき、人間は熊のように重く巨大な存在だということを思い起こさせます。春っぽいよねマカロンは。

★シェイプ・オブ・クマ賞
抱きあえばどこまでうすくなる熊よ   亀山朧

熊と抱擁する。腕が背中に回りきらず巨木の幹にはりついている蝉のように。と思っていたら熊はどんどんしぼんでいって抱きしめられるほどの薄さになり、抱きしめたその力でさらに薄くなりああこのままでは敷物のように毛皮だけのぺちゃんこになってしまう……。抱きしめたいという欲求を満たそうとすればするだけすり抜けていって満たされない。
セックスの後に心身ともにしぼんでしまう男性の比喩、というのは頭をよぎるのですが、そう考えてしまうとあまりにも直截的で夢がない。ほんものの熊の姿をしたものが空気を抜かれた人形のようにぺしゃんこになっていくさびしさ切なさを味わいたいです。

★萌え吐き賞
か、ち、かち、とだぶるくりっくするヒグマ   おのだみき

本州にいる黒いツキノワグマではなく北海道の茶色くて大きなヒグマ。
大きなヒグマの手でマウスをクリックするのは難しい。
「か、ち、かち、」というダブルクリックは、ゆっくりすぎてシングルクリック2回と認識されるのではないか。だからヒグマさんはダブルクリックと認識されるまでなんどもなんどもかちかちかちかちかちかちかちかちを繰り返さなければいけません。読点が利いています。ひらがなも「人間のするというだぶるくりっくとやら」をしている感じが出ています。
だいぶ冷静に書きましたが大きくてかわいいものがいっしょうけんめい細かい作業をしているかわいらしさがおわかりいただけるだろうか。
このヒグマはタイピングもあまり得意ではないはずです。どんな文章を打つか想像してほしい。「こんんひjちひゃ とんwりにひこそkてkみたくまでし・(訳:こんにちは。隣に引っ越してきたくまです。)」みたいなメールをもらうところを想像してみてほしい。キーボードに蜂蜜をこぼしたりするしUSBメモリがうまくささらなくて30分格闘した末に諦めたりしますよ…ウッ…ウッ…かわいそうかわいい…!
もしもこの句が「カチカチとダブルクリックするヒグマ」と書かれていたらそんなに面白くなかったでしょう。何の問題もなく人間にまぎれこんでスーツ着て中央省庁で働けてしまいそう。(でもヒグマが平気な顔をしてオフィスで働いていたらそれはそれでかわいい。)

★ボストンバレエ団賞
離陸する形になつてゐる羆   八鍬爽風

もうねえ、これは、見てください。ボストンバレエ団のクマを。

ところで熊が冬の季語とされるのはなぜなんだろう。
狩猟の対象としての熊。冬眠の途中に腹が空いて人里に出てきたとおぼしき熊。冬を暖かく過ごすための道具、毛皮としての熊。歳時記に載っている例句からするとだいたいそんなところ。ただし「生くることしんじつわびし熊を見る/安住敦」とかも載ってるんですよね。こういうのは一年中会える動物園の熊だと思う。
江戸時代のひとたちも「俺ら熊は冬ってことにしてるけどじっさい熊って見たことなくないっすか。冬って言われて実感なくないっすか…」って言ってたんじゃないだろうか。
10年以上俳句を作ったり読んだりしていますが「季語」や「有季定型」の便利さとツッコミどころの多さに興味が尽きません。

★あざとかわいい賞
仔猫歩くぱぱんぴぴぴんぱと歩く   鈴木牛後

「ぱぱんぴぴぴんぱ」という擬音で、仔猫の軽さ小ささ、足取りのおぼつかない様子が表現されています。「ぱぱんぴぴぴんぱ」って、まるでおもちゃのピアノのよう。「ぱ」と広げられた前肢の肉球を見れば表面張力でまるまったプルンプルンのピンクのゲルみたい。触りたい! 触らせろ!「ぴぴぴ」と進んでよろけて止まる「んぱ」!!!
仔猫がかわいいのは全人類が知っている。こんなわかりやすいかわいらしさで殴ってくるなんて卑怯です。くやしい。

