第16回大朗読に関するメモ

12月22日(土)大朗読 in 未完成
お客さん少なめ。雨と四土がなかったことと年末が原因と思われる。

以下敬称略で思いついたことをメモメモ。

▼河邉由紀恵
「桃の湯」シリーズ。
何故か郡さんがバックでカリンバを弾いていて、(※前は河邉さんの娘さんが弾いていた)それが妙に面白かった。桃の湯のある町はすべてがスローモーションで動いているような気がする。

▼郡宏暢
「デリバリーヘルスメーター」
“風俗で10万円使うより7万円の太宰全集を買う方が変態的” というようなフレーズがあった。
いまや7万円で太宰全集を買うのは、エヴァンゲリオンのフィギュアを初号機・綾波・アスカ……と10万円分買うより変態的なのかもしれない。シャア専用携帯を買うよりは確実に変態的だ。
郡さんの詩にはヒトヅマの色気を感じる。人の夫(つま)でヒトヅマ。
ただ、こういう萌えを共有できる仲間が大朗読の客層にはおそらくいない……残念だ。
大正・昭和テイストが好きで文学者の愛人になってみたいと思ったことのある女性(あるいは男性も)、郡さんの朗読を聴くためだけに大朗読に行っても損はしません。

▼加藤健次
「foot in the door」(←違ってたらごめんなさい)
一文がいつまでも終わらず粘り強く続いていく。
加藤さんが新聞の勧誘をしたら強いと思う。
「女が広島風に焼けている」ってすごい。お好み焼き風であり、原爆風であるわけで。
隣で聴いていた三上先生(俳人)がとっさにメモをとったのが見えた。

▼東井浩太郎
「時代遅れの世界」
郡さん、私が参加して、三人での朗読。
三人とも微妙に演技派なのが可笑しい。
即興がたいへん苦手でして、
「もうしゃべることはない!」
とばかりにクッキー齧ってしまいましたが、楽しかったです。

▼岩本文秀
三島由紀夫の人生を語るパフォーマンス。
この方には、所謂「詩」を書こうという、それを朗読しようという意識がはじめからない。そこがいい。「由紀夫」の幕を一刀両断にするところがカタストロフになるから、少々長過ぎるのもOKみたいな感じなのかと思う。でももうちょっと削ってもいいような。

▼秋山基夫
秋山先生は読者(あるいは聴衆)に強迫観念を植え付けることができる数少ない詩人ではないだろうか。あれは私にしか効かないのだろうか。そんなことないと思う。「現代詩手帖買いなさい」と言われれば買わなければいけないような気がするし、駄洒落を言われれば笑うほかない。長い詩を読まれれば黙って聴かざるを得ない。ちゃんと聴いていないと何か恐ろしい目に遭うような気がする。
今回はベースとのコラボレーション。本番前にベーシストのお兄さんに「僕が興奮したら興奮してね」とおっしゃっていた。先生ったら、もう。ベースのリズムに乗って部分的には歌うように読み、しかし歌いすぎない、リズムに乗りすぎない、メロディを作りすぎない、のが、たぶん天然なんだけど上手い。すごい。

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