投稿者「yukioi」のアーカイブ

a.k.a GH

HGといえばハード・ゲイ。
GHといえば現代俳句協会。
 
5月30日は岡山県現代俳句協会の俳句大会でした。
協会員以外も参加できるので、遊びに行かせてもらいました。
  
俳句の団体はどこも高齢化が問題になってるみたいです。
大会の際の会場設営なんかも結構大変だと思う。
以前から、俳句団体は大学の俳句サークルと提携すればよいのではないか、と思っていたので、そのことを会長さんに申し上げてみましたところ、
「大学のサークルで俳句をする人いうんは……古いんよ。ぼくらの俳句見せたら『そんなもん俳句じゃね〜』言われてしまう」
とのこと。
あぁ、と納得。
 
我が母校の俳句サークル、前衛系の作品出したら悪魔祓いされそうな雰囲気だったもんな……。
(在学中に道場破りに行けばよかった。)
 

定番化したやつ

河馬を塗り間違える。必要以上に赤くしてしまう。ピンヒールのピンなとこだけキラッキラしとる。凶暴。演繹的に叙情。風呂場の隅に巻いてある、何重にも巻いてある、管、泡立つ足、恋人を便器の蓋に設置して、昏倒、犬を飼う犬の漫画、不明白って正しい発音でどうぞ、リピート、アフター、ミー。電話越しに睨み合う本社の谷崎さんと岡山支社の私。あれでしょ、その鼻にかかった合成音声風トーク、テイトウワ意識しとるでしょ。細切れにしゃべるとばればれなん。花柄のダブルクリップ(小)をベストのポケットに並べてつけるファッションを流行らせたい。間に無地を入れるのは邪道。メンズこそ総柄で、花柄でってドン小西がフリル揺すってるから。お嬢さんお逃げなさい。グロッタ模様で覆え個人情報。ピッてするやつでピッとしといてね。出ます。もう出ます。守衛さん、お疲れ様です。

混在

当時、世界最強だったのは女子高生という種族で、国家的プロジェクトとして少女売春が奨励されていた。最強っつってもようするに剣闘士だから、足首には枷がはめられていた。その枷を布で覆うことが義務づけられていた。廊下を通り過ぎたのは校長先生の便所サンダルで、恐怖は我々を一顧だにせず、傷ひとつない空、椎名林檎のラ行音が響き渡っていた。
 
女を描くなんて、尻に傷のない人間には無理だぜ。
 
今朝も満員電車に虚無僧がいて、巨大な頭がたいそうかさばって迷惑でした。ただ、大きく揺れる直前に曲調の変わるのはありがたい。身構える余裕ができますから。どうやって感知しとんじゃろ。完璧に覚えているのか。そういう特技がなければもっとけむたがられるように思うのです。虚無僧の指は細くて長くて白魚みたい。明日も電車で通勤します。
 
2003年4月1日。米国のアーミテージ国務長官は、イラク戦争を考慮し、エイプリルフールを5月に延期することを正式に発表した。
 
地球儀に袖を通す。
丹田のあたりに、ブラジルが来た。

むき出しのうなじが寒い

久しぶりに「らんまん句会」をお休みしました。
(前回はすべりこみで座るだけ座った。)
 
用事があったこともあったのですが、今回は主にリフレッシュ休暇です。

「道標」五月号きました。(現代詩のじゃないよ。俳句のだよ)
道標はほんのり赤くてアットホーム。
まるで某バイト先にいるみたいです。
新人特別作品として拙作を掲載していただいてます。
望月たけしさんが「空から十七文字へ ─石原ユキオ着水─」という文章を書いてくださってます。
ぎゃぼ。恐縮です。
 

今日もかやこちゃんは。

かやこちゃんはいくつも年上だがわたしの中ではかやこちゃんなのだ。かやこちゃんはいつもひらひらしている。ひらひらしていることと厳しく誠実なことを表面上であれ両立させているかやこちゃんは驚異だ。かやこちゃんは決して自分ではお茶を煎れない。かならずわたしに入れてって言う。甘えたいのだな、と思って煎れてあげる。ちがうんだけど、甘えたいのだな、と思いながら煎れてあげるのはきもちよい。かやこちゃんは管理職だから、ひらひらで管理職なことは並大抵ではないから、なめられない工夫のひとつとして、お茶を煎れなかったり、机の上を整理整頓しすぎないようにしている。かやこちゃんをかやこちゃんと呼んだ男が左遷されたのは数年前。まだわたしの机の上にグラムロックな輝きを放つ穴開けパンチが鎮座する前の話だ。リプレイス屋さんの落としていったものと思しきクリップで書類を挟んでかやこちゃんに渡したら、「私物の使わぁでもクリップのーなったらアスクルしてえーけん」と言われた。リプレイス屋さんの落とし物です、と言ったら「そーなん」といかにも興味なさげだった。今日のひらひらは、ミニスカートの上に少し長いすけすけのひらひらがかぶったみたいなデザインでちょいマーメイドめなラインが悩ましい。かやこちゃんはいいにおいがする。足を組み替える度に、資料の山に手を伸ばす度に、小さなお花の形をした分子が空気中をくるくる舞う。それがアルコールのにおいをごまかすためだと気付いているのは社内広しといえどもわたしひとり、だといいな、と、手渡しついでにかやこちゃんの指にちょっと触れてから自分の机に戻るわたしなのだった。

普通に普通

放射性廃棄物と呼ばれたいのか、ミリオンダラーベイビーと呼ばれたいのか、いまいち方向性が定まっていない石原です。こんばんは。
今日は久しぶりに、普通に普通の日記を書こうと思います。
 
