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秋風のアラブ服 | 俳句さんに似合う香水を見つけてあげる(4)

Photo by Rumman Amin on Unsplash

詩歌のイメージに合う香水を探してくるのはちょっとしたトレンドですよ。なぜならNOSE SHOPマガジンに “百人一首” 夏の詩と香水と題して和歌のイメージに合う香水をセレクトする回があったから!
こんな僻地のブログだけどこの最新トレンドを牽引するつもりでいくわよ。よいしょ! よいしょ!(鼻フックでトラックをひっぱる絵文字)

さて、今回お招きする俳句さんはこちらです。

旅客機閉す秋風のアラブ服が最後 飯島晴子

ボーディングブリッジではなくタラップを使っているのだろう。そうだよね、風が吹いてるんだもの。
アラブ服(地域によりトーブとかカンドゥーラとか呼ぶ白い服のことだと思う)がその風になびく。
なんて絵になる情景でしょう!

言葉が並んでいる順番通りに想像するなら、アラブ服の人がタラップを降りてくるシーンということになる。
階段から降りてくる純白のアラブ服の男性。背後で閉まるドア。彼は空港ビルへと向かう。
増殖する俳句歳時記ではこちらの解釈を採っているようだ。

でも乗り込むところと考えたほうがドラマチックじゃない?
「旅客機閉す」で旅客機のドアが閉まるところを見るでしょ。それから「秋風のアラブ服が最後」だったなあ、と回想する。そして去っていく飛行機。

もうちょっと妄想を膨らませるとですね、彼は日本でひと仕事終えた後です。何か重大な任務を果たして中東に帰ってゆくところ。この俳句の視点の位置を決めるなら、人々が搭乗を待っている待合エリア内の最前列あたりがいい。ガラス越しに外を眺めていると悠々と飛行機へ向かう純白のトーブの美しさに釘付けになってしまう。彼はタラップを昇り(そうここで晴れ渡った秋空の下、頭の布が一層大きく風になびきその白はますます輝く、でも遠いからぎりぎり顔はわからない!)飛行機の中に消えていく。この句の語り手は、いや、読者であるわたしは、閉まったドアを見ながら何度もそのまぶしさを反芻せずにはいられない。

っていう雰囲気の香水を探そうというのが今回のテーマです。

ざっくり要素を抜き出すなら、空港。秋の光とさわやかな風。日本から旅立つアラブの男性。
せっかくだから中東の香水から探してみたい。

注1:本記事ではトップノート・ミドルノート・ベースノートに関してFragranticaを参考にしています。
注2:本記事では「石油王」という言葉をNGワードに設定します。中東地域の方、民族衣装着てるだけで「石油王」って呼ばれてうんざりしてるんじゃないかな、と思って。ステレオタイプよくないよね。いままで軽々しく石油王の存在を求めすぎていたと反省しています。油田の有無にかかわらず喜捨は歓迎です。

中東の地図

<登場する中東地域のざっくりした説明>
わたしのように地理が苦手な方は左上にイタリアのつま先が見えているのを手掛かりに場所をイメージしてください。
トルコは小さじ一杯分くらいヨーロッパにかかって残りはほぼ中東。トルコに拠点を置くフレグランスブランドは烏龍茶香水が日本で人気のNISHANEのほかALGHABRA、PEKJIなど。トルコ旅行記も読んでね。
UAE(アラブ首長国連邦)といえばドバイ。でも首都はアブダビ。フレグランスブランドは(前回小粋なダジャレのネタにした)AL HARAMAIN、SWISS ARABIAN、ANFASなど。
オマーンはあまりなじみのない国名だけど1930年代に日本女性と結婚して神戸に住んだ(元)王様がいたり、1970年代に皇太子がクーデターを起こして父親を追放したり、なかなかドラマチックなのでウィキペディアでご堪能ください。AMOUAGEは王様の命を受けて設立されたフレグランスブランドで、オマーンの観光名所の一つ(工場見学できる)。

アラブ服は蜜にまみれた薔薇を抱く – アントンス カフェ EDP –

INTENSE CAFÉ EDP
ブランド:Montale Paris(仏)

トップノート:フローラル
ミドルノート:コーヒー、ローズ
ベースノート:アンバー、ヴァニラ、ムスク

Montale Paris…? いきなりフランスじゃん。中東じゃないじゃん。
いやいやいやいやいや。モンタルっていうのは中東でキャリアを積んだ調香師によるブランドなんですよ!
調香師のピエール・モンタルは長年アラビアの王族の専属調香師として働いていたらしい。 モンタルの公式サイトの説明文に書いてある “Kingdom of Arabia” がサウジアラビア王国(Kingdom of Saudi Arabia)のことなのかどうかちょっとわからない。アラビア半島のどこかの王国という意味なのかもしれない。

ブランドの特徴としてよく言われるのは香りの持続性と拡散範囲の広さ。
サンプルを肌に吹いてみると、評判通りスプレーした箇所がいつまでもきらきらしている。蒸発しにくい。これがロングラスティングの秘密か。
とはいえ、このアントンスカフェはモンタルの中では比較的おとなしくて日本でも使いやすいほうではないかと思われる。

というのは、Oh My Pouchという通販サイトで試香紙を5種類同時に取り寄せた際に、アントンスカフェの香りが最初に消えていったからです。鼻を近づけて(とは言いつつきついので他のブランドよりは遠めから)嗅ぎ比べてみてもいちばんマイルド。残り4つはちょっと頭痛が起きちゃいそうなレベルで強かった。

さて、アントンスカフェの香りの感想ですが、激甘なローズから始まり、そのローズを濃厚に継続しながら杏仁豆腐の気配を秘めた生クリーム盛り盛りの激甘ヴァニラ・ラテに移行。
カフェと言われてイメージするブラックコーヒーの感じではないですね。
ほぼ薔薇とヴァニラ。コーヒーはほんの一口。終始一貫して甘いです。香水なのに太りそう。
正直なところ日本人がイメージするアラブ感はない。空港っぽさは……うーん、どうでしょう。空港で飛行機待つ間コーヒーと甘いもので一息いれることもあるし、非日常のハイカロリーな飲み物を頼んだりするのも空港っぽさといえば空港っぽさか。食欲の秋! と思えばなくはないな。
なお、この項のタイトルは例の単語をNGワードに設定した反動でBLっぽくなりました。
禁止はBL神経を刺激する。

旅するアラブ服とスパイスの微風 – ジャーニー マン EDP –

JOURNEY MAN EDP
ブランド:アムアージュ(オマーン)

トップノート:四川胡椒、カルダモン、ベルガモット、ネロリ
ミドルノート:ジュニパーベリー、インセンス、タバコ
ベースノート:トンカビーン、レザー、シプリオル、ムスク

Amouage Journey Man

Amouage Journey Man(画像は公式サイトより引用)

はい。こちらは中東で製造された中東の香水です。ただしLuckyscent(ラッキーセント)というアメリカの香水販売サイトから0.7mlサンプルを取り寄せました。
海外通販デビューおめでとうわたし!!!
海外通販は香水沼の深部で行われている禁断の秘儀と思い込んでいましたが、いざ自分で通販してみると香水沼の深部にたどり着いた気はしないのでまだまだ香水初心者を名乗らせていただきますよ。

