「週俳」2008新年詠を読む。

舞ふ猿にわつと泣き出す子供かな   青島玄武
泣いている赤ちゃんが目に浮かぶ。一瞬で猿より真っ赤な顔に。
正月のビーチをとんで雀かな     上田信治
ビーチに初雀。ハワイな気がする。ハワイに行きたい。ハワイに雀がいるかどうかは知らない。
三が日客を見てゐるインド人     岡田由季
インド料理屋。通りから見えるガラス張りの厨房。目が合うと手を振ってくれる。見ているはずの側が逆にめっちゃ見られてる。ぴりっとスパイシー。ちょっと毒。
新年の干支といえども逃がしません  お気楽堂
亥年も辰年もその意気で。
娘のすでに婚家の味となる雑煮    小野富美子
友達が暮に結婚した。mixi日記には手作りのおせち料理の写真が貼られていた。息切れしないか心配だ。
寝正月とはこの人のことを言う    神野紗希
家族? 親戚? 彼氏? それとも名前のつかない微妙な関係の誰か?
門松をちょっと直して家出せり    こしのゆみこ
すぐ帰る予定の家出。わくわくする。
獅子舞のビルの隙間に獅子を脱ぎ   近 恵
汗ばんで、軽く湯気が立つ。漢(オトコ)のエロス。
曳猿のやや着崩れてをりにけり    さいばら天気
正月用に和装系の衣装を着せられた猿。そう言えば猿ってたいてい「やや着崩れ」てる。大発見じゃね!?
みすぼらしき元旦のわたしなり    澤田和弥
みすぼらしき(日本の)元旦のわたし。
もうすでにはみだしてゐる今年かな  鈴木茂雄
今年になった瞬間から今まですでに時間が進んでいる。ダイエットしようと心に誓ったのに餅五個食った後に出前のピザも食った。はみだしている肉をなんとかしたい。
橙はテレビの下へ転げけり      そわもとあき
でもでもテレビの下は大掃除のときに掃除したから埃まみれになったりしないんですよーん。ふふふーん♪
七草粥第七官界彷徨         高橋洋子
尾崎翠は不幸なんかじゃなかった説を支持します。
窓枠に窓おさまりぬ寝正月      谷 雄介
カーテンは大晦日から開きっぱなしだったような気がします。
開閉のたおやかなりし姫始      津田このみ
戸なのか布団なのか口なのかジッパーなのかひきだしなのかコンドームの箱なのか足なのか性器なのかわからない。ちなみに私は何につけあたふた(ry
恵方とは反対へ行くお父さん     峠谷清広
来年は離れて住むかもしれないうちのお父さん。
忠実な語呂合わせある賀状かな    永井 誠
どうせあたしの人生語呂合わせなんだもん。と椎名林檎さんがおっしゃってます。
初空や黒船に塗る黒きもの      中村安伸
リア・ディゾンのウェット&メッシー。すごいゴージャス。
丁度よく疲れ双六始まれり      西川火尖
麻雀に疲れたおいちゃんやお兄ちゃんのところへ親戚の子どもが双六を持ってきた感じ。
十二月三十二日寝酒かな       野口 裕
二十五時とかいう表現はあるけど三十二日って!! 上手い。よく眠れますように。
初春の部屋着に部屋のにおいかな   宮嶋梓帆
水玉とか太めのストライプとか。フリルとかレースとかリボンとか。かわいい部屋着しか思い浮かばない。仕事着や普段着とは全く別に存在する部屋着というスペシャルなものに憧れる。
手毬子の影踏まれたり轢かれたり   谷口智行
新年の華やぎと、すぐ隣にある潜在的な恐怖。

週刊俳句2008年1月6日号、拙作も掲載していただいております。見てね♪

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