「赤目四十八瀧心中未遂」、ものっすごく面白かったです。とってもエンタテイメントだったです。それは誇張しすぎだろう、っていうところも含めて好きです。どういうお話かというと、ボロアパートの一室で臓物をさばいて串に刺す仕事をしている男が語り手で、そのアパートは売春宿になってたり彫師と息子と超絶美人の愛人が暮らしてたりして、尻の穴から油が垂れる日々なのです。よくわかりませんね。読んでください。かなり手に汗にぎりました。やくざ映画の好きな方にもおすすめできます。ジャパニーズホラーが好きな方にも、つげ義春が好きな方にもおすすめです。
 
最近バイト先のPCと複合機が新しくなったわけですが、まだ使い方がよくわかりません。東京に白紙のFAXを何枚か送りました。電話がかかってきたので謝りました。送るべき書類がちゃんと送れているかどうかは確かめておりません。大丈夫です。山より大きい猪は出ません。マイペンライ。
 
置き薬屋さんが新人研修らしくて、薬箱置かせてくださいって来られました。研修つらそうだな。置き薬のお兄さんはなんでみんな男前なの? なんでみんなおにい系なの? 陥落(=置かせてあげる)寸前でした。
 
詩人です、現代詩書いてます、というハッタリをやめたのはやはり正解だったと思います。
 
オンラインゲームにちょっとハマりそうになっています。荒廃した東京が舞台の某ゲームで挙動不審な「みかちゃん(仮)」がいたら私かもしれません。苦戦していたら助けてあげてください。
 
第二回週刊俳句賞、私は谷雄介さんの作品を選んでたんだな。芸達者な人に対して「上手い人より云々」ってコメントしちゃった。。。。

冬萌え。

暖房やあなたは紐の多い服
 
おじさんは生きてって言う冬の蝶
 
朝礼の真中を進め砕氷船
 
冬眠や父は微妙に膨らんで
 
着ぐるみの覗き穴から初景色
 
袖口がほんのり臭い春隣
 
妹の傘に傘の絵春浅し

黒鳥 春季号(平成20年4月1日発行)掲載

花粉とエレクトロニカ

 ガラスに頭をもたせかけて、片目を掻きむしりながら、片目で地面を見ていました。
 センターラインに規則正しく並ぶ粒が、対向車のヘッドライトに照らされる。凸にも凹にも見えるけどたぶん凸なんだろう。
 車体の振動が響く頭蓋、右から左へ、左から右へ、電子音が行き来し、小刻みに歯が震え、一つにつながり、溢れ、その一部は鼻水と一緒に小さく漏れる。客はここに一人だ。一番後ろの長いシートに座っている。運転手は律儀に停留所を知らせる。その声はNHKの再放送か何かに出ていた劇作家のなんとか氏に似ている。なんとか氏は若くして亡くなった人で、顔は思い出せるのだけど名前は思い出せない。運転手の後ろに掲げられたとまります標示の上には「故障中」の紙が貼られている。
 
 花見でした。アサヒスーパードライのサーバーを担いだもう若くない茶色い髪の男たちが、若い娘を見つけてはビールを飲ませていました。それはアサヒのキャンペーンなのか、それとも新手のナンパなのか、彼らの身なりから考えるとキャバクラ嬢のスカウトでもしそうだが、まさか花見にスカウトもあるまい、いや、このご時世だから、あるいは。
 
 次は、池の内、池の内です。
 
 向いていない、というのが慣れの問題だとしたら、慣れる前に人生が終わってしまう人もいて、慣れるまでにどれほどの時間がかかるかということを適性と呼ばざるを得ないと思うので、あなたは人間であることに向いていない、少なくともおとなであることに向いていない、明日からペンギン村で三輪車をこいで暮らしなさい、誰かがそう言ってくれるといい。
 ICカードをかざして、会釈をして、バスを降りた。

三谷と花粉症の復讐

PCの入れ替え作業をした、髪の固そうな、色白の、口元の幼い、剥げた靴、あまり高そうでないスーツ、眼鏡、伏し目、びっしりと睫毛。三谷は結局まだこの机の下にもぐっていて、太股のあたりに三谷の頭が揺れている。かぶっている。ぶつかっていない。通り抜ける。オンラインゲームでキャラクターが二人同じ場所にいる状態。三谷はせわしなく動く。脂肪の乗りすぎた丸い膝から三谷の睫毛が見え隠れする。立ち上がった三谷、スヌーピーの絵のついたマグカップでコーヒーを飲む部長を通り抜けて複合機の前へ行く。戻ってくる。また膝に潜る。三谷はNPCですか、MOBですか、MOBならnon-activeですか、activeならとても嬉しい、覚えたての専門用語で、ここに見え隠れする三谷を、私は見極めたい。昼休みにかかってきた電話は「石原さん、映画に出られたんですね、きっかけは? ああ、なるほど、観に行きますからね、試写会みたいなのはもう、3月に? そうですか、これからは肩書きに女優って書けますね、いろいろあると思いますが、家元もお年だから、よく冗談でおっしゃるけど、あと数年と覚悟されてます、石原さん、どうかお華はやめないで、頑張って、続けてくださいね、絵の方もね、大作にどんどん挑んだらいいと思うし、頑張って、」。私が三谷を増やすように石原を増やす人がいる。石原の立派なところは元の三谷と増やした三谷の区別がつくところ。元の三谷がここに現れたら、きっとすぐにわかる。石原は偉いよ、ほめてよ、三谷。NPCかMOBの三谷。きっとPCじゃない三谷。
 
新品のキーボードは私の打つ日本語をいちいち押し返す。限りなく拒絶に近い弾力。