それはさておき、肝心の香りです。

オーケストラパルファンのテ ダラブッカに似てる! というのが第一印象。
テ ダラブッカは「ダラブッカ」という中東の打楽器をイメージした香りなので似ているのは納得感ある。ただ、テ ダラブッカほど金属的な刺激を感じないような。思ったより親しみやすい香り。
トップがすごくみずみずしく涼やかな柑橘。この柑橘感はベルガモットと、ひょっとしたら四川胡椒の香りなんだろうか。涼やかという印象はカルダモンから来ているのかもしれない。
それと同時に土っぽい青い香りがする。これがシプリオルかな?
ゆっくりゆっくりフランキンセンスのウッディさが加わりお香っぽくなりやがてムスキーに和らいで……という、結構複雑な変化をします。
ところでベルガモットって面白い香料で、精油を単体で嗅いでも「あ、紅茶だ」って感じる。
アールグレイティーは茶葉にベルガモットで香りづけをするから、ベルガモットを嗅ぐと紅茶を感じてしまうということらしい。
テ(Thé = 茶)という名前を冠したテ ダラブッカは時間を置いたあとに黒糖入りの紅茶っぽくなることがあるのですが、ジャーニーはつけたての状態でアイスティーのような雰囲気を感じました。アイスティーの香りとまで言うと言い過ぎで、飽くまで雰囲気。
強めの香水ではあるけど、そこまで重くない。トップノートの清涼感は秋空を思わせる。名前も「旅」だし、なかなか似合うのではないかしら。

ルカの認めた砂漠の至宝 – フェイト ウーマン EDP –

FATE WOMAN EDP
ブランド:アムアージュ(オマーン)

トップノート:ベルガモット、レッドチリペッパー、ペッパー、シナモン
ミドルノート:ローズ、ジャスミン、水仙、インセンス、ラブダナム
ベースノート:ヴァニラ、パチュリ、ベンゾイン、カストリウム、インセンス、レザー、オークモス

嗅覚研究者で香水評論家のルカ・トゥリンというひとが『世界香水ガイドⅢ 1208』で五つ星(=傑作。五段階評価の最高点)をつけた(香水コミュニティでは)たいへん有名な逸品らしい。
嗅いだ瞬間、香りというよりも重低音を感じた。ズーーーーーーン……!
ごめん、ちょっとこの良さを感じ取るためには経験不足みたいだ。時間を置いて再挑戦します。

人工島のトロピカルジュース – グリーン ガイア EDP –

GREEN GAYA EDP
ブランド:ANFAS(アラブ首長国連邦)

トップノート:マンゴー、洋梨、アニス、カルダモン
ミドルノート:ミルク、リコリス、ウード、シダー
ベースノート:アンバー、オリス

ガツンとくるマンゴー。トロピカルフルーツのミックスジュース。フレッシュな果物からジャムやグミのような濃縮された甘さに変化していきます。健全なパリピの匂いがする。
これは成田空港でも羽田空港でも関西国際空港でもない。日本なら那覇。さもなくば東南アジア。むしろドバイの高級ホテルのプライベートビーチで傘のついたジュース(ノンアルコール)を飲んでるのかもしれない。旅客機は空を横切って、ビーチチェアに寝そべったままサングラス越しにそれを見上げてる。搭乗する気配なし。

結論

今回は、暫定的にJOURNEY MAN EDPをおすすめしたいと思います。
もっともっと似合うのがありそうな気がするのですが。空港の広い空や白い服をイメージするためには(雪のイメージや清潔さの演出に使われたりする)アルデハイドの入ったものを探すといいのかもしれない。ってかそもそも中東の香水手に入りにくいのに中東縛りにしてしまったのに無理があったかもしれない。いやしかし諦めないぞ。
今後ビシッとハマる香りが見つかったら更新します!

ほかに試した香りは?

今回の俳句さんのために取り寄せた中東地域の香水について一言ずつ感想メモを添えておきます。

Labyrinth Of Spices Extrait de Parfum – Alghabra Parfumes(トルコ)-
パイナップルと柑橘のフルーティな甘さ+ベチバーの土っぽさ。ドライダウンはヴァニラとわずかにコーヒー。個人的に懐かしい香りのような気がするけど懐かしさの正体がつきとめられない。明るくて心地よい香りだけにうっかりつけすぎて酔いそうでもある。

Fate Man EDP – Amouage(オマーン)-
概念としての朝鮮人参みたいな、根っこっぽい漢方薬の匂い。塩辛い。『世界香水ガイドⅢ 1208』でルカ・トゥリンにカレー呼ばわりされるのもわかる。わたしは嫌いじゃないよ。

Myths Man EDP – Amouage(オマーン)-
熟れすぎた蜜柑と苦い土。Lushの何かに似てる。重めのパウダリーになる。

香水なんて季語は滅べ! | 俳句さんに似合う香水を見つけてあげる(3)

初回第2回はそれぞれ俳句に登場する「桃」「夏みかん」を手掛かりに似合う香水を探しました。
そのあと週刊俳句に出張して太田うさぎさんの「軽薄なふりで夜店に遊びしこと」という句に似合う香水をおすすめしてきました。
今回は「香水」という言葉が登場する俳句さんたちにどの香水が似合うか考えてあげようと思う。

俳句の中に「香水」っていう言葉は、まあまあの頻度で出てきます。
なぜなら「香水」は夏の季語だから。

でも香水好きの方は思うんじゃないだろうか。
夏は纏える香水の種類が限られてしまう。
重めの香りをつけて真夏の電車なんかぜったい乗れないじゃないか。
ちょっと歩き回ったら汗ですぐ流れちゃうし。
秋冬の方が選択肢が広がるしきれいに香らせることができるのに、と。
あるいは、次のようにも考えるだろう。
たった1本の香水でも、温度や湿度が違えば香りの印象が変わってしまう。
だから四季を通じてその香水を試し、さまざまな表情を楽しみたい。
夏だけを特別視するなんて馬鹿げている、と。

改造社の『俳諧歳時記(夏の部)』(昭和22年。たぶん初版は昭和8年)にはこうある。

香水

植物性の香料を酒精にて溶解したる化粧品なり。香料はそれより発散する微量の瓦斯蒸気又は微粒子が人の器官を刺激して快感を与ふるものなり。或ものは濃厚、或は温和、或は強烈、其他種々なる香を感ぜしむ。香料にはローズ・ジヤスミン・ヴアイオレツト・リリーなどあり。その適当なる調合によつて得らるゝ香水は近代人の薫りに対する感覚趣味に適する為め、在来の麝香・匂袋等に代りて用ゐられ、夏季殊に悪臭を消す為めに多く用ゐらる。近年天然香料の成分研究せられ、之が合成の研究進歩するに及び、人造香料の製造を見るに至れり・人造薔薇油の如し。《参照》 掛香

※漢字は新字体に改めました

ほらこれが改造社『俳諧歳時記(夏の部)』の「香水」が載ってるページよ。

そしてこちらは皆吉奏雨『俳句鑑賞歳時記 夏の俳句』(1973年 / 明治書院)での記述。

香水

常時用いられるものでもあるが、汗の臭いなどを消すための身だしなみとして夏の外出などにふりかける。そうしたところからの季題であって、就中夏季に使用されることを基にして公約的に季題となったものであって、人事の季語にはこれに類するものが多い。

