BL句会 in 神戸レポート

 
kiito

2014年6月27日(金)、BL句会 in 神戸を開催いたしました。
メンバーは司会のわたしを含めて8名、内訳は俳句関係で知り合った方3名、BL短歌関係で知り合った方4名。

句会の様子

なんだか妙に馴染んでいてわかりにくいのですが男性の参加者が2名。
(ふたりとも俳句経験者で、とても良い批評&妄想を披露してくれました!)

句会での高点句を引用します。

(あっ! 大事なことを言い忘れていました。句会というのは無記名で俳句を並べて、参加者が自分の気に入った句を選ぶゲームのことです。何人に選ばれたか点数をつけて、高点句から批評します。批評が終わったら作者が名乗ります。ちょっと “人狼” っぽいところもあるかも)

紙魚に名を奪われている美少年  正井(萌選0 並選5)

ともだちを抱くこともある夏の果て  佐々木紺(萌選4 並選0)

蜘蛛の子や御身の膝をよじのぼる  正井(萌選1 並選3)

桃の蜜したたる肘の先を食む  実駒(萌選1 並選3)

殺人もこの際ありか朝曇り  岡田朋之(萌選1 並選3)

普通の句会では参加者がそれぞれ自分の心に響いた句を複数句選び、その中で特に優れたものを「特選」としますが、BL句会では「特選」のかわりに「萌選」を設けました。
「俳句としての完成度はちょっと横に置いておいて、作者の描こうとしている世界が自分の萌えに近いものを選ぶ。つい選んじゃった、選ばざるを得ない、きゅんきゅんする、こういうのもっと作ってほしい」
という気持ちを最優先して選びましょう、というのが「萌選」です。

二句目、佐々木紺さんの「ともだちを抱くこともある夏の果て」は、「BL俳句的にこれは選ばざるを得ないだろう」というような句。4人が萌選をつけました。俳句玄人っぽく表現するとBL句会という座への直球で豪速球の「挨拶句」と言えるかもしれません。
三句目の批評では「仏教的な法悦ともうひとつの悦び」「御身(=あなた)はノンケ」「陰陽師っぽい」、四句目の批評では「食む側を受けとして想像しても攻めとして想像しても萌える」「俳句的には言いすぎかもしれないけどBL俳句としては『食む』は絶対必要!」といった面白い批評が飛び出しました。いや、なんていうか、全体的に、BL句会じゃないとぜったい聞けない言葉をたくさん聞きました。こんなに頻繁に笑いや悲鳴(キャー♡)が起きる句会って初めてです。

BL句会は、”BL俳句を投句する句会”というよりも、”俳句をBL読みして萌えを語っていただく会”にしたいという思いで企画しました。
メールでの事前投句をお願いした際には、
「BL俳句を意図して作ったものでなくてもかまいません。みんなでBL読みの可能性を探りましょう!」
という連絡をしました。
俳句は短い。情報が少ない。だから、大抵の句は書かれてない部分をBL成分で補って読むことができる。人間が二人出てきたら男性同士。植物や動物は擬人化してBL的に消費可能。極端なことを言えば「緑蔭に三人の老婆わらへりき(西東三鬼)」でも、三人の老婆の手元に薄い本があるというメタ的なBL俳句であると解釈することもできる。
つまり、すべての俳句はBL(読みできる)俳句なのです。
BL読みしたときにめちゃくちゃ萌える句とちょっぴり萌える句があるだけです。

俳句と腐女子を同時に病んでいるひとからは「BLは好きだけどBL俳句を作ることに関しては興味がない」「BL読みは面白いけどBL俳句を作るのは難しい」といった声もある(というか、わたしもBL俳句を作ろうとして作るのはとても難しいと感じている)のですが、普段通りの俳句を投句してBL読みを楽しむ会として気軽に遊びに来ていただきたいと思っています。

今回の句会場と日時は、わたしが神戸で行ってみたい場所・そこが空いている時間、ということで参加者の方の交通の都合はあまり考えずに決めてしまったので、京都から二時間かけて来てくださった方もいたりして、ほんとうにありがとうございました。(;▽;)
岡山から神戸は新幹線使っちゃうと30分だったりします……。
(帰りは二時間かけて在来線で帰りました。線路沿いの家のベランダを見るのが楽しいから鈍行大好き!)
次回は大阪での開催を予定しております。俳句初心者の方もBL初心者の方も是非ご参加ください!