おのだみきさんの「か、ち、かち、とだぶるくりっくするヒグマ」のときも思いましたが「かわいい」という心の動きは残酷なものです。自分より弱いもの、不器用なものに感じる好ましさ。ヒグマの句は人間より明らかに大きく強い存在が背中を丸めて不器用にも人間の暮らしを真似しようとしている健気さが「かわいい」。人間の暮らしにおいては人間は優位に立てるから、それが上手くできないものを(野生の状態では獰猛であるにもかかわらず)「かわいい」と思える。
「かわいい」が「守りたい」に繋がればいいんだけど、世の中には「かわいい」から「いじめたい」の方に舵を切ってしまうひともいますよね(例:Guardians of the Galaxy Vol. 2におけるベイビー・グルートの受難)。わたしもときどきどうぶつの森のエレフィンさんや奈良のしかまろくんを責め苛む妄想をします。

★信頼できない語り手賞
「違うんです。生け簀の亀の鳴く声です」   みやさと

だれかの発言であることを表すかぎかっこがついています。
生け簀に亀を飼っていることがあるだろうか。生け簀にいるのは大概スッポンです。
そして春の季語「亀鳴く」。亀が口から音を発することはあっても「鳴く」といえる程ではないので「亀鳴く」は「想像上の季語※」とも言われています。
以上のようなことを念頭に置いて、3分程度座禅を組んでみてほしい。ふと、とんねるずの「おならじゃないのよ、おならじゃないのよ、ちょっと空気が入っただけ」という今の感覚では許容しがたいギャグが鎌首をもたげてきはしまいか。
亀を持ち出した時点で男性から男性への言葉として読んでほしいことを示唆しているようにも思えます。だとすればそれは解剖学的にはほぼ「おなら」なのではないか
この俳句も「VR部門」の松本てふこさんの句と同様、BL部門に入れようかどうしようか非常に迷いました。

※平井照敏編『新歳時記 春』河出文庫

★高丘親王賞
貘の仔をおぼろの街へ放ちけり   加留かるか

動物園の獏ではなさそう。夢を食べるほうの獏ではないでしょうか。
寒さの緩んだ春の夜。ぼんやりとかすんだ街に獏を放つ。人間たちの夢をたーんと食べておいで……。
澁澤龍彦『高丘親王航海記』によると、人間の夢を食べた獏は白い薄い膜におおわれた夢の食べかすを排泄します。膜の中には香りの成分が詰まっており、悪夢を食べた獏は悪臭のする糞を、良い夢を食べた獏は馥郁たる香りの糞を排泄するのだそうです。(おっと。どうぶつ部門、ちょっと尾籠な方向に傾いてきたぜ。)
朝もやの街には、ある種のきのこのような、濁ったしゃぼんだまのような、獏の食べ残しが転がっているかもしれません。

★秋葉原賞
豆撒きの鬼面のかわいすぎる件   土井探花

「かわいすぎる」「件」ってライトノベルのタイトルのよう。このお面、鬼の角がついた美少女のイラストなのではないでしょうか。そうよ。さっき言ってたのこういうことなんですよ。かわいいものに豆をぶつけたがるんだよ人類は!
オタク文化の中で好んで使われる言葉を取り入れた軽妙なおかしさがある一方で、その界隈でしばしば目にする「お金を出してるんだから何をしてもOK」「表現は自由であるべきで何を描いてもいいしゾーニングは必要ない」というような意見を思い起こさせて、素直には笑えない句です。
なんだかディスっているようになってしまいましたが、そういうマイナス面を示唆する、非常に今日的な表現であるというところを高く評価したいです。