なんというか、日本が香水砂漠(諸外国と比べて香水が売れないから流通する数や種類も少ない)なのは、この「におい消しとしての香水」「身だしなみとしての香水」というイメージがまだ滅んでないせいなんじゃないのかな。
義務だとしたら、人間は適当に選ぶだろうよ。それが証拠にサラリーマンのネクタイ選びなんていいかげんなもんじゃないか。(※こだわりを持って選んでらっしゃるごく少数の方ごめんなさい)
香水を夏の身だしなみだとなんとなく刷り込まれてしまったひとが「夏だしなんか匂いつけとこ」「ブランドがお墨付き与えとるから文句ないじゃろ」くらいの意識で真夏に激重オリエンタル系香水を腋の下(ギャー!)にブシュッとしたこともあっただろう。腋臭ミーツ香水、奇跡のマリアージュ。香水分子と手に手を取り合って空中へ飛び立ってゆく悪臭分子。それを鼻粘膜でキャッチしてしまった不運な人々は香水全般を嫌いになってしまったのであった……。
というのはわたしの想像でしかありませんが、そういう側面だってなきにしもアラブ香水アルハラメインじゃない?
(おっと失敬! ついフレグランス駄洒落が出てしまったね!)

不快なにおいはデオドラント製品で消しましょうと先日香水屋さん( LE SILLAGE ル・シヤージュ / 京都 )にもらった説明書に書いてありました。
悪臭を消すために香水をつけるのではなく、悪臭を消したあと香水をつけましょう。

今後、「身だしなみ」じゃなくて「自分が心地よくいられるために身につける香水」という方向に意識改革していくべきですね。
つけたくなければつけなくていいし、どうせつけるなら心地いいものを厳選して、つける場所も季節による香り選びも工夫して。
そうすることがかえって他の人を不快にさせない香水の使い方につながるのではないかと思う。
少し前になりますがイソップのヒュイル(ひのきの香り)がツイッターでバズったのは若い世代が潜在的に心地いいものとしての香水を求めてるからこそでしょう。

だからもう夏の季語としての香水は滅べ。
今後香水を夏の季語とすることはまかりならん。無季じゃ無季!

※こちらが件のバズったツイート。個人的にはヒュイルを試す前にサンタマリアノヴェッラとかラボラトリオオルファティーボとか、いわゆる「香水」のイメージとは違う心地よさのある香水を試していたので言うほどの衝撃はなかった。でも、うん、気持ちはわかる。

というわけでようやく俳句さんたちの登場です。

香水の香ぞ鉄壁をなせりける 中村草田男

とりつくしまのない感じ! 一分の隙もない感じ!
N°5  P / EDP / EDT その他いろいろ | シャネル …香水の代名詞とも言える定番中の定番。お出かけ用の香り。デパート、参観日のお母さん、スナックのママさん。キツイ! というイメージがあって避けてきた。しかしせっかく縁あって香水沼にドボンしたのだから名香と呼ばれるものは試してみなければ。今回はEDTとEDPを試香紙で試してみました。ていうかちょっと待って。パルファン(P) とオードトワレ(EDT)を調香したのがエルネスト・ボーさん(シャネルの初代調香師)で、オードパルファン(EDP)を調香したのはジャック・ポルジュさん(三代目)なのね? そしてN°5シリーズのなかにN°5ローっていう軽めのやつもあるのね? は? ヘアミトもある? 君たちはなぜ物事をそんなに複雑にしたがるのか。
中村草田男の句ですが、鉄壁さんとお呼びしましょうか。「香水キツッ!」と思って相手の懐に入っていけない感じがしたわけですよね。その香りに拒否感を覚えているのは自分なんだけど、全力で拒否されたようにすら感じる。こういうとき人は「●●の花の香りに似た香水」なんて分析はできないと思うので、初めから特定の何かの香りと表現できない(抽象的な香りとして設計された)N°5がしっくりくると思います。いかがでしょうか。あれ? おすすめされたくなかったですか? ああ、逃げていく鉄壁さんの姿が見える……。
まさに抽象的な香りなので形容しがたいのですが、EDTは思ったよりフレッシュで若々しい香り。20代のBA(デパートのコスメカウンターのスタッフ)さんの香りという感じがしました。EDPは粉っぽさを強く感じて、おとなっぽい。うん、たしかによく言われるように「お婆ちゃんの鏡台」と言えなくもない。EDTにしてもEDPにしてもわたし自身の考えるの心地よさとは全然違う方向の香り。でもベテランBAさん曰く「お好きな方は安眠効果があるとおっしゃるんですよ」と。そうか。マリリン・モンローはシャネルの5番を寝香水にしたと言いますからな。

香水の香の内側に安眠す 桂信子

そしてこちらはまさに寝香水の句です。いい香りすぎて一瞬でスヤァ…( ˘ω˘ ) してしまうことありますね。目が覚めてもまた枕からいい香りがして再びスヤァ…( ˘ω˘ ) しちゃうよね。もうお布団から出られない。香水の香の外側に出られない。
サイプレスマスク EDP | トバリ …ひのきの香りと匂い袋のような甘さ。能の世阿弥をイメージした香りだそうです。あまりにも心地よいので大きく吸って大きく吐いてを繰り返しているうちに強烈な眠気に襲われました。イソップのヒュイルもそうですが、ひのきの香りってひのき風呂っぽいからリラックスしすぎちゃうんだよね。Byredoのジプシーウオーターみたいなとらえどころのなさも感じる。トバリのディスカバリーセット(全種類が少量ずつ入ってるセット)を買ってじっくり試したい気持ちもあるんだけど、全部大きいボトルでほしくなりそうで怖い。

香水をひとふりくよくよしてをれず 菖蒲あや

つらいこと、悲しいことがあったとき元気付けてくれるようなポジティブな香りですね。
お名前(菖蒲)にちなんでイリス(アイリス)の香水はいかがでしょう。
シルクイリス EDP | パルファンサトリ …上のトバリと同じくこちらも日本製の香水。フランキンセンスが入っているはずなのですがそこまでお香っぽさは感じませんでした。家事や仕事を落ち着いて淡々とこなせそう。

交換しましょ香水とフラフープ 石原ユキオ

アッ! 香水を夏の季語にするのはまかりならんと言いながら過去の自分が夏の季語としての香水俳句を作っていた!
フラフープと交換しそうなのは100mlの豪華なボトルではない。
ファッションブランド系やセレブの名前を冠した香水など大量生産されている商品には100mlボトルのデザインをそのまま縮小したようなミニボトル(5mlくらい)が手に入るものがありますが、ここで言う「香水」はそうしたミニボトルではないでしょうか。あるいは樹脂製の軽いボトルに入ったボディスプレーとかフレグランスミストのような商品かもしれない。
サムライ ウーマン EDT | アラン ドロン …石原本人の20代の愛用香水。桃とサンダルウッドの組み合わせによるものか、なんとなく和風。空き瓶を嗅いでみてやや経年劣化しているものの「若い女の子の香り!」と思った。懐かしさこそあれ、もはや「自分の香り」ではない。現在販売されているものは初代の香りの雰囲気を残しながらリニューアルされたものになります。

<<引用元一覧>>
香水の香ぞ鉄壁をなせりける 中村草田男『新歳時記 夏』平井照敏・編
香水の香の内側に安眠す 桂信子『新歳時記 夏』平井照敏・編
香水をひとふりくよくよしてをれず 菖蒲あや『現代俳句の鑑賞101』長谷川櫂・編


さて、次回からは再び俳句を一句だけ取り上げて長々とあの香水がいいこの香水がいいと語る形式に戻ります。
ついに! ついに!
海外通販デビューするぞー!!!