関連リンク:曾呂利亭雑記

ルッカリー

ルッカリー
 
ルッカリー
 
極東の冬あたたかく休園日
ガラパゴスゾウガメ鳴くや午後は雨
いかなごをひとすじ銜え愛妻家
だれそれのとつぜん不在竹の秋
ぺんぎんに歩く自由や斑雪
春の昼ひよこまみれになりやすい
万愚節擬卵のようにわが子かな
柵を舐め桜吹雪を食み麒麟
鉄柵に園児はさまる日永かな
行く春のゴム長靴をつつこうか
 
 

町田康さんや坂田明さんが載ってる号です

2014年6月…

ブーン……

『俳句界』に…

ブーン……

۵ 憑依俳句 ۵ が掲載された……!

ズバァァァァーン!

ブーン…ズバァァァァーン!予告編のブーンだと思って読んでください)

はい。というわけで、たいへん珍しいことに拙句が俳句総合誌に登場しています。
お手元に『俳句界』がある方はP260をご覧ください。
ない方は買ってください!
総合誌に掲載されたときに「書店で読んでくださいね!」って言うひと多いけど
わたしが出てるときは立ち読み禁止な!
記念に持っとけばいいじゃん?
もう載ることないかもしれないからな……。

BL句会 in 神戸

BL句会in神戸

2014年6月27日(金)、神戸にてBL俳句を鑑賞・批評する会を行いたいと思います。
事前にメールで投句(2句)。
当日、無記名で並んだ俳句の中から自分の好きな句を選び、感想を話し合います。
俳句初心者の方にもお楽しみいただけるよう「萌選」ルールを設けました。
必要なのはBL・やおいに萌える心だけ! ぜひ、お気軽にご参加ください。

連絡先 @yukioi

文フリで買えなかったひとのための石原ユキオ通販情報

 
5月5日、第18回文学フリマお疲れさまでした!
ブログでお知らせするのをうっかり忘れていたのですが、文フリを皮切りに販売開始となる本に参加しておりました。

なんで早く言わないんだ!
知っていたら買ったのに!

という方がこの世界のどこかにかならずいらっしゃると信じて、通販情報のご案内です。

『別腹』第7号

『別腹』第7号

特集は「食」。
「小料理いしはら」というタイトルで、俳句とイラストを寄稿。

小料理いしはら

《印象に残るフィクションのなかの食》というアンケートにも回答しています。
おとりよせは別腹バックナンバー一覧ページ上部の別腹通販入力フォームからどうぞ!
拙作が載っている最新号は第7号ですが、心惹かれるバックナンバーが並んでると思うのでまとめて注文しちゃうといいと思います!

『手紙魔まみ、わたしたちの引越し』

『手紙魔まみ、わたしたちの引越し』

穂村弘さんの手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)のトリビュート作品集。
“まみ” の妹 “ゆゆ” に憑かれて俳句を書きました。

手紙魔まみ、ゆゆのおるすばん

こちらはamazonにて販売中。
ほむほむ本人が新作を発表してるよ!!

☆その他、既刊本も販売中!
BL短歌合同誌『共有結晶』vol.2
『線と情事』第2号
『線と情事』創刊号
guca紙(ちょっとしたおまけつき)

 
※追記
まみトリお問い合わせフォームからも通販できます。

密着!俳句警察24時

週刊俳句第365号特集「悪い俳句」に「俳句警察24時~『遊戯の家』に潜入せよ!~」を寄稿しました。(イラストつき!)

もともと「俳句警察」や「歳時記警察」というのは表現よりも規範を優先する俳人のことを揶揄して言った言葉(……と、わたしはとらえているんですが、合ってますでしょうか)なのですが、今回の記事では文字通り二人の刑事が登場して事件性のある俳句を捜査します。

俳句警察

(右)山さん。ベテラン刑事。一人娘を溺愛している。
(左)インバネス。新米刑事。(日本の一般的な警察組織では刑事同士が『ジーパン』『テキサス』『スニーカー』といったニックネームで呼び合う習慣があるらしいので、俳句っぽいニックネームをつけてみました。)

ちなみに、『遊戯の家』のほかに捜査対象として考えられていた句集・アンソロジーは次のようなもの。
悪い俳句、探してみてくださいね。

  

 

ぺんぎん憑依

 
田丸まひるさん&しんくわさんのネットプリント、「ぺんぎんぱんつの紙 八枚目 俳句ください」に寄稿しました!

早速プリントして、読んで。

あれ……俳句ってこんなに面白かったっけ……!? と思いました。

(俳句は面白いよ! 面白いけど! 編集が上手いとほんとうに面白いことがちゃんと伝わるんだなって!)

(レイアウトを凝りまくったわけでも絵がいっぱい入ってるわけでもないのに! シンプルではきごこちのよいふしぎなぱんつ!)