★象を称えよ賞
十月の象を洗へる女かな   森舞華

象は形状からして男性器の比喩では、なんてそんな無粋なことを言ってはいけない。(言っちゃった! ごめん! 忘れて!)
象とそれを洗う女性の組み合わせにエロスを感じるならむしろ象と人間の肌の質感の違いや、圧倒的な大きさの違いからくる危うさ、あるいは現代アメリカにおける「洗車する女性」という定番の性的なモチーフなどに目を向けたい。
「十月」は動きそう(=他の言葉に置き換えることができてしまいそう)に見えますが、七月や八月ならば「馬洗う」「牛洗う」という夏の季語のイメージとぶつかってしまうし、「一月」にすると寒々しくなってしまう。「三月」だと春先のふわふわした感じがエロスに寄与しすぎてちょっぴり下品。「六月」は雨が降るから洗う意味がなさそう。と考えたときにやはり「十月」くらいがちょうどいいような気がします。水気があるのに不思議とドライ。

発表☆第1回ビバ!ユキオ俳句賞(1/7)

第1回ビバ!ユキオ俳句賞トロフィー

第1回ビバ!ユキオ俳句賞では81名の方からご応募いただきました。計405句。
本日から7回に分けて選考結果の発表を行いたいと思います。

受賞作を7部門に分けました。

VR部門
どうぶつ部門
ホラー部門
小太郎部門
BL部門
心配部門
珍部門

大賞はありません。
わたしが優柔不断でどれをいちばんにするか決めようとすると何年かかるかわからないので!
大賞はどれがいいか考えてみてね! と皆様に丸投げしていくスタイルです。
(句会のときはどうやって特選を決めるのかって? 並選の中から鉛筆を転がすんだぜ……)

ちなみに上記の7部門合わせて受賞作は49句です。
一通り発表した後で選外佳作にもツッコミを入れるかも……。

それではまずは、VR部門の発表から!

【VR部門】

「景色がくっきり見える」「臨場感がある」など読者である自分が一瞬でその世界に立たされるような句をVR部門として選びました。

★大きい賞
熱気球そっと潰されゆく枯野   ミコシ

景色が大きい! 熱気を送り込んでいるバーナーを止めれば熱気球はしぼむ。その姿を「潰されゆく」という受身で表現しています。
日常言語では「そっと潰す」と言われて想像するのは、たとえば浮き輪や紙風船の空気を抜く動作でしょう。それが熱気球のような大きなものに使われたことでスケール感が狂い、巨大な神の手が現れて気球を潰す様子が見えてしまう。「神」という言葉を使わず「大気圧」と言ってもいい。ふだんそこに働いていると意識させない大きな力がふと姿を表す長い一瞬を捉えたところがぐっときました。
しぼんだ熱気球を受け止める地面が「枯野」となっていることで気球の布の極彩色が際立ちます。

★百合賞
葉酸を摂るべき君や春の海   ショージサキ

「春の海」に取り合わせるものとしてまったく予想外の「葉酸」。
ところでわたしは葉酸のサプリメントを飲んだことがありません。それがどんな感じのものかよくわかりません。しかしながら文字列を目に入れると各パーツからいろんなイメージを受信するもので、葉酸の「酸」という字から漂ってくるツンとした刺激は「春の海」のまだ冷たい潮風と相まって、なんだか妙に目鼻を刺してきます。このひとたちは非常にセンチメンタルな気持ちになっているのではないか。
検索して得られた知識だと葉酸のサプリメントは妊娠を望む人が飲んだりするようなので、ひとまず「君」は女性として読みたい。
で、もうこういうのは俳句の読みを超えて完全に妄想ですが、「妊活」に疲れたA子さん(既婚者)を連れてB子さん(独身)が数日間の短い旅に出るわけですよ。「リラックスしたほうが妊娠しやすくなるって言うからさ」って。春の海に。そしたら旅の最終日、A子さんは靴と靴下脱いで海に足を浸そうとするの。B子さんは慌てて「やめなよ! あんた冷えは大敵って言ってたじゃん!」って怒るんだけど「あはは。そうだっけ」とか言って波打際を歩き始める。波がきてスカートが濡れてもおかまいなし。「ちょ、待って、どうしたの、ねえA子……!」B子さんはA子さんのことが好きだから幸せになってもらいたい。妊娠したいと言うならその望みがかなってほしい。しかしそれがA子の本心からの望みではないとしたら……? A子、A子、あんた本当はどうしたい? ねえ、このままあたしとずっと一緒にいたらどうかな。あたしぜったい泣かせない。あの男みたいにあんたを泣かせない。一生大事にするから。ねえ。ねえ。その言葉は声にならなくてB子はただただA子の姿を目で追うしかないのです。うわーん!