注:2020年8月10日現在ラッキーセントというアメリカの通信販売サイトに香水サンプルを注文し出荷連絡が来た状態です。初めての海外通販がうまくいくかどうか一緒にドキドキしてください!

酢つぱし | 俳句さんに似合う香水を見つけてあげる(2)

Image by marijana1 from Pixabay

香水を誰かにすすめたい気持ちをこじらせた香水初心者が俳句に似合いそうな香水を探してくる企画の第2回です。
香りの登場する俳句ということで、本日はこちらの俳句さんにぴったりの香水を探しにいきますよ。

夏みかん酢つぱしいまさら純潔など 鈴木しづ子

この句って内容的には

夏みかん 酢つぱし / いまさら 純潔など
5 4 / 4 6

と真ん中でズバッと切れてるんですよね。
まるで指に力を込めて果実を二つに割ったようなパワフルさがあります。
こんなふうに真ん中でズバッと切れる句を中間切れと呼んだりしますが、さらに字あまりもしているので、元気に暴れてる感じがする。

「酢つぱし」という表記もすごいですね。普通は「酸つぱし」と書くけど、「酢」という字をあてることで酸味が強調されてる。

この記事を書くにあたり夏みかん実物を取り寄せようとしましたが季節商品のため叶いませんでした(現在7月)。
そうだった。夏みかんは夏と言いながら春の季語なんだった。
夏みかんの収穫期は春です。
そんなわけで夏みかんの味がよくわからないまま「超すっぱいらしい」というぼんやりとしたイメージで突き進ませていただきます。
(来年夏みかんを入手して答え合わせするからね……!)

さて「いまさら純潔など」について。
省略された部分を補うならば、
「いまさら純潔なんて守っていられるか」
だろうか。
俳句の言葉を借りながら2020年に生きるわたしが言うならもう一歩踏み込んで、
「いまさら純潔なんて馬鹿げたこと言うやつまじファ●ク」
と、その「純潔」って価値観そのものを否定するかな。

この句が作られた当時(第二句集『指環』出版は1952年)は終戦後の混乱期。
「純潔」を叩きつけるように否定しなければいけないほど「純潔」が問題になる状況で、かといって「純潔」にこだわっていては死にかねなくて、力づくで奪われる「純潔」もあり、世間が「純潔」と呼んでいるものに面と向かってNOをつきつけるにはハートの強さ、高潔さが必要だったことだろう。

マッド・マックス 怒りのデス・ロードの妻たちのようにこう言いたくなる。

WE ARE NOT THINGS(あたしたちはモノじゃない)

というわけで、やっと香水の登場です。
今回は「夏みかん」にちなんで柑橘類の存在感があり、世間と戦う女性にぴったりの香りをおすすめしたいと思います。

注:本記事ではトップノート・ミドルノート・ベースノートに関してFragranticaを参考にしています。

べらんめえ! – アンセンス・アサクサ EDP –

Encens Asakusa EDP

ブランド:オーケストラパルファム

トップノート:インセンス(=お香)
ミドルノート:アイリス
ベースノート:ムスク

ブランド公式サイトの記述によると、メインノートとしてオリバナムインセンス(教会のお香)、ピンクベリーズ(って何?)、サイプレス(ひのき)、アイリス(日本ぽく言えば菖蒲)、ヴァイオレット(すみれ)、ミルラ(これもお香。ミイラ作るときも使うやつ)、ホワイトムスク(石鹸っぽい)。

「お香(アンセンス) / 浅草」と言われたら、浅草寺の境内に立ち込める線香の煙をイメージするのではないだろうか。
ところがどっこい、その予想は鮮やかに裏切られるんだな。

最初に飛び出してくるのがめちゃくちゃフレッシュな柑橘!

でもほら、上の香料見てもシトラスともレモンともグレープフルーツとも書いてないでしょ。
公式の画像にはピンクペッパーとかホタルブクロの仲間っぽいピンクの花が載ってるから、そこらへんがこの柑橘っぽさを出しているの? それともリストに載ってないだけで実は柑橘が入ってるの? この酸味はどこから来てるの? わからん。香水初心者には難しい。
でも信じて。柑橘(らしきもの)ほんとにいるんだもん。
で、その柑橘(っぽさ)と同時にスパイスも爆発してて、江戸っ子が啖呵を切るような威勢の良さを感じるんだ。
鮮烈なトップノート、酢つぱしさんもきっと気にいるはず。
ミドルノート以降はスパイシーさを残しつつ、アイリスのおしろいっぽさとムスクの石鹸ぽさで凪いでいく。
一貫して線香の煙の匂いではないんだけど、お香といえばお香。火をつける前の線香や粉末の塗香に似てるかも。

オーケストラパルファムは楽器からインスピレーションを受けた調香師が香水を作り、それをミュージシャンが音として解釈して演奏するという、コンテンポラリーアート的手法を取っているブランド。
YouTubeチャンネルから各香水のために制作された曲やミュージシャンのインタビューが試聴できるようになっており、この香水の場合は日本の琴奏者日原史絵氏が演奏を寄せています
たしかにトップノートの謎の柑橘爆発は琴の高音のキーン! とした感じに近いかもしれない。

シャワーのように浴びたい柑橘 – 4711 アクアコロニア –

4711 アクアコロニア
ピンクペッパー & グレープフルーツ

ブランド:4711

ノート:ピンクペッパー、グレープフルーツ ※時間経過による変化なし

ドンキで投げ売りされていたらすぐにお迎えするべきオーデコロン。
(わたしが買ったときは50mlが500円になっていました。)

アクアコロニアシリーズは絶世の美女になった気がしたり、戦闘力が高まったりするタイプの香水ではない。
そのかわり、肩こりや筋肉痛に塗る軟膏のように、気持ちをほぐしてリフレッシュさせてくれるものです。

酢つぱしさん、あなた世間に対して怒りを持っているはずだ。
その怒りにまかせてスプレーを押しまくってほしい。
そしてこのオーデコロンを全身に浴びてくれ。
酢つぱい! 酢つぱきもちいい!
ヒュー!
よし、ついでに冷えたビール飲んじゃお。
それからマイクロビーズ入りのソファに倒れ込んでネットフリックスで海外ドラマとか見るといいよ。

4711アクアコロニア、名前の通りオーデコロンなので、持続性も拡散性もありません。(香料の濃度で言うとパルファン>オーデパルファン>オードトワレ>オーデコロン)
同じシリーズのブラッドオレンジ & バジルは香りがもうすこし強め。でも甘すぎないオレンジ。どちらも愛用中です。
最初はいちばん小さいサイズを試して、気に入ったら大瓶を取り寄せるといいよ。
(なおこの系統が好きでもうちょっと贅沢に自分をもてなしたい方はゲランのアクアアレゴリアシリーズから何かお迎えすると幸せになれると思います。)