というわけで、ぜひ最寄りのコンビニエンスストアでコピー機からペロンと取り出してみてくださいね。

妄想が捗る擬人化系季語

先日、男同士の性愛を描いたらBL?という記事を書きました。
ざっくり言ってしまうと「ゲイ向けコンテンツと腐女子向けコンテンツは違いますよ」という話ではあるのですが、
少し別の方向でも議論が盛り上がり、いろんな方の意見が聞けてとても嬉しかったです。
たとえば、こんなご意見。

RTの問に対して私の回答は×。
このリンク先の文章にはおおよそ同意できる。ただし、言葉の定義の問題だが、この文章中の『BL』を『やおい』と言い換えれば。
BLとは、BLを標榜している作品、あるいはBLレーベルから出版されているものを指す、と考えている。
やおいはBLを包括する。 —ホンゴさん(@book_go

非常にいいご指摘だと思います。
「BL」という言葉は商業出版から発生したもので、比較的新しい言葉です。(”商業”じゃないところに何があるかというと、”二次創作”や”オリジナルJune”といった同人誌の世界です)
ホンゴさんが書かれたように、狭義ではBLレーベルからリリースされた作品を「BL」と呼びます。ですからわたしが先日書いたように二次創作までBLと呼んでしまうのは少々強引。
しかし現在ではBLという言葉はより広い意味で使われるようにもなってきているようです。たとえば、2012年12月『ユリイカ』の特集は「BLオン・ザ・ラン!」。「やおい」「June」の歴史を踏まえて現在の「BL」の状況を捉えようとしている特集です。

「BL」という言葉は舌触りよく耳に心地よいので、わたしは「腐向けコンテンツの総称としてのBL」、つまり「広義のBL」としてこれを用いることが多いです。
また、これはまったくもって個人的な事情ですが、年下の友人の前で「やおい」という言葉を出して「やおい…?(´・ω・`)」というリアクションを頂戴してしまい、それ以来BL世代の彼女に合わせるためになんでもかんでも「BL」と呼んでいるという面も否めません。だって! 仲良くしてもらいたかったんだもの!
それから、実はこの理由が最も大きいのですが、BL俳句はBL短歌から派生したものなので、BL短歌の「BL」観(BL=広義のBL)を継承していると考えています。
『共有結晶vol.1』 『共有結晶vol.2』

平田有さんと実駒さんの会話を読むと名称の変遷の歴史や個々人の感覚のズレの問題がわかりやすいかと思います。

さて本題!

『共有結晶』vol.2でも少しだけ触れましたが、わたしが勝手に「擬人化系季語」と読んでいる季語があります。
佐保姫、炎帝、竜田姫、冬帝。
これらは、読者が積極的に擬人化するまでもなく、季語そのものが擬人化しているすぐれもの。
\甘栗むいちゃいました!/というノリで\季語あらかじめ擬人化しときました!/って差し出してくれてるわけです。
ありがとうございます。美味しくいただきます!

春の女神「佐保姫」と秋の女神「竜田姫」については百合クラスタの方におまかせして(もちろん”姫”は受けちゃんの愛称として全く違和感がないのでBL読みも可能ではありますが)今回は「炎帝」と「冬帝」をBL読みしてみました。

【炎帝】「夏」の漢語の異名。人身牛頭らしいです。

炎帝に組み伏せられているごとし  谷雅子『シリーズ俳句世界1エロチシズム』(金子兜太・夏石番矢・復本一郎編)より

炎帝、情熱的です。「夏バテ」とか「夏負け」とか言ってしまうと貧乏くさいのに「炎帝に組み伏せられ」るって表現すると急にセクシーでゴージャス! 組み伏せられているのは線の細い少年でもいいし、屈強なアスリートが熱中症で倒れているところを妄想するのもいいですね。

弟子になるなら炎帝の高弟に  能村登四郎『能村登四郎全句集』より

炎帝の弟子って何をするんだろう。
「エルニーニョ現象を起こしてまいれ」「ははッ!」
みたいな感じでしょうか。
中国風のお城で暮らして長い煙管でたばこを吸って積乱雲を作ったりしそう。楽しそう。
同じ作者に「腕撫して炎帝の寵ほしいまま」という句もあります。

炎帝に召し使はれて肥担ぐ  上田五千石『合本俳句歳時記新版』(角川書店編)より

肥(こえ)は厠から汲み上げてきた人間の排泄物です。暑さと臭気にうんざりしながらも力強く天秤棒を担ぐ百姓。実用のためだけについた筋肉、汗まみれの赤銅色の肌。「召し使はれて」に漂う服従の苦痛が百姓の肉体をよりエロティックに飾っています。三島由紀夫「仮面の告白」を連想するせいか、BLというよりはゲイっぽさを感じる句です。

【冬帝】「冬」の漢語の異名。

冬帝先づ日をなげかけて駒ヶ嶽  高浜虚子『虚子に学ぶ俳句365日』(週刊俳句編)より

冬帝×駒ヶ嶽です。
山肌に差す冬の朝日という景。気温を下げるだけではなく、冬の日差しを司るのも冬帝のお仕事。飴と鞭という言葉が脳裏をかすめずにはいられません。そうやってまず日を当てておいてまた吹雪で襲ったりするんでしょう!!(エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!)

