「メールが届いた」
と祖母が言うので不思議に思いながらも祖母の携帯を覗き込んでみる。
が。
auの簡単ケータイにディスプレーが生えてきたような形跡はなく、いつも通りの白いボタンが並んでいるのだった。
もう夏か。
「わたしのけえたいよおおおおかえしてええええ」
私の背中をばしばし叩く祖母。
何やら段ボールの切れ端のようなそれにしては妙に重みのあるものが当たるので奪い取る。
メール便だった。
簡単ケータイを祖母に返して(京セラはボタンの押し心地が悪いから嫌いだ。ふん。)メール便を開封する。
中身は先日アマゾンで注文した三角みづ紀の「カナシヤル」。
三角みづ紀はセックスのことをセックスって言うみたいだな。
私は何て言ってたんだっけ。
昔のことだから忘れてしまった。
にしても。
郵便小包と宅配便とメール便の区別がつくなんて。
お婆ちゃん、すごいじゃないですか。