不潔ですが何か? – ダーティ レモン EDP –

DIRTY LEMON EDP
ブランド:ヘレティック・パルファム

トップノート:レモン、ベルガモット、ライム、シトラスリーフ
ミドルノート:ジュニパー、ブラックペッパー、イランイラン
ベースノート:パチュリ、オーストラリアンサンダルウッド
ブランド公式サイトに示されているメインノートはレモン、イランイラン、ブラックペッパー

ごめん、実はこれ試してない。
ムエット(試香紙)すら嗅いでないんだ。
でもコンセプトと広告ビジュアルがおもしろいからブラインドレコメンドしちゃう。
(香水沼界隈では香水を試さずにいきなり購入することを “ブラインド買い” “blind buy” と呼びます。)

ダーティレモンは「純潔」とかそういう次元じゃない、セックスがあっけらかんと受け入れられる世界の商品だ。
こちらの画像をごらんください。


Artist: Tony Futura | Instagram

乳房に見立てられたレモン。
片方の「乳首」に飾られたボディピアス。
明るくてエロティックでユーモラスなこのイメージは Tony Futura というベルリンに拠点を置くアーティストによるもの。
アメリカ(ヘレティックはアメリカのブランドです。)に比べたら日本はそうでもないとはいえ、セックスは昔ほど後ろ暗くないんだよね。
したいときにしたい相手とセックスすることも望まないセックスを拒否することも女性の(人間の)当然の権利だ。
それを認めさせるための戦いはいまもまだ続いているけど、少なくとも1952年から言えばいくらかましになってるとわたしは思う。だから、こう言うと失礼かもしれないけど、酢つぱしさんの作者、鈴木しづ子さんの俳句は現代の基準から言えばたいして大胆でもスキャンダラスでもないんだ。

裸か身や股の血脈あをく引き
情慾や乱雲とみにかたち変へ
娼婦またよきか熟れたる柿食(た)うぶ
コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ
遊郭へ此の道つづく月の照り

鈴木しづ子『夏みかん酢つぱしいまさら純潔など』(2009)より引用

師・松村巨湫の跋文なども含めて鈴木しづ子の句集を読むと、当時の基準でのスキャンダラスな演出(あえて物議を醸しそうな句を積極的に採用したような選句、ストーリーの成り立つような構成)を狙った形跡と、役割を演じる痛みを受け取らずにはいられない。搾取だよなーとか他人の人生の消費だよなーとか感じてしまって無邪気には楽しめない。

夏みかん酢つぱしいまさら純潔など

「純潔」っていう言葉は古臭い。
現代ではセックスした経験がないことを「純潔」って呼んで特別視しなくてもいいの。
セックスしたことで汚れるわけじゃない。
レイプもセックスワークもあなたを汚しはしない。
セックスしたくなければしなくていい。しない権利がある。
処女をほしがる奴は女を人間として見ていない。

酢つぱしさんは自分の古風なところについてどう思いますか。
個人的には、世の中が前に進んで自分が古びて見えるのは自分の手柄だと思うようにしてるよ。
微力ながらわたしがじたばた抵抗した成果がいくらか出たのだと。
だから酢つぱしさんもそう思うといいんじゃないだろうか。(いや、わたしなんかに言われなくてもあなたのほうがよっぽど影響力大きいけどさ。)
あと、このブランドのビジュアルのセンス自体も一昔前のSMカルチャーのパロディみたいな雰囲気を感じるから、ひょっとしたらいまの10代20代が見たら古臭いと思うのかもしれない。

結論

今回はどれが一番おすすめというより用途別です。
戦いに際して景気付けに2〜3プッシュいってほしいのはアンセンス・アサクサ。
風呂上がりに今日も生存お疲れ様〜! と5プッシュ〜10プッシュいっときたいのは4711アクアコロニア。
ダーティレモンは世の中かわったなぁ、というのを感じてもらえるかと思って。

自分を大切にして、パワーを回復して、それからまた世間に回し蹴りをくらわしましょう!

その他これから試したい柑橘系の香り

ユー オア サムワン ライク ユー | エタ リーブル ド オランジェ …こちらはフランスのブランドだけど、ヘレティックパルファムに近いヴァイブスを感じる。
グレープフルーツコロン | ジョー マローン ロンドン …試香紙で試した感じだとローズマリーが効いていてアロマティック。薬草っぽい癒しの柑橘。今度は肌に乗せたい。
レプリカ EDT アンダー ザ レモンツリー | メゾン マルジェラ フレグランス …特定の場所・特定の時刻の情景をイメージして香りを構成したレプリカオードトワレコレクションのうちの1本。シリーズの中では「レイジーサンデーモーニング」が人気らしい。10mlボトルがあるらしいじゃないですか。ほほう……。

<おまけ>
鈴木しづ子についての情報はKAWADE道の手帖の『鈴木しづ子』という本にざっくりまとまっているのですが、鈴木しづ子は「娼婦」だったという説に関して、その説を否定する立場で批評している文章もセックスワーカーへの差別意識にまみれたものが多く、ぶっちゃけ見るに堪えない。
救いをもたらしているのは雨宮処凛さんの文章なので気になる人はそこから読んで「あ、無理っぽいな」と思ったら放り出すのがいいと思う。わたしは全部読むのは諦めました。

夜の桃 | 俳句さんに似合う香水を見つけてあげる(1)

桃ジュースを売るジューススタンド

桃ジュースの美味しい季節です。

香水にちょっとはまってしまった。
知識は少ないがひとに香水をすすめたい。
誰かがわたしの好きな香りを身につけてくれたら嬉しい。
だがたいていの香水ラヴァーはわたしより知識が豊富なので、わたしからすすめられる機会は少ない。

大丈夫。
わたしには俳句があるから。

俳句さんに似合う香水を勝手にすすめてあげようと思う。

まずは香るものが登場する俳句からいってみよう。
記念すべき第1回の俳句さんはこちら。

中年や遠くみのれる夜の桃 西東三鬼

季語は「桃」。秋の句です。
中年という人生の一時期と、夜の闇のむこう側に遠く実っているが気配としてはありありと感じられる桃の存在。
西東三鬼その人のいかにもダンディな写真や小説『神戸』『続神戸』のイメージが重なるから、中年男の胸をふとよぎった恋の気配(あるいはもっと生々しい欲望の比喩としての “恋” )、みたいに読んでしまう。
「恋は遠い日の花火ではない」というサントリーの古いコマーシャルがあるが、長塚京三が若い女性の部下に「課長の背中見るの好きなんです」と言われる、あんな感じではないだろうか。

そう、この「遠く」は「遠くだと思っておかなければいけない」「近づいて触れてはいけない」「でもぜったいおいしいだろ」「いやだめだめだめ」「あー」みたいな内心のジタバタ感をぐっと凝縮した「遠く」でしょ。もっと下世話な言い方をしてしまうと、若い子とセックスしたいけどエロオヤジだと思われたくないからすごく「夜の桃」なんて上品な (?) 比喩を考えたけどかえってエロオヤジっぽさが滲み出てしまってダサいパターンだ。いやだがそこがリアル。「みのれる」「夜の桃」とか音もマ行ナ行ラ行のヌルヌル感がいやらしいじゃないですか。桃に触れてないけど、脳内でもう何度も剥いてるでしょ!!!

