半分妄想トルコ日記(2日目・後編)巨大怪獣出現


ミニアチュルクという名前はミニアチュール(細密画)とかけているんだろうか。ミニアチュルクというのはトルコの有名な建造物をミニチュアで再現したテーマパークだ。イスタンブルにおける淡路ワールドパークONOKOROである。

ミニチュアだけどけっこう大きい。

電車まで時間があったので立ち寄ってみた。ここを勧めてくれたのもフレディ。正直、あまり興味はなかった(だって本物を見たことがないものに関しては再現度に感嘆できない)のだが、トルコならではの奇跡が起きていたので掌を返してみなさんに強くお勧めしたい。
トルコでは猫はどこにでも入り放題である。モスクはもちろんのこと博物館に入っていこうともつまみ出されることはない。

トルコ・イスラム美術博物館の猫

ミニアチュルクの中にも当然のごとく猫が歩き回っており、スルタンアフメットジャーミーに襲いかかる巨大怪獣(猫)や、カッパドキアの岩山をよじのぼる巨大怪獣(猫)などを見ることができるのである。猫がお好きなら、ぜひとも訪れていただきたい。(ただし猫のことなのであなたが行く日に偶然留守にしていたらごめんなさい)

ホテルに荷物を取りに戻ってからTCDDの駅に行った。駅前にはスィミット(ごまパン)や果物の屋台が出ている。

「トルコ語の練習をしましょう。あそこでスィミットが買えますよ。僕は座って待っています」

こちらへ来てからというもの、トルコの習慣(お客さんにはおごってあげる / 男性は女性におごってあげる)とフレディのホスピタリティにより常に食べ物を与えられている状態だった。自分で食料を調達していない。財布もほとんど開いていない。ここで逃げては駄目な人間になってしまう。更生プログラムだ。よし。

「通じましたか?」
「ビッターネ(1個)、スィミット(ごまパン)、リュットフェン(プリーズ)! ヤヌナダ(いっしょに)、ス(水)!」
「はは。素晴らしい」

スィミット。歯ごたえがあるので食べるのにけっこう時間がかかった。

フレディはお祈りに行き、ついでに電車の中で摂る夕食を買ってきてくれた。ジュースとチョコクロワッサンとチョコレートクッキー。サンドイッチみたいなものを買ってきてくれると想像したので、それ夕食っていうよりお菓子じゃん! と驚いた。トルコにはコンビニエンスストアがなく、かわりに欧米の映画で見るような小規模な食料品店がたくさんある。たぶんそういうところで手に入れてきてくれたんだろう。
パックされたサンドイッチがどこででも手に入るような日本がそもそも特殊なんだわ。台北のコンビニでもサンドイッチは少なかった。

鉄道のチケットを印刷していないんだけど大丈夫かと聞いたら、パスポートの番号でチェックインできるから大丈夫だと言われた。なるほど。そういえば二人分予約してもらうときにパスポート番号を聞かれたのだった。

高速鉄道YHTに乗り込む。フレディは窓側を譲ってくれた。
YHTはイスタンブル-アンカラ間を4時間37分で結ぶ。
「高速というには遅すぎませんか」
フレディはそう言ったけど、足元が広くて快適で何も不満がない。バスの場合もっと時間がかかるそうだ。モニターに地図が表示されておおよその現在地がわかるところもよかった。東京-岡山間の新幹線3時間半より短く感じた。運賃70リラ(1400円)。

今回の旅では、ホテル選びもフレディが全面的に協力してくれた。最初は自分で予約してみたりしたのだけれど、彼が悪いレビューを読んだと言うのでキャンセルした。確認するとたしかに「従業員に口説かれました」というようなレビューが入っていた。
「僕が電話で交渉します。君がそれを気に入ったらそのまま予約します」
そうなのか。ホテルって、値切れるものなのか。エクスペディアとかで割引してるとこを見つけて予約するから大丈夫だよいちいち交渉しなくても……と言おうかと思ったが、せっかくなのでお言葉に甘えた。
今夜アンカラで泊まる宿はできたばかりの小さなビジネスホテルだ。フレディが最初に見つけてきたホテルはゴージャスすぎるように見えて、もう少し安くていいよと言ったのだ。

フロントには愛想のいい白髪のおじいさんがいて、わたしがチェックインしたのを見届けてからフレディは家に帰った。(彼はアンカラ在住なのである)
カードキーだったイスタンブルのホテルと違い、こちらは昔ながらの鍵を渡された。開錠しようとしたらなかなか開かない。フロントに戻っておじいさんにGoogle翻訳で「鍵が開きません」を伝えた。おじいさんに見せてもらい、自分でもやってみる。開錠ができたら施錠も。カンフーマスターに教えを請う気持ちだ。わたしがコツをつかむのを見届けてからマスターはフロントへ戻っていった。
部屋にはエアコンがなかった。とはいえ夜は涼しいのでしばらく窓を開けておくことにした。
ルーク(1日目参照)にメッセージを送ったり、日本にいる母に無事を伝えたりしているうちにうとうとしてしまったけれど、おっとここは大都会、開けっ放しで寝るってわけにはいかないよねえ、と思ってきちんと窓を閉めた。

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