★ほんとにいたんだもん賞
みな蜥蜴消えたところを指差せり   笠井亞子

俳句のような短い詩型では「◯◯がない」と書くことは「◯◯がある」と書くことと本質的には変わらないのではないか。「◯◯」という言葉を読んだ瞬間、一度は◯◯を強烈に想像してしまうからです。
この俳句では「蜥蜴」は「消えた」けど「みな」はあたかもそこにいま蜥蜴がいるかのように蜥蜴の消えた場所を指差している。「みな」の頭のなかにはその場所に蜥蜴のいた映像がくっきりと残っている。「消えたところを指差」す行為は、俳句における在と不在の関係そのものを示しているかのようです。

★ふは賞
けふ春の雪にいくばくかの浮力   西原天気

スローモーション映像のように非常にゆっくりと舞い降りてくる春の雪を想像しました。
「けふ」とか余計じゃね? と思わないでもなかったのですが、いや、やっぱり余計じゃないんだよこれは!
歴史的仮名遣いを選んだときに使えるマジックのひとつに「は」行でふわふわ感(ふはふは感)を増幅させる技があります。(あるよね? たぶんあると思う。例:ふはふはのふくろふの子のふかれをり/小澤實)この句は「けふ」が浮力を増幅させてる。
「春の雪」という季語が上五から中七にまたがっているところもお洒落。何も大げさなことを言っていないのになぜかちょっぴりロマンティック。なんだよ……イケメンかよ……。

★落ち着け賞
バレンタインデーばらばらの単語帳   松本てふこ

BL部門に入れようかどうしようか非常に悩みました。リングで留められた小さいカード式の単語帳。それがばらばらになってるだけ。その日はバレンタインデー。たったそれだけしか書かれていないのに青春の甘酸っぱさ、そしてほろ苦さ、みじめさ、滑稽さが押し寄せて我が胸の奥深くに封印せし黒歴史まで蘇ってきそうです。
単語帳と言えばイメージするのは中学校か高校。書いたり並べ替えたりするためにばらばらにしたというよりはうっかりばらばらにしてしまった感じがしますよね。何に動揺してるんだ君は!

★症例賞
耳薬耳から出でてあたたかし   豊永裕美

点眼薬、点鼻薬とおなじように点耳薬というものがあるんですね。知らなかった。
わたしはみみぐすり、点耳薬というものを使ったことがないけれど、この句を読むと耳からあたたかいものが出てくる感覚が蘇ってきます。たぶんプールで耳に水が入ったとき、頭を傾けて耳から水を出す、そのときに感じる熱さが記憶にあるからだよね。
「あたたか」は春の季語ですから、「耳薬が耳から出てくること」と「外の気温のあたたかさ」を取り合わせたと考えることもできるでしょう。でもわたしは耳からあたたかいものが流れ出る生々しい身体感覚のほうを取りたいと思います。ここは敢えての「無季」っぽい読み方で。

載ったど!『野性時代』3月号

野性時代2018年3月号

KADOKAWAのロゴと鳳凰マークが燦然と輝く(イメージ)封筒を開けてみると野性俳壇のステッカーが入っておりました! わーい!
このステッカーは特選入賞者がもらえるものだそうですよ。どこに貼ろう。歳時記? Macbook?

