白菜を白菜がもつ水で煮るいささかむごいレシピを習ふ 本多真弓『猫は踏まずに』
花山多佳子さんが栞で次のように書いている。
蒸し野菜はみな「もつ水で煮る」のだが誰も「むごい」なんて思わない。でも「白菜を白菜がもつ水で煮る」と言われてしまうと俄然、むごく感じられる。
そうなんですよ。つい、「獣の革を獣の脳の脂肪分でなめす(※平山夢明から得た知識)」とか「サボテンの針を抜いてサボテンに刺す(※臨死!!江古田ちゃんのお姉ちゃん)」とか思い出してしまうんですよね。
たぶん、これを「むごい」と感じられるのは、主体が同じ目に遭っているからだ。
引用した歌は実家への帰省がモチーフの「おののののろ」の一首だが、歌集の流れのなかで読むと、白菜のもつ水分で白菜がこげつくこともなく都合よく煮られるように、会社勤務の女性が会社の一員として、あるいは「長女」として、社会の期待に合わせて自らを抑圧して生きざるを得ない、そしてそれは自ら望んだことのように仕向けられているんだよねえええええええええうおおおおおおしんどいよおおおおおおおおおおおお!!!!!!
ということを考えてしまって、うううううう……。よくぞ書いてくださいました。
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会社勤めをしたことのあるひと(主に事務系の女性)は頷きすぎて首が何個ももげる歌集だと思います。
背をむけてきみは翼をしまひこむ(ひにんするのはひとだけだつて)
という最高にすてきな「事後」とか、
リア充が爆死してゐるかたはらを手もあはせずに通りすぎたり
というユーモアとか、あとバレンタインBL短歌も入ってますよ!
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