私の奴隷になりなさい

SM青春小説というふれこみの、サタミシュウの「私の奴隷になりなさい」を読みました。
表紙がとてもいやらしい。
赤い首輪をつけて媚びた感じの目をこっちに向けてる女の子。
 
ポルノ小説のようにたっぷりと性描写が出てくるんだけど、陳腐に走りすぎないように調整されていて、それゆえにおかずにするのは難しいと思う。
 
それぞれの人物にある程度のリスペクトが感じられる。
語り手である若い男にも。
会社の先輩である二十七歳の人妻にも。
汚い中年の御主人様にも。
(たぶんこの、登場人物に対するリスペクト感がサタミシュウ=石田衣良説につながったんではないかしら。石田衣良『娼年』では主人公の少年が中高年の女性の衰えた身体に美しさを見出している)
 
語り手の戸惑い、振り回されぶりに好感が持てる。
なんていうか、かわいげがあるのよ。
これが御主人様の語りだったらたまったもんじゃないと思う。
(続編では語り手が御主人様的な立場になるらしいのですが、どうしよう。怖いもの見たさで読んでみようかなあ)
 
現実には、性行為を中心に据えた関係を誰かと築くのは、とてもつまらんことだと思います。
私が二十七歳人妻の友達なら「男以外になんか趣味ないの?」と言ってしまうでしょう。
主従関係を結ぶのって御主人様が言うように「治療」に似てるけど、それって痛くもない場所を揉んで中から釘を取り出す手品みたいなもんだと思う。
あと、行為について文句をつけるなら、野外露出なんて、偶然目撃してしまった全く関係のない第三者の心を傷つけたりします。良い子はマネしちゃいけません。今やってる悪い子ははやくやめましょう。
 
って言いながらも、私こういう小説嫌いじゃありません。ぐいぐい読めて面白い。
旅のお供に最適だと思う。
移動中に読んで夜までに適度に興奮できそうです。

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