夏井いつき・特選
資材部は土筆ゆがいているそうです  石原ユキオ

夏井さんがコメントで ”建築土木会社の「資材部」を想像。” と書いてくれていたのが嬉しかったです。俳句を受け取ったひとが妄想を広げてくれるとすごく嬉しいよね。

この上機嫌のいきおいで今月号の野性俳壇からぐっときた句を紹介します!

少女ぴよんぴよんす春の列車のとほければ  くらげを

「跳ぶ」でも「跳ねる」でも「跳躍す」でもなく「ぴよんぴよんす」なのがいい。口語の「ぴよんぴよん」に文語の「す」がつくとコミカルな雰囲気に。遠くの列車を見ようとするというよりは、はやる気持ちがおさえられなくてこころぴょんぴょんの状態なのではあるまいか。

麗かや分かった順に笑ふ寄席  霞山旅

たぶん昼席ですね。あったかくて客席はみんなぼーっとしてて、噺家さんのネタが笑いに変わるまでにタイムラグが生じる。ああ、繁昌亭に行きたい。

麗らかや婆さんは池に落ちない  井口可奈

落ちそうで落ちないんだと思う。落ちたら面白いのではないかと淡く期待してしまう。余談だがわたしは川に落ちそうな爺さんを拾ったことがある。

鈍行が一番早く着く春野  徳山雅記

誰も死なない時刻表トリック。

そういえばビバ!ユキオ俳句賞に応募してくださった方、野性俳壇の常連さんがけっこう多いです。野性俳壇でわたしの名前を見かけてSNSでチェックして応募してくださったんだと思う。野性俳壇のオフ会があったらいいなー。句会しないのかなー。あったらいいなー。あったらいいなー。

第1回ビバ!ユキオ俳句賞 募集要項

趣意
石原ユキオは岡山県岡山市の辺境に生まれ育ちのんびりと燻っている自称憑依系俳人である。
石原ユキオの名を冠するこの賞は「ユキオ、これ読んで!」「いいのできた!」「ユキオって誰か知らんがなんか募集してるみたいだから送ってみた」など、石原個人へのお手紙的な感覚で気楽に楽しんでいただきたい。新人賞っぽい語感だが旧人、原人、猿人、類人猿、地球外生命体、人工知能など、どなたにも門戸を開いている。
言うまでもなく芝不器男俳句新人賞とは何の関係もない。なんとなく似ているとしたら憧れをこじらせただけなので訴えないで!

<<第1回ビバ!ユキオ俳句賞募集要項>>

募集内容

応募者が作った俳句、5句。既発表句可。(1句単位での審査となるため連作的要素は考慮しなくてもいいと思う)
「ユキオこういうの好きだろ」「萌えるだろ」「好みじゃないと思ってるかもしれないけどユキオの人生にはこういう句が必要だよ」などユキオ思いの精神をもって応募していただきたい。

いろんな句にいろんな賞を与えたい。
(新人賞、奨励賞、ロッキーホラー賞、憑依賞、萌え吐き賞等)
賞状やトロフィーはありません。ほめるだけ!

応募資格

なし。どなたでも歓迎。

募集条件

ビバ!ユキオ賞実行委員会がすごくやる気を出した場合、応募作を掲載した冊子・電子書籍・その他のグッズを販売する可能性があります。その際の著作権使用料はお支払いできません。しんどいので作らない場合もあります。あんまり期待しないで。温かい目で見守ってほしい。

募集方法

下記をEメールに記載し vivayukio@aol.com 宛てに送付してください。(添付ファイル不可)
【件名】ビバ!ユキオ俳句賞応募
【本文】

(ここに作品5句)

1)名前(ふりがな) ※俳号、ペンネームなど
2)生年月日 ※だいたいでもいい。公開しません。
3)ツイッターアカウント ※あれば教えてください。
4)ついでに、好きな麺類を教えてください。 ※公開するかも

なお、狼煙(のろし)、矢文、テレパシー等での応募はお受けできません。ご了承ください。

募集期間

2018年1月20日(土)17時〜2月10日(土)