どんどんでぃどん、しゅびらでん、おでーえーえーえーおー♪

むしろ俺がエロオヤジだ。

さて。
「ピーチ」とか「ネクタリン」とか書いてあったら桃の香りであろう、ということでいくつか量り売りで取り寄せてみました。

注:トップ・ミドル・ベースに関してはFragranticaを参考にしました。

昼の桃 – ネクタリン ブロッサム & ハニー –

Nectarine Blossom & Honey Cologne

ブランド:ジョー マローン ロンドン

トップノート:グリーンノート、ブラックカラント、プチグレイン(カシス)
ミドルノート:ネクタリン、ブラックローカスト(アカシアハニー)
ベースノート:ベチバー、ピーチ、プラム(ピーチ
カッコ内はFragranticaではなく公式ウェブサイト上での記載内容。

コロンなのでたっぷりめに(両腕+お腹)つけてみました。
生の桃ではないですね、これは。
桃を含むフルーツ、それからシトラスやグリーンの人工的なフレッシュさ。
デオドラントスプレーっぽい。中学生・高校生がつけていても違和感なさそう。
夜というよりは昼間の香り。
桃というと女性のイメージが強いと思うけど、敢えてメンズファッションと合わせるとおしゃれかもしれない。
かっちりしたスーツだとさすがにちょっと違う気がするので、くすみピンクのTシャツとハーフパンツ、足元はスポサンでコロンはネクタリンってどうですか。
いや、コーディネートの話ではなかった。
夜の桃の句にぴったりの香水を見つけてあげたいのだ。
これはあまりにも昼っぽいので却下です。
わたしの趣味とはちょっと違うけどデオドラントスプレーやシャンプーの桃の香りが好きで常にまとっていたい & ちょっとおとなな雰囲気にアップデートしたいひとにはおすすめできる。

仏壇に供えられた桃 – ミツコEDP –

MITSOUKO EAU DE PARFUM
(日本のサイトにミツコEDPがなかったからリンク先はUKよ! 2020年名香が日本から大量撤退と話題のゲランさん…)

ブランド:ゲラン

トップノート:シトラス、ジャスミン、ベルガモット、ローズ
ミドルノート:ライラック、ピーチ、ジャスミン、イランイラン、ローズ
ベースノート:スパイス、アンバー、シナモン、ベチバー、オークモス

ゲラン帝国より名香ミツコ様(EDP)をお招きしました。
調べるまで桃のイメージなかったけど、Fragranticaを見ると案外桃の画像が大きく出てる。
が、トップではどこかに桃がいる気がまったくしない。
お香っぽいスパイシーなオープニングに、ジャスミンかな? 中国の土産物屋かな? アッ、白檀扇子で扇がれた(白檀は入っていないはず……)? などと思いながらしばらく(30分? 1時間?)待つと徐々に甘みが現れ桃とシナモンが前面に出てきました。こっくりした完熟の桃。いいね。いい桃だね!
移り変わってゆく香りが美しいので、「ミツコは桃の香りです!」とは言えないのだけど、夜の桃の句のイメージにはかなり近い。
お香っぽいスパイスの香りって、もっと言えば線香の匂い。沈香とか、ちょっと塩辛い感じの。だからそこが「中年」ぽくもある。親戚や知人の死。逃避としてではなく現実的に意識し始める自分の死。だからこそ生命力の塊のような桃を対置したくなるのでしょうね。遠く離れた夜の闇の向こうに見いだすのは過去の自分の若さなのかもしれないね。ごめんな、エロオヤジ扱いして。
ただし、

おそるべき君等の乳房夏来る 西東三鬼

やっぱりこういう句を作るひとなんで、いっぺんハリセンでしばいておきたいですね、西東三鬼。

いちおう桃 – サムサラEDP –

SAMSARA EAU DE PARFUM
(今度はリンク先日本よ)

ブランド:ゲラン

トップノート:グリーンノート、ピーチ、イランイラン、ベルガモット、レモン
ミドルノート:アイリス、ヴァイオレット、オリスルート、ジャスミン、ローズ、水仙
ベースノート:アイリス、サンダルウッド、トンカビーン、アンバー、ムスク、ヴァニラ

ミツコを試したならサムサラも試してみなければ、と思って試しけり。
結論としては桃っぽさはあまりなかったです。
高級なおしろいっぽいパウダリーから始まり、何か強い花(イランイランとジャスミンかな?)がジャジャーンと来る。
そしてレモンを絞った手で白檀扇子を持ってあおがれます。
どちらかというと重めの香りのはずなのに、なぜかすっごい夏を感じる。
ああこれは。
夏の天満屋6階、冷房のきいた葦川(いせん)会館ですね。岡山に住んだひとにしかわからない比喩だが。
要するにデパートの催し物フロアに美術展を見に来た夏着物のご婦人っぽい。
ミツコのラストがスパイシーなのに対し、サムサラのラストはぐっと甘くなるのが意外でした。

結論

中年や遠くみのれる夜の桃 西東三鬼

この句におすすめしたい香水はひとまず現時点ではミツコEDPです。ひとにすすめるのではなく俳句にすすめてあげているだけとはいえ、P(パルファン)もEDT(オードトワレ)バージョンもあるものをEDP(オーデパルファン)だけ試して判断するのは申し訳なさを感じないでもない。
これを書いているのは新型コロナウイルスの第二波とGoToキャンペーンが重なるという最悪の時期で、もしそうでなければ関西まで出かけてあちこちの香水売場でいろいろ試したかった。状況がよくなってあれこれ試せたら追記するね。たとえ誰も待っていなくてもな!

買ってきた桃

桃の香りって実物はどんなのだっけ……? と思って購入した白桃250円。そのうしろはつるむらさき100円。

その他気になっている桃の香り

1969 | イストワール・ドゥ・パルファン …チョコレートと桃らしい。
Tian Di | フラッサイ …「天地」の中国読みの名前をつけられたアルゼンチン生まれの香水。
ピーチ | 武蔵野ワークス …悩むような値段ではないのでサクッと買えばいいんだぞ。

フローラル、スパイシー、夏フェス! - BLOMMA CULT / ROOM1015 –

ブロンマカルト

この記事は香水沼の浅瀬でちゃぷちゃぷ遊んでいる香水素人が書いているためあちこち間違っている可能性があります。お楽しみください。

コロナ禍が本格化する前の2月、念願のNOSE SHOP(大阪)を訪れて香水ガチャを引いた。
(いま思うと軽率でした。でもそのときは無症状の感染者が感染を拡大する可能性について知らなかったんだ。ウイルスが手から手へ媒介されていく接触感染に関してもテレビで実験の様子を目にするのはずっと後だ。風邪っぽい症状のないひと同士ならふつうに接触して大丈夫だと思っていました。)

そして出てきたのが…

BLOMMA CULT(ブロンマカルト)EDP / ROOM1015(ルームテンフィフティーン)

スタッフの方はガチャのカプセルを回収すると当たった香水について簡単に解説してくれた。
Room1015はミュージシャンが作った香水ブランドで、音楽に関係した香りを作っていること。1015というのはかつてミュージシャンのたまり場となっていたホテルの部屋番号だということ。

フラスコ(と香水コミュニティでは呼ばれているようなのだが、理科室では漏斗と呼んでいたのではなかったか)から匂いを試してみると「あ、これは当たりだ」と直感した。

ノーズショップ店内

このガラスの漏斗(でもフラスコって呼ぶんですね?)の内側に香水がついていて、持ち上げて嗅ぐ。

しばらくガチャで手にいれたお試しサイズを愛用し、後日10mlサイズを購入した。

NOSE SHOPのサイトには

狂乱の花々。爆発と混乱 。性革命のファンファーレ。長い髪の下、むき出しのうなじが官能的な香りを放つ。愛によって暴かれた道徳が肉体を解放する。自由の象徴、ほとばしるフラワーパワー。