冬帝や捕虜のごとくに壁に立ち  山田露結『ホームスウィートホーム』より

冬帝や、で切れています。つまり、捕虜のように立っているのは冬帝ではなく作中主体。
彼は、寒々しい壁に向かって立っている。あるいは、壁を背にして立っている。
壁際に並んでパチンコ屋の開店を待っているのかもしれないし、会社のIDカードに入れる顔写真を撮っているところかもしれないし、立ち小便をしているのかもしれない。
「捕虜のごとく」という言葉から、敗北、薄着、疲弊、空腹といった事柄が連想されます。
そして、壁に立つポーズは銃殺のイメージや壁に手をついて後ろから犯されるイメージをはらんでいます。
BLの世界では監禁・拷問は日常茶飯事。壁の向こうから冬帝という名の攻め様の靴音が聞こえてきます。

この他に、土用太郎、土用二郎、土用三郎の三兄弟や、白玉姫(霞の異名)も擬人化系季語と言えます。
(白玉姫は歳時記には載っているものの、例句に出会ったことがありません。和菓子の白玉の印象が強すぎて使いにくいからかな?)
また、冬の厳しい気候に妖怪の姿を与えた「雪女」や「鎌鼬」も一種の擬人化と考えられるかもしれません。

擬人化系季語で良い妄想を得たら、ぜひTwitterで #BL俳句#BL読みできる俳句 のタグをつけてご報告くださいね。

プロローグ

プロローグ

腐女子の章

ピノキオに精通のある朧かな
柳絮舞ふ昼を低音ボーカロイド
図書室にポーズ集あり百千鳥
雄乳(おつぱい)を塗るにマゼンタ風薫る
柏餅じやうずに剥いたはうが攻め
雲丹の棘つまみ上げたる誘ひ受け
餌奪ひ合ふ琉金の雄と雄

事務員の章

あぃまぃにメエルを返し山笑ぅ(*´ω`*)
わたなべのなべがわからぬめかりどき
メーデーになんの予定もない予定 _(:3 」∠ )_
先々代社長像あり水を打つ!
冷房のよくきいている段ボール
ひさびさの定時退社や白日傘♪
ひややっこ社内恋愛とゎちがう。。。

家庭教師の章

燈下親し文章題が解けるまで
大西日さいころ切れば展開図
蜩(ひぐらし)やけんかの傷を見せてくれる
おとなりの猫にバッタをあげている
ダンゴムシ用筆箱のあるらしき
なまぬるき葡萄いただく時間かな
秋暑し声を合わせてCHA-LA HEAD-CHA-LA

ショップ店員の章

マネキンを回れ右
あらゆるかたちを四角くたたんであげる
顧客名簿の澄子は母
試着室につけまつげが生えてる
ロッカーの傘黴びてペイズリー柄
掃除のおばちゃんがくれた飴にがずっぱい
ノルマ届かずあのへんが天の川

S嬢の章

初夢の龍に首輪を与えたる
熊の子のおなかせなかの縫い目かな
   昭和三十六年一月二十八日、絵師伊藤晴雨没
晴雨忌や宿のかみそり剃りにくく
冬深し蝋の温度をたしかむる
ガーゴイル氷雨を吐きて笑うなり
ひとを吊るほそきちからや星冴ゆる

地廻り

地廻り

地廻り

俎板にある掌の涼しさよ
ネオン街に連れてこられて葛餅は
傘もらうためのパチンコ梅雨長し
桜桃の種のピンクが灰皿に
若楓まぶし胸倉つかまれて
夏山に茶箪笥ほどの穴を掘る
青葉木菟置いた荷物が持ち上がらぬ
すこしずつ逃げるみみずの抱き枕
川床に長く取り出す財布かな
明け易き法治国家に歯を磨く
逃げるように導くように浮いて来い
覇王樹に匕首をさす不眠かな
夕涼みこれは小銭を入れる箱
生命保険証書あたらし糸蜻蛉
秋高し車体にうつる他人の妻
銀漢は眼窩を満たすには足りぬ
泡風呂に乳暈すべる良夜かな
任侠やハンカチーフをよく濡らす
満月が助手席からは見えるのか
吾子の髪みじかき指をもて洗う