選考委員

   
石原ユキオ(憑依系俳人) 石原ユキオ(憑依系俳人) 石原ユキオ(憑依系俳人)

選考方法

全作品を楽しく拝読し、どんな賞をあげたいか考えます。

選考結果の発表について

3月ごろ本ブログにて発表予定。

お問い合わせ先

ビバ!ユキオ俳句賞実行委員会事務局 石原ユキオ
(vivayukio@aol.comもしくはツイッター @yukioiにご連絡ください)

主催

ビバ!ユキオ俳句賞実行委員会

歌集『猫は踏まずに』

猫は踏まずに

白菜を白菜がもつ水で煮るいささかむごいレシピを習ふ 本多真弓『猫は踏まずに』

花山多佳子さんが栞で次のように書いている。

蒸し野菜はみな「もつ水で煮る」のだが誰も「むごい」なんて思わない。でも「白菜を白菜がもつ水で煮る」と言われてしまうと俄然、むごく感じられる。

そうなんですよ。つい、「獣の革を獣の脳の脂肪分でなめす(※平山夢明から得た知識)」とか「サボテンの針を抜いてサボテンに刺す(※臨死!!江古田ちゃんのお姉ちゃん)」とか思い出してしまうんですよね。

たぶん、これを「むごい」と感じられるのは、主体が同じ目に遭っているからだ。

引用した歌は実家への帰省がモチーフの「おののののろ」の一首だが、歌集の流れのなかで読むと、白菜のもつ水分で白菜がこげつくこともなく都合よく煮られるように、会社勤務の女性が会社の一員として、あるいは「長女」として、社会の期待に合わせて自らを抑圧して生きざるを得ない、そしてそれは自ら望んだことのように仕向けられているんだよねえええええええええうおおおおおおしんどいよおおおおおおおおおおおお!!!!!!

ということを考えてしまって、うううううう……。よくぞ書いてくださいました。

会社勤めをしたことのあるひと(主に事務系の女性)は頷きすぎて首が何個ももげる歌集だと思います。

背をむけてきみは翼をしまひこむ(ひにんするのはひとだけだつて)

という最高にすてきな「事後」とか、

リア充が爆死してゐるかたはらを手もあはせずに通りすぎたり

というユーモアとか、あとバレンタインBL短歌も入ってますよ!

初夢2018

夫の個展会場を下見する。小さな雑居ビルの一室。会期の後半は会場がすぐ隣の建物に移るため、個展のDMに忘れず書いておかなければ。東京の駅でいちばん好きなのはどこだろうと考える。

分厚いステーキが売り物のファミリーレストランに入る。この店は持ち合わせが少ないときは労働することで食事の対価を払うことができるのだ。よいシステムのようだが年配の客が多く誰も皆どことなく不幸せに見える。わたしはこの店に通ってはいけない、深みにはまってはいけない

工事中の車線に黄色く塗られたブルドッグが何匹も繋がれており、車が侵入すると激しく吠える。

*   *   *

 

不二貿易 座れるぬいぐるみ ブルドッグ 耐荷重:80kg 34485

活動記録(2017年)

●月刊俳句同人誌『里』2017年1月号に瀬戸正洋『へらへらと生まれ胃薬風邪薬』一句鑑賞を寄稿。

●「谷川俊太郎トリビュートLIVE 俊読2017」に出演(原宿クロコダイル)。俳句と詩を朗読する。2010年に続き2度目。

●BL俳句誌『庫内灯』スタッフとイベント「ことばや俳句と遊ぶ会」を開催(岡山市)。「ちょめ俳しせ俳クイズ」のコーナーを担当。

●円錐新鋭作品賞落選(高柳蕗子選上位5作品にノミネート)

●「poecrival 1」2席入賞(関悦史選)