となんだか恐ろしげな説明が書かれているけれど、ここから想像されるような濃厚で強烈な香りではなく、もっと「わーい !! たっのしー!! ひゃっはー!!」みたいな健康的な香りです。
おそらく日本語と日本の文化にどっぷり染まったわたし(たち)は「性」って聞いたときに重く薄暗く受け止めてしまうんだろうな。

具体的にどういう香りかというと、

トップ|ベルガモット、ライラック
ボディ|カシュメラン、パチョリ、バイオレット
ベース|シナモン、バニラ、ホワイトムスク

と書かれていますが、もうとにかくビリビリとスパイシー。
一瞬でいなくなる柑橘類の香り、これがベルガモットでしょ。
フローラルな感じがライラックとバイオレットなんだと思う。
ビリビリスパイシーなのは胡椒みたいな感じがするけど、シナモンなのかな。
たぶんそうでしょう。
Fragranticaを見たらシナモンがメインだと感じるひとが多いようだ。

Fragrantica

引用元:Fragrantica

時間が経ってくると、ビリビリがおとなしくなり、バニラの甘さが出て「すごくいいにおいの汗」みたいな香りになります。
そう、まさにライブでワーッと盛り上がって汗かいた感じ。
おお、我が眼裏に夏フェスが見えるぞ……。(行ったことないけど。)

持続性は結構ある(朝つけると夕方近くまでほんわり香る)けどあまり拡散しないみたいで、膝より下につけてしまうと香りがよくわからない。
少量つけるなら手首とか首とか胸元とか上半身のどこかがいいと思う。(おそらくちょっとぐらい大目についてしまっても大事故にはならない。)

ちなみに、blommaはスウェーデン語で「花」の意味らしい。英語のbloom(咲く)と語源は同じなのかな。

(2020年5月22日追記)
後日ムエットでHistoires de Parfume(イストワール ドゥ パルファン)の “1876 マタ・ハリ” を試したのですが、ブロンマカルトと結構似てる! ただマタ・ハリは後半土っぽさ(草っぽさ?)が強く出て物悲しい感じです。若くして処刑されたものね……。

アジラフェルの香りでは? Santa Maria Novella – Pot Pourri

【注意】この香水レビューは香水にまったく詳しくない素人がフェチごころだけで書いています。ご了承ください。

人間界で暮らす天使が毎朝ばしゃばしゃ付けそうな香りです。

Santa Maria Novella – Pot Pourri

Good Omens の第1話と第2話を観ました。

Sherlock界隈で人気が高いので教養としてキャラクターだけでも把握しておきますかね、ということで観始めたのですが、オープニングがいかにもイギリス! という人を食った始まり方で(類例:銀河ヒッチハイクガイド)天使と悪魔がハルマゲドン阻止を画策しながらほのぼの日常生活を送る感じが微笑ましくて。特に悪魔のクロウリーさんの善いヤツっぷりにやられました。

そんなときに試してみたサンタ・マリア・ノヴェッラのポプリ。

これはあれだ。人間の作った文化をこよなく愛する天使のアジラフェルさんがフンフンフーンと鼻歌を歌いながら身に纏いそうな香りだ。

試香紙で試すと、アロマオイルみたいな草の香りから始まり、みずみずしい野の花の香りが広がっていく。青い草で花冠を編んでいたらつぎつぎに小さな花がひらいていくみたいなイメージ。

(アジラフェルさんぜったい花冠似合うじゃないですか。)

それから徐々にスパイシーさが増していき、漢方薬局のような、乾燥した薬草の香りに。
つまりそれは「ポプリ」なんだろうけど、ラヴェンダーだけでもローズだけでもない複雑に計算されてブレンドされたポプリ。

肌に直接つけるとやや苦味が強くなり、なおかつ神秘性が増すように感じました。

香水ってつける人の体温やつける部位で香り立ち方が結構違ったりするから、誰か他人がつけていたら「香水の香り」だとは思わないかもしれない。
そもそも「人から漂ってくる香り」として認識できないかもしれない。
特に乾いた薬草っぽさが強く出た場合には。

古書、骨董品、クラシックミュージック、万年筆。
古いものが好きな人はこの香りがきっと好きだ。

ちなみに、実際にアジラフェルさんをイメージした香りというのはパフュームオイルとして発売されているようです。


なので、そちらの公式設定の香りとぜんぜん違ったらごめんなさい。
でもドラマの第1話には「コロンを変えた」っていうセリフがあるからサンタ・マリア・ノヴェッラがコレクションの中の一本として存在してもおかしくないような気がするんだ。

墨とギャップ萌えの香りByredo – Gypsy Water

【注意】この香水レビューは香水にまったく詳しくない素人がフェチごころだけで書いています。ご了承ください。

お習字の墨っぽい香りが好きで墨の匂いの香水がほしいという希望があったのですが、このたびかなり理想に近い墨っぽさに出会いました。

Byredo – Gypsy Water

最初は薄い? においしない? と思うぐらい自然。
ジンの香りというかジントニックみたいな香りというかむしろ主にエタノールのにおいがしてるな? という感じから始まり、柑橘類っぽい爽やかな甘さが出てくる。
そのあとで甘みが濃くなってわずかにヴァニラっぽくなる。
で、この間、通底して墨っぽさがあります。
自分が何に対して墨を感じているのかわからなかったんだけど、Eau Duelleにもちょっぴり墨っぽさを感じるということは両方に共通しているヴァニラの要素がそれなのかもしれない。
ここまでは試香紙につけた場合の感想。

試香紙につけた場合と肌につけた場合でけっこう印象が違った。
肌につけると爽やかさがすぐに飛んでガッツリ甘味が主張してくる。
だから海外のフレグランスレビューで髭のお兄さんに「自分用には買わない。フェミニンすぎる」と言われたりするのはなるほどなぁと思ったりした。
手首とお腹に直接つけて肌着やらセーターやらいっぱい着込んだ状態で仕事をしていると、ときどきフワッと墨の香りが漂ってきて落ち着く。鼻を近づけなければそれほど甘味は気にならない。
モテ香水的なランキングに入っていることもあるようなのだが、それはつまりちょっと風変わりなお香のような匂いを身につけてるけどぐっと近づくと超甘々というギャップ萌え的なあれか。

余談ですが武蔵野ワークスさんのブログでは墨の香りの正体は竜脳と明かされています。
(わたしが墨っぽいと思い込んでるのがそれなのかどうかはちょっとまだ確信が持てない感じ)
ていうかそもそも墨ってそれ自体があの匂いなんじゃなくて竜脳で匂いをつけているものだったとは! もうたんすに石鹸を入れとくみたいな感じで鞄に小さい墨を入れとけばいいじゃん! と思わないでもない。

2020年5月1日追記
一般的にはパチュリが含まれているものが墨の匂いを感じさせるのだそうです。だからわたしが何を墨っぽいと思ってるのかは本当に謎です。もしかしたら幼い頃通っていたお習字教室が山の麓の古い木造の小屋だったことが香りの記憶にノイズを与えているのかも。