●『小説 野性時代』の投句欄「野性俳壇」で特選に入賞。他、入選数回。

●『共有結晶別冊・二次創作短歌非公式ガイドブック』(2017年5月7日発行)に「石原ユキオインタビュー 憑依俳句と二次創作俳句」を寄稿。

●アートイベント「まちのすきまカフェ」(岡山市)にて「ぺったん詩」ワークショップと、短詩をめぐるトークライブ「短歌と俳句とぺったん詩」を開催(共演:荻原裕幸、中山奈々)。

瀬戸内ブッククルーズ「イチョウ並木の本まつり」(岡山市)に参加。俳句関連書籍を販売。また、トークコーナー「店主のオススメ本Z」で瀬戸正洋『俳句と雑文B』を紹介。

『現代詩手帖』2017年10月号「川口晴美と、詩と遊ぶ」に連作「四代目中村地球三郎第一句集『宙乗』より」を寄稿。
『Solid Situation Poems』稀人舎から発売中です。

●ワークショップ「ぺったん詩ぺったん会」を開催(東京)。

●『共有結晶別冊 萬解』(2017年11月23日発行)の「俳句百合読み鑑賞バトル」に寄稿。

●月刊俳句新聞『子規新報』第64号(2017年11月30日発行)「次代を担う俳人たち」に掲載。

●BL俳句誌『庫内灯3』(2017年11月23日発行)の「海外文学海外文学感想文BL俳句」に連作「レニー、俺たちいつかちひさな土地を手に入れてぜいたくざんまいに暮らすんだ。」を寄稿。

「はつかねずみと人間」はイケメン訳の高村版を読むべし!

家畜を見るためにヤギ牧場に吟行しました

『庫内灯3』の「海外文学海外文学感想文BL俳句」に参加しています。

今回わたしが取り上げたのはジョン・スタインベックの「はつかねずみと人間(Of Mice and Men)」。

小柄で頭の切れるジョージと知的障害を持つ怪力の大男レニーは二人で農場を渡り歩く労働者。彼らは自分たちの土地と家を持つことを夢見ていましたが、それがあと少しで叶いそうになったとき、突然悲劇が訪れ夢は潰えてしまいます。

そもそも海外文学でBL……というお話をいただいたときに真っ先に思い出したのがこの作品なのですが、最初に読んだのはおそらく小学校高学年か中学生の頃です。読み直してみようと新潮文庫の『ハツカネズミと人間』(大浦暁生訳)を取り寄せてみたところ……

レニーの一人称が「おら」!
ドラゴンボールかよ!!

謎方言が気になってストーリーに集中できないので図書館で『スタインベック全集4 はつかねずみと人間<小説・戯曲>』(高村博正訳)を借りてきました。

よかった。高村版では二人とも「おれ」だし話し言葉が自然だ!

(大浦訳)
「ジョージ……おらのがねえよ。なくしたにちげえねえ」
そっとつぶやくと、がっかりして地面に目を落とした。
「おめえ、初めから持ってねえんだよ、バカだな。おれが二枚ともここに持ってる。おめえになんか労働カードを持たせておけるもんか」

(高村訳)
「ジョージ––おれのがない。きっと落としたんだ」とそっとつぶやき、がっくりして地面に目を落とした。
「おまえは、はじめから持っちゃいないんだよ、ばかだな。おれが両方ともここに持ってるんだ。おまえに労働カードを持たせておくはずがないだろが?」

おわかりいただけたでしょうか。
高村版レニーは少年のようでかわいらしく、高村版ジョージはそこはかとなくイケメンなのです。レニーへの「もうしょうがないなあ(おれが守ってやるぜ!)という雰囲気が滲んでいはしまいか。「ないだろが?」のあたりとか。

スタインベックはこの小説で “give me” → “gime” など、農夫たちの話し言葉を音のまま記述することを試みたそうで、大浦版はその日本語での再現を目指したものだとは思いますが、ジョージが「おれ」なのにレニーが「おら」なんて、レニーにだけ特別なキャラ付け(漫画などによくある、特定のキャラだけが特徴的な話し方をするやつ。ラムちゃんのだっちゃ口調、孫悟空のオッス、オラ悟空口調など)を与えているようで嫌です。ラフな話し言葉にとどめている高村版のほうが好感が持てます。

また、あとがき・解説では翻訳者それぞれのスタンスの違いが明確に分かれています。

ジョージがレニーをリンチから救うために射殺する結末の場面は、何気ない動作や言葉をとおして、ジョージのやるせない気持ちが切実に伝わってくる。(訳者あとがき/大浦暁生)

残酷な私刑(リンチ)から親友を救うために、ジョージはレニーを「安楽死」させます。いちばんしたくないことをせざるをえないジョージのいたたまれない気持ちに同情する読者もいるでしょう。しかし逆に、生きる権利を奪われたレニーに対してはどうでしょうか。最愛の、もっとも信頼していた親友に突然うしろから殺されるレニーの運命とその扱いに疑問を感じる人も多いはずです。(訳者解説/高村博正)

(ごめん、いま引用でサラッとネタバレしたけど、どうしようもなく追い詰められた状況でジョージが相棒のレニーを殺してしまうのです。)

一方的にジョージの側に感情移入して鑑賞する大浦氏に対し、殺される側のレニーに目を向ける高村氏。高村氏はスタインベックの作品を原作とした映画や舞台公演を可能な限り観ているスタインベックオタク(推定)ですが、強者の立場に立ちがちなスタインベックの姿勢に対して非常に批判的です。愛ゆえの批判を感じます。『はつかねずみと人間』を読むなら、もうぜったい、高村博正訳の全集をおすすめします。あたくし思いますに、イケメンとはヒューマニストのことなのよ!

ただし流通してません。ぜひ図書館で読んでください。

10/28(土)イチョウ並木の本まつりに出店したよ

瀬戸内ブッククルーズ「イチョウ並木の本まつり」に参加しました。

瀬戸正洋『俳句と雑文B』
佐藤文香『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック』
『BL俳句誌 庫内灯 2』『guca紙(ぐーかし)』など、
俳句の本をすこしだけ持っていったところ……

まさかの完売!!!!

本当にありがとうございました。
(そして、ほしいのに買えなかった方ごめんなさい)

ガラスに何か貼ってあるのは……

「店主のオススメ本Z」というトークのコーナーで紹介した瀬戸正洋『俳句と雑文B』に入っている俳句です。ちなみにこの本はわたしから買うか、版元から著者に連絡してもらうか、直接著者本人に連絡する以外手にいれる方法がありません。

もっと俳句の本を流通させなければ! という思いを強くした一日でした。

まちのすきまカフェ*ぺったん詩報告

2017年9月30日(土)・10月1日(日)「まちのすきまカフェ」にて「ぺったん詩」ワークショップと短詩をめぐるトークライブ「短歌と俳句とぺったん詩」を開催しました。

ワークショップ一番乗りは『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック』収録作家のこちらの方。

注目の若手俳人なのに日本全国どこでも会えるイメージが強すぎてツイッターで宣伝するのを忘れていました。もっと「クロイワくんに会えるよ!」アピールをすればよかった……。

荻原裕幸さんの短歌、中山奈々さんの俳句、石原の俳句がばらばらのまぜこぜになっている中からお気に入りのフレーズを見つけてぺったん!

↑ちなみに手タレは岡山大学短歌会のみなさん。

完成したぺったん詩は壁に貼りました。

字を消すために*(アスタリスク)を使うなど様々な技法が発明されていた!

こちらはトークの様子。右から中山さん、荻原さん、石原。

物販コーナーは文藝イシュタルさんが手伝ってくれました。わたしの強引なリクエストでエプロンをつけてもらいました。

二日間使ったはんこは「歴戦の勇者」みたいな貫禄のある汚れ具合に。

今後、岡山でも他のまちでも「ぺったん詩」の会を開きたいと思っています。「うちのまちに来て〜!」というお誘いもお待ちしてます!