Celesセレクト試してみたレポート

Celesセレクトで届いた香水5本

ツイッターでCelesセレクトというサービスを知って試してみた。
気に入らなければ全額返金ということだったので気軽に利用してみたのですが、わたしとしてはかなり満足しました。

Celesセレクトとはリクエストに応じてプロのスタイリストが香水を5種類選んでお試しサイズ(1ml / 2.5ml)で送ってくれるサービス。

Celesのウェブサイトから容量と性別(女性/男性)を選び、スタイリストへのメッセージを書いて注文。
性別に関しては、えええー、そこでくくられたくないなあ、と思うかもしれない。
システム上「選ばない」や「両方選ぶ」ができるかどうかは未確認だけど、選ばなくてもカートに入れるとこまでできたので、できそうな気もする。
できなければ適当にどっちかポチッとするとよい。
自分のほしい香水のイメージはスタイリストへのメッセージでいかようにも書ける上に、後述しますが女性向け男性向けにはこだわらないセレクトをしてもらえたので。

わたしのメッセージはこんな感じ

・墨やお寺のお香、インド系のひとが纏ってる香り、トルコのコロンヤなど東アジアから中東にかけての香りが好き
・過去によく使ったフレグランスはサムライウーマンとグッチのギルティブラック
・最近試した○○○の○○○は好きだけどフォーマルすぎるように感じた
・職業と服装について
・リップバームはバニラの香りのものを使用中

3日ほど待っただろうか。クリックポストに緑色の角2封筒が届いた。

Celesさんから届いた香水

こんな感じのものが入ってます

中にはプチプチに丁寧につつまれた小型スプレーボトル5本とそれぞれの香水の説明や付け方の注意など。

「ご自身の肌に香水を試す前に香水をスティックにスプレーしてみて下さい。」
ということでスティック(試香紙)も5本入ってる。親切設計。

香水の紹介とスティック

スティックに自分でメモを書いて香水をプシュッと。使い方が合っているのかどうか若干あやしい。

以下、においフェチではあるものの香水に全く詳しくないひとの独断レビューですが、Celesのスタイリストさんが選んでくれた5本それぞれの印象を紹介します。

Comme des Garcons – Comme des Garcons 2(コムデギャルソン – コムデギャルソン2)

ボトルに鼻を近づけたときはおじさんを感じ、強烈な不安に襲われる。
えっ。これ大丈夫なの。イメージ違いすぎない?
ただ、紙にふきつけてみるとそうでもない。
たとえて言うならおじさんの背中がばっくり割れて中からターキッシュエアラインズの超絶お美しい男性CAさん(27歳)が登場したような香りです。
そうだ。ターキッシュエアラインズの袋入りお手拭きの香りにちょっと似てるんだ。
ウェイウェイした若い男性から香ってくるコーラのような香りがあるじゃないですか。
あれをもっと爽やかに、頭良くしたような。
時間が経つとガラッと雰囲気がかわって、急にフルーティになる。オレンジとか柑橘類っぽい元気な感じ。
最初はツンツンしてたのに二重人格か! ってぐらいとっつきやすくなります。
サイト上の説明にも「光と陰をテーマに」と描かれているのでこれがその二面性なのかな。
お香みたいなオリエンタル感が出てくるのはわりと最後の最後。

Diptyque – Eau Duelle(ディプティック – オーデュエル)

これは紹介文に「イスタンブールのエキゾチックでオリエンタルな雰囲気」というフレーズが入っていたので期待しながら試してみました。Celesさんへのメッセージには書かなかったけれど、トルコ旅行が楽しすぎた、また行きたい、今すぐにでも飛んでイスタンブールに行きたい、という気持ちで日々過ごしているのです。
結果、期待以上。
バニラ! とてもとてもバニラ!!
バニラなのに少しも子供っぽくないバニラ!
そのバニラの向こうに墨っぽいような、イスタンブールで泊まったホテルのロビーの香りに含まれていた何かを感じる。ホテルのロビーはバニラの香りではなかったんだけど。ああ、わたしいまイスタンブールのバイラムパシャ・マルテペ駅から徒歩7分のホテルにいる。
ここで自分が「墨っぽい」と感じているのはなんなんだろうと気になって墨汁を嗅ごうとしましたが久しぶりに開けてみたら古くなっていて異臭がしました。捨てよう……。

Lalique – Encre Noir A L’Extreme(ラリック – アンクルノワールエクストレーム)

森の木々がみんなして会いに来たみたいな香りです。
「サンダルウッドー!」((((ウオオオオー!))))
「ひのきー!」(((イエェェェー!)))
もう、木々に愛されてる感が半端ない。
森が薄れたら徐々に天花粉ぽさが加わって、イスタンブール空港の香水売り場の横を通るときの感じだー! と嬉しくなる。関係ないけど新空港は市街地から行くと森の向こうにあるんだよね。わたしがなんでもトルコに結びつけているのかスタイリストさんが中東らしさをしっかり入れるようにセレクトしてくれたのか。
途中からサムライウーマンだったかサムライだったかのミドルノートに近い感じになってくる、ような気がするんだけどもはやサムライウーマンをあんまり覚えてないからここらへん確信がないです。
名前には入ってないけど主にメンズ用として売られてる香水のよう。

Van Cleef & Arpels – Pour Homme(ヴァンクリーフ&アーペル – プールオム)

こちらははっきりと名前にオムがついてる。
でも香りの印象としては男性向けというのは意外。
わりと濃厚に石鹸っぽい。なおかつスパイシー。
サンダルウッドをかなり強く感じます。
風呂上がりの清潔感。
夏の夕方につけて浴衣を着て花火を見に行きたいような感じ。
だんだん石鹸ぽさが薄らいでスパイシーな香りが残るので、ラストのほうはたしかにメンズっぽいかも。

*Guerlain – Shalimar(ゲラン – シャリマー)

今回届いた中でいちばん女性っぽさを感じたのがこれ。
「インド」というキーワードから選んでくれた香りだと思います。
天花粉とゴージャスな花束。アイリスが強い。
「オリエンタルなプリンセスを思わせる」とありますが、フェミニンかつどことなく古風でおばあちゃんの鏡台っぽくもある。
プリンセスが若いとは限らないものね。
華やかさの中に感じられる苦味。
時間が経つと苦味が消えてふんわりとやさしい天花粉が残りました。

+ + + + +

総合的な感想としては、お気に入りの一本を見つけたいという目的もあったけど、香りをいろいろ嗅いでみること自体が楽しかった。
わたしのように田舎に住んでると、いろいろなブランドを横断して何種類もの香水を一度に試す、ということ自体が難しいのです。
買うか買わないかわからないのにデパートに行くのはハードルが高いし。
だからリクエストを誰かに選んでもらえるのはすごくよかった。
届いた香りは正直ぜんぶ好みの範疇。
シャリマーはちょっと違うかな。でも寝香水とかに使うと思う。
コムデギャルソンはトルコの国内線を幻視したいとき用。
フルボトルで注文するとしたらまずはオーデュエル。
アンクルノワールエクストレームとヴァンクリーフ&アーペル プールオムも、ちょっと多めの小分けかフルボトルを検討したい。

あと、どの香水が届くかわからないCelesガチャというのもあるそうです。
こっちはこっちで面白